第百六十七話 マリー・エドワーズはアーシャ、イヴとフレンドになる



「いいよ。西門にいるってことは西の森に行く予定だったんでしょ? あたしたちも西の森に行きたかったから」


イヴが気軽にクレムの提案に応じる。

アーシャは目を剥いたまま固まっているマリーと真珠に視線を向けて、声を出さずに唇の動きだけで言葉を伝えようとした。


「いいの?」


マリーはアーシャに唇の動きで話しかけられたことに気づいて、クレムとイヴに視線を向けた。

クレムとイヴはすでにお互いの腕輪を触れさせて、フレンド登録を始めている……。

もう、マリーと真珠が抵抗できる段階ではない。マリーは諦めの微笑みを浮かべてアーシャに肯く。

真珠はため息を吐き、項垂れた。


「じゃあ、ウチはマリーちゃんとフレンド登録させてね」


「よろしくお願いします。アーシャさん……」


本当によろしくお願いしますと思いながらマリーはアーシャに歩み寄り、腕輪が嵌まった左腕をアーシャに差し出す。

アーシャは身を屈めて、自分の腕輪をマリーの腕輪に触れさせた。

真珠はマリーとアーシャのやり取りを見守る。

マリーの目の前に画面が現れた。





プレイヤーNO59992アーシャとフレンド登録しますか?



         はい/いいえ





マリーは『はい』をタップした。画面が切り替わる。





両者の合意が得られたのでフレンド登録されました。

詳細はステータス画面の『フレンド機能』でご確認ください。





「フレンド登録できたね」


微笑んで言うアーシャにマリーが肯いたその時、イヴがマリーに話しかけてきた。


「マリー。次はあたしとフレンド登録しようっ」


「パーティーを組むためにはパーティーリーダーとフレンドになればいいから、マリーはイヴとフレンドにならなくてもいいぞ」


マリーと真珠の苦渋の表情を見たクレムがそう言うと、イヴは唇を尖らせた。


「あたしとマリーは友達なんだから、フレンド登録するのは当然でしょ? もう自己紹介もしたんだし」


自己紹介を終えて互いの名前を知ったら友達。

イヴの言葉は正しい……。


「わうー。くぅん……」


真珠がマリーを気づかうように鳴く。マリーは力なく微笑んで肯いた。

もう、覚悟を決めるしかない。


「私、イヴさんとフレンド登録をします……」


マリーはよろよろとイヴに近づき、腕輪が嵌まった左腕をアーシャに差し出す。

イヴは身を屈めて、自分の腕輪をマリーの腕輪に触れさせた。

真珠は痛ましげにマリーとイヴのやり取りを見守る。

マリーの目の前に画面が現れた。





プレイヤーNO68981イヴとフレンド登録しますか?



         はい/いいえ





マリーは『はい』をタップした。画面が切り替わる。





両者の合意が得られたのでフレンド登録されました。

詳細はステータス画面の『フレンド機能』でご確認ください。





「フレンド登録できたっ」


嬉しそうにイヴが言う。がっくりと項垂れるマリーの背中を真珠は声もなく見つめる。

クレムとアーシャもフレンド登録を終わらせ、そしてイヴとアーシャがクレムをパーティーリーダーとしたパーティーに組み込まれた。


***


若葉月19日 昼(3時13分)=5月7日 24:13

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