第二百二十八話 マリー・エドワーズは固有クエスト『フレデリック・レーンのパーティー逃亡を阻止せよ!!』が達成されたことを知る



マリーはしゃっくりを上げながら、侍女長の後に続いて歩く。

クエストのことがどうしても気になったので、小さな声で「ステータス」と言い、歩きながらステータス画面を出現させた。

そしてステータス画面の『クエスト確認』の部分に触れた。

新たな画面が表示される。





汎用クエスト  固有クエスト【NEW】  ワールドクエスト【NEW】





固有クエストとワールドクエストに【NEW】とついている。

マリーは緊張しながら『固有クエスト』の部分に触れた。

新たな画面が表示される。


マリー・エドワーズの『固有クエスト』の名称一覧が表示され、マリーは【NEW】【達成済み】がついている『フレデリック・レーンのパーティー逃亡を阻止せよ!!』を見つけた。


「よかった。私の固有クエスト、達成されてる……っ」


マリーがほっとして、呟きというには少し大きな声でそう言うと、前を歩く侍女長が足を止めてマリーを振り返る。


「マリーさん。どうかしましたか?」


「いいえっ。なんでもないです……っ」


マリーは首を横に振る。侍女長はマリーが聖人であることを把握し、理解しようとしてくれているがNPCである彼女にプレイヤーとしての情報を漏らしていいとは思わない。


そういえばマリーはさっき、固有クエストを達成しようと必死になって、ワールドクエストや固有クエストのことをレーン卿に喋ってしまったのだが、大泣きしたことでうやむやになったと思いたい。


侍女長はそれ以上マリーに問いを重ねることはなく、再び前を向いて歩き始めた。

マリーは「クローズ」と呟いて聞きとがめられ、侍女長に不審に思われたくなかったので画面を出しっぱなしにしたまま、黙って侍女長の後をついて歩いた。


***


若葉月25日 夕方(4時16分)=5月9日 20:16

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