第二百五十話 マリー・エドワーズとノーマはお土産のお菓子の詰め合わせを受け取り、ナナに領主館の食堂に案内される



マリーがユリエルからのメッセージを読み終えた後、イヴとアーシャ、クレムからメッセージが届いた。

彼らからのメッセージは『パーティーのお土産を貰ったら教会に死に戻る』という内容だった。

メッセージを確認したマリーはステータス画面を消す。

それからマリーとノーマは大広間の扉の前で招待客へのお土産のお菓子の詰め合わせを貰って大広間を出た。


「ノーマさん。あのね。私のテイムモンスターの真珠が領主様のご子息のユリエル様と一緒に、西の森にモンスター討伐に行っててね、今から領主館に戻ってくるから、それまで一緒に待っていてもらってもいい?」


「それはいいけど、どこで待てばいいの? 領主館からは出なくちゃいけないんでしょ?」


「そうなんだよねえ……」


「マリーさん」


ノーマに問いかけられたマリーが困って考え込んだその時、領主館の侍女ナナがマリーに歩み寄り、呼びかけた。


「ナナさん」


「フレデリック様がマリーさんから本を受け取るので、少しお時間を頂きたいそうです。宜しいですか?」


そういえば、騒動があってレーン卿に借りた本をまだ返せていない。

マリーはそう思いながら口を開いた。


「お友達のノーマさんも一緒でいいですか?」


ナナの申し出はマリーには渡りに船だったが、ノーマと一緒でなければ意味がない。


「すみません。私では答えられないので今、侍女長に確認します……っ」


ナナはそう言って自分の右耳のイヤリングに右手の指で触れて口を開く。


「魔力操作ON。トーク。……あのっ。ナナです。マリーさんとフレデリック様が子どもの頃に使っていた部屋にご案内するようにとのことですが、マリーさんのお友達という方もご一緒で宜しいでしょうか?」


ナナは右耳のイヤリングに向かって話し、左耳のイヤリングから指示を受けているようだ。

マリーとノーマはナナの様子を興味深く見守る。


「わかりました。そのようにします。魔力操作OFF」


『トーク』を終えたナナはマリーに向き直り、口を開く。


「侍女長がマリーさんとお友達を領主館の食堂にご案内するようにとのことです。ご案内しますね」


「私も一緒でいいんですか……?」


不安になったノーマがナナに問いかけると、ナナは肯いた。


「マリーさんのお友達もご一緒にとのことです」


「ノーマさん。ナナさんが言った『侍女長』っていうのはレーン卿のお母様と一緒にいた姿勢が綺麗な女の人のことだよ。ノーマさんのこともちゃんとわかってると思うから大丈夫」


マリーがそう言うと、ノーマは少しほっとした様子を見せた。


「では食堂にご案内します」


ナナはマリーとノーマを先導して歩き出す。

マリーとノーマはナナの後に続いた。


***


若葉月26日 朝(2時09分)=5月10日 0:09



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