第二百三十四話 マリー・エドワーズとイヴは菓子を山盛りに皿に盛っている、青色のローブを着た小柄な少女の正体を知る
マリーはオレンジジュースを半分ほど飲み、イヴにグラスをテーブルに置いてもらう。
「マリー。次はなにを食べに行く? ローストポークは醤油っぽいタレで、しょっぱい系だったから次はスイーツにする?」
「スイーツ、いいねっ。でも食べ終えたお皿ってどうすればいいんだろう?」
マリーの疑問に、イヴは周囲を見渡した。
そして料理を食べ終えた皿を回収している給仕を見つけて口を開く。
「食べ終わったお皿を回収してくれる人がいるっぽいからこのままでいいんじゃない?」
「そっか。じゃあ自分で食器を下げなくてもいいね」
マリーはイヴの言葉を聞いて微笑む。
そしてマリーとイヴは自分たちが食べ終えた皿とオレンジジュースのグラスをテーブルに残してお菓子が並ぶテーブルへと向かった。
残したグラスにはグラスマーカーがつけてあるので、自分のグラスから離れても安心だ。
お菓子が並ぶテーブルの前に到着した。
マリーとイヴの他にも招待客が点在していて、思い思いに好きなお菓子を皿に盛りつけている。
お菓子が並んでいるテーブルは踵が少し高い白いパンプスを履いた今のマリーなら手が届く高さだ。この高さであれば、マリー自身がお菓子を選んでお皿に盛ることができるだろう。
「ねえねえ。マリー。見てよ。あの子すごいよ。青色のローブを着た子」
イヴに言われて視線を向けると、青色のローブを着た小柄な少女が皿に菓子を山のように盛っている。
さっき見かけた、山盛りの料理を食べていた子じゃない……?
マリーがそう思った直後、イヴが少女を見て首を傾げた。
「あの子、なんか見覚えがある気がする」
「イヴさんもそう思う? 実は私もそう思ったの」
あの少女が着ている青色のローブは錬金術師の正装だろう。
マリーのフレンドで錬金術師のクレムも、青色のローブを着ていた。
「ん? クレム……?」
少女の後ろ姿がクレムに似ている気がしてマリーが呟くと、イヴが叫んだ。
「そうだよ!! クレムだよ。あの子!!」
「オレのこと呼んだ?」
菓子を盛っていた少女はイヴの叫び声を聞いて振り返る。
彼女……ではなく彼は、マリーとイヴが以前パーティーを組んで戦った錬金術師の少年、クレム・クレムソンだった。
***
若葉月25日 夜(5時16分)=5月9日 21:16
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