第二百三十三話 マリー・エドワーズはイヴに『水玉豚のローストポーク』を食べさせてもらう
イヴはマリーの分の『水玉豚のローストポーク』が乗った皿にフォークを乗せてマリーに渡した。
マリーは小さな両手で皿を受け取り、そのまま固まる。
5歳の幼女の手では、この皿を片手で持てる気がしない……っ!!
イヴは固まっているマリーに気づいて首を傾げて口を開いた。
「あ。マリーは片手でお皿を持てない感じ?」
「うん……」
イヴに問いかけられたマリーは小さな両手で皿を持ったまましゅんとして俯く。
どうしよう。どうやって食べよう。
目の前にはすごくおいしそうなローストポークがあるのに……っ。
「じゃあ、あたしがマリーに食べさせてあげるよ。お皿を貸して」
イヴはマリーから皿を受け取るとテーブルに置き、マリー用のナイフとフォークでローストポークを幼女の口にも入る一口サイズの大きさに手早く切り分ける。
そして再び皿を持ち、銀色のフォークに一口サイズのローストポークを乗せてマリーの口元に運ぶ。
「マリー。あーん」
スレンダー美少女キャラのイヴによる『あーん』だ。
まさか自分が『あーん』をされる側になるとは……と思いながらマリーは口を大きく開けた。
イヴはマリーの口に一口サイズに切り分けたローストポークを放り込む。
「んーっ!!」
マリーは口の中のローストポークをもぐもぐと咀嚼しながら満面の笑みを浮かべた。
イヴはマリーがローストポークを噛んでいる間に自分の皿のローストポーク1枚をマリーのフォークを使って器用にくるくると巻き、自分の口に入れた。
マリーは自分がローストポークを味わうことに夢中で、イヴがマリーのフォークを使っていることに気づいていない。
イヴは友達同士、女子同士なのだから同じフォークを使っても問題ないと思っている。コロナ禍のリアルでは、自分以外の誰かと同じフォークを使って物を食べたりはしないけれど……。
イヴは口の中のローストポークを咀嚼しながら一口サイズの大きさに切り分けたローストポークをフォークに乗せ、マリーの口元に運ぶ。
一口目を食べ終えたマリーは大喜びで、二口目のローストポークを食べた。おいしい!!
マリーとイヴは交互に『水玉豚のローストポーク』を食べ進め、そして二人の皿は空になった。
「マリー。オレンジジュース飲む?」
「飲みますっ」
イヴはローストポークを食べ終えたマリーに青色のグラスマーカーがついたグラスを渡した。
マリーはグラスを受け取ってオレンジジュースを飲んだ。
***
若葉月25日 夜(5時12分)=5月9日 21:12
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