第百九十一話 マリー・エドワーズはステータス画面を見て自分が種族レベルが2になっていたことに気づく
「あのっ。情報屋さんっ」
情報料をアイテムボックスに収納し終えたマリーは情報屋をまっすぐに見つめて口を開く。
「なんでしょう? マリーさん」
「えっと、リボンとブーツを鑑定しても良いって言ったら対価はいくら頂けますかっ?」
マリーの質問を受けた情報屋は、少し考えてから口を開いた。
「そうですね。リボンは銀貨1枚、ブーツは銀貨5枚といったところでしょうか」
「結構安いな」
「でも、対価を貰えるのは嬉しいことだと思うけど」
「わぅん」
情報屋の答えを聞いたクレムとユリエル、真珠はそれぞれに意見を述べる。
「あの、リボンとブーツの鑑定結果を教えてもらった上での対価だと、どのくらいになりますか?」
マリーは情報屋に問いかけた。
「鑑定結果をお伝えするのであれば対価は『鑑定結果のみ』ということになります」
情報屋のシビアな答えを聞いたマリーは項垂れつつ、口を開く。
「鑑定結果は聞かないので対価をお願いします……」
「わかりました」
情報屋はマリーにリボンとブーツの情報料として銀貨6枚を手渡す。
マリーは情報屋から銀貨6枚を受け取ってアイテムボックスに収納した。
ここでめげても仕方がない。マリーは気を取り直して、さっき領主館で領主たちに『銀のうさぎ亭』の窮状を訴えたことを話した。
情報屋はその話を聞いた後、少し考えて口を開く。
「マリーさん。マリーさんの固有クエストを確認していただいてもいいですか?」
「え? 今ですか?」
「今です。対価として銅貨1枚をお支払いしますので」
「確認しますっ」
マリーは情報屋から銅貨1枚を受け取ってアイテムボックスに収納した後にステータス画面を出現させた。
「あれっ!? 私、いつの間にか種族レベルが2になってる……っ!?」
「マリー。それってこの前、オレたちとパーティーを組んで猿と戦った経験値が入ったせいじゃないか?」
「そうかも……っ!! 私の種族レベルが2になったっていうことは真珠の種族レベルも上がったかもっ」
「わおんっ!!」
マリーの言葉を聞いた真珠はレベルが上がって強くなったかもしれないことが嬉しくて、尻尾を振って耳をぴくぴくと動かす。
「レベルアップおめでとう。マリーちゃん。真珠くん」
ユリエルはマリーに微笑み、嬉しそうに尻尾を振る真珠の頭を優しく撫でた。
真珠は気持ちよさそうに青い目を細める。
マリーはユリエルと真珠の仲の良さにほっこりしながら、ほんの少しだけ、ユリエルに頭を撫でてもらっている真珠が羨ましかった。
「マリーさん。真珠くん。レベルアップおめでとうございます。私からお祝いとして銅貨1枚ずつ差し上げますね」
「情報屋さんっ。ありがとうございます……っ」
マリーは情報屋に厚意に甘え、遠慮なくて右手の手のひらを上に向けて差し出す。
真珠は少し考えて、首を横に振った。
「真珠くんはお祝いの銅貨1枚、いらないのですか?」
「真珠。子犬が遠慮とかすることないんだぜ?」
情報屋とクレムの言葉を聞いて、真珠はもう一度首を横に振り、口を開いた。
「わうーわう」
真珠はそう言って、マリーを見る。
真珠の様子を見ていたユリエルが口を開いた。
「真珠くんは自分の分のお祝いの銅貨1枚をマリーちゃんに渡したいんじゃないのかな?」
「わんっ!! わんわんっ!!」
ユリエルの言葉を聞いた真珠は何度も肯く。
「真珠。私が真珠の分も貰っていいの?」
「わうーっ!! わんっ!!」
マリーと視線を合わせて、真珠は力強く肯く。
真珠は、マリーにはお金が必要で、そのお金がないと真珠とマリーはおうちを出て行かなければならないとわかっている。
「ありがとうっ。真珠……っ」
マリーは真珠の頭を撫でて、真珠をぎゅっと抱きしめた。
真珠はマリーにすり寄って、甘えて鳴いた。
「ではマリーさんにお祝いの銅貨2枚を渡しますね」
情報屋の言葉を聞いたマリーは真珠を解放して、もう一度真珠の頭を撫でた後、情報屋に手のひらを差し出す。
情報屋はマリーに銅貨2枚を渡した。
マリーは真珠と情報屋に感謝しながら、銅貨2枚を大切にアイテムボックスに収納した。
そして、いつの間にか消えてしまっていたステータス画面を再び出現させて『クエスト確認』の部分に触れた。
新たな画面が表示される。
♦
汎用クエスト 固有クエスト【NEW】 ワールドクエスト
♦
「え? 『固有クエスト』のところに【NEW】ってついてる……?」
マリーは画面を見つめて首を傾げた。
***
マリー・エドワーズが情報を売って受け取った対価(第百八十九話・第百九十話分から加算) 金貨13枚/銀貨9枚/銅貨4枚
マリー・エドワーズの種族レベルが2になっていた。(パーティーを組んで戦った経験値が入ったことにマリーは今、気づいた)
若葉月22日 早朝(1時33分)=5月8日 16:33
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