第二百三十五話 マリー・エドワーズはワールドクエスト『鑑定師ギルドの副ギルドマスターの恋人選定パーティー』の内容を改めて確認する
「えっ!? クレム!? 本当にクレム!? クレムって実は女子キャラだったの!?」
質問を連発しながらクレムに詰め寄るマリーの口に、クレムは皿の上のチョコレート菓子を放り込む。
「落ち着けよ。マリー。とりあえず菓子を食いながら話そうぜ。マリーとイヴもオレの皿の菓子、食っていいからさ」
クレムの言葉に、甘いチョコレート菓子を口の中で転がしながらマリーは肯く。
イヴが口を開いた。
「あたしとマリーのグラスが置いてあるテーブルに行く? それともクレムがいたテーブルに行く?」
「オレは何にも飲まずにひたすら食いまくってたからグラスとか無いぜ。イヴとマリーのグラスが置いてあるっていうテーブルでいいよ」
クレムの言葉にイヴとマリーは肯いた。
マリーとイヴのグラスが並んで置いてあるテーブルに到着した。
「あたし、クレムの分の飲み物を取ってこようか? あたしもオレンジジュース以外の物を飲みたいし」
「サンキュ。イヴ。じゃあ頼むわ」
「私はまだオレンジジュースが残ってるから大丈夫」
二人分のグラスを持ったらイヴの両手が塞がってしまうので、マリーは自分の分はいらないと伝える。
イヴはマリーに肯いて、飲み物を配っている給仕の元に駆けて行った。
クレムは山盛りのお菓子を盛った皿をテーブルに置き、クッキーを一枚つまんで自分の口に放り込む。
口の中のチョコレート菓子を飲み込んで、マリーは口を開いた。
「なんでクレムが『鑑定師ギルドの副ギルドマスターの恋人選定パーティー』のパーティー会場にいるの? このワールドクエストって女子キャラ限定だよね? クレムって女子キャラだったの?」
クレムは口に放り込んだクッキーを咀嚼し、飲み込んで口を開く。
「マリー。このワールドクエストの創造主なのにクエスト内容の確認が甘いな。もう一度、ちゃんとクエスト内容を読めば、オレがここにいる理由がわかると思うぜ」
「わかった。確認してみるね。ステータス」
マリーはステータス画面を呼び出して『クエスト確認』をタップした。
それから『ワールドクエスト【NEW】』に人差し指で触れる。
その後『クエスト名 鑑定師ギルドの副ギルドマスターの恋人選定パーティー』をタップした。
新たな画面が表示される。
♦
クエスト名 鑑定師ギルドの副ギルドマスターの恋人選定パーティー【NEW】【受注】
鑑定師ギルドの副ギルドマスターのフレデリック・レーンの恋人を選ぶパーティーが開催される。
クエストを受注できるのは主人公の性別が女性または『オトメの心』スキル所持者のみである。
このクエストを受注する場合は【未受注】の部分をタップして【受注する】を選択する必要がある。
クエストの受注期間は恋人選定パーティーの日付が決まるまで。
パーティー開催の日付が決まったら、クエストを受注したプレイヤーのアイテムボックスにパーティーの招待状が収納される。
鑑定師ギルドの副ギルドマスターのフレデリック・レーンのグラフィックとプロフィールの確認は【こちら】からどうぞ。
クエスト発生条件
プレイヤーであるマリー・エドワーズがフレデリック・レーンの母親にフレデリックの恋人選定パーティーを開くように提案したことでこのクエストが発生。
クエスト達成条件【NEW】
パーティーの招待状に記載。
→『鑑定師ギルドの副ギルドマスターの恋人選定パーティー』に出席して『フレデリック・レーン』との友好度を80以上にする。
パーティー招待客の中で1人以上『フレデリック・レーン』との友好度が80に達するプレイヤー/NPCがいる場合『フレデリック・レーン』の婚約解消クエストが発生する。
パーティー終了までにパーティー招待客の中に1人も友好度が80に達するプレイヤー/NPCがいない場合は『フレデリック・レーン』の婚約は継続し、クエストは未達成となる。
クエスト達成条件を満たしていて『フレデリック・レーン』との友好度が50以上のプレイヤーにはクエスト達成後にワールドクエストポイント『WP』が付与されます。
ワールドクエストポイントはリズ、スキルポイントの他、様々な装備品や装飾品、アイテム等と交換できます。
ワールドクエストポイントには交換期限があります。
交換期限が過ぎたポイントは1wp=1リズとして自動変換され、該当プレイヤーのアイテムボックスに、通貨が自動的に付与されます。
♦
「クエスト内容の変更点が多すぎて、すぐに把握できない……っ」
マリーは弱音を吐きながら、何度もクエスト内容を読み返した。
***
若葉月25日 夜(5時21分)=5月9日 21:21
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