第百十話 高橋悠里は固有クエスト達成のためにフレンドを巻き込む
転送の間に戻った悠里は急いでステータス画面を表示させて、新たに発生した固有クエストを確認する。
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クエスト名 父親と彼の親友を仲直りさせよう【NEW】【強制受注】
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「なんか、クエスト名を見ただけでクエスト内容が推測できる……」
借金返済の金策で忙しいのに!!
大人キャラ同士の友情を復活させるとか面倒くさそうなクエストだなあと思いながら悠里は『父親と彼の親友を仲直りさせよう』をタップした。
新たな画面が表示される。
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クエスト名 父親と彼の親友を仲直りさせよう【NEW】【強制受注】
喧嘩をして仲違いした父親と彼の親友を仲直りさせよう。
クエスト発生条件
マリー・エドワーズが父親と『歌うたいの竪琴』の店主ダリル・クレムソンの喧嘩の内容を知り、父親とダリルが仲直りするように働きかける。
クエスト達成条件
父親がダリルと仲直りする気持ちになり、父親とダリルが会って話す。
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「無理!! あんなに頑ななお父さんを懐柔する時間はマリーには無いから!! 借金返済しないといけないのに無理……っ!!」
クエスト内容を確認した悠里は苛立ちを込めて叫んだ。
「高橋悠里様。クエスト名『父親と彼の親友を仲直りさせよう』を達成するためのヒントは必要ですか?」
「必要ですっ!!」
サポートAIの問いかけに、間髪入れずに悠里は答える。
ネタバレに厳しいサポートAIが珍しく自分から助け舟を出してくれたのだ。
これに乗らない手はない。
「ではヒントを。ダリル・クレムソンとクレム・クレムソンを仲直りさせれば何か進展があるかもしれません」
「それ、イベントが増えただけですよね……っ!?」
思わずサポートAIに突っ込んだ後、悠里は首を傾げた。
ダリルとクレムを仲直りさせることは、実は簡単にできるのではないだろうか。
悠里はステータス画面のフレンド機能を使って、クレムにメッセージを送ることにした。
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クレム。5月6日が終わるまでにクレムのお父さんのダリルさんと仲直りをしたらガラスの欠片が落ちている場所を教えてあげる。
ついでにクレムのお父さんに、うちのお父さんに会いに『銀のうさぎ亭』に来るように言ってくれたらすごく嬉しい!!
よろしくね。期待してるから頑張ってね。
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悠里は書いたメッセージを読み直して肯き、送信した。
クレムは今日ログインしてプレイしたのだから、明日もログインするだろう。たぶん。
明日ログインしなくても、メッセージに気づいたらすぐに行動してくれるはずだ。
悠里が勝手に決めた5月6日という期限を過ぎてから動いたとしても、もったいぶってからちゃんとガラスの欠片等のゴミが落ちている『こおうのりょういき』への行き方を教えてあげよう。
自分の冴えた思いつきに気を良くした悠里は口の端を上げた。
固有クエストとはいえ、すべてを悠里やマリーが一人でこなす必要はない。
「そうだ。この固有クエストの情報を情報屋さんに売ってみよう。買ってくれるといいなあ」
マリーは情報屋に『売りたい情報があるから会っていただきたいです。借金の返済日まで時間がないので申し訳ないのですが早めに時間を作って頂けると助かります。よろしくお願いします』とメッセージを書いて送信した。
「メッセージ送信、終わりっ。あとは氷魔法とクリーンをスキル習得画面で検索してみよう」
悠里はステータス画面の『スキル習得』をタップして『氷魔法』で検索をする。
「三つ、出てきた。『アイスキューブ』『アイスニードル』『アイスストーム』か。『アイスキューブ』以外は攻撃魔法っぽいから今はいらないかな」
悠里は『アイスキューブ』の説明を表示させた。
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アイスキューブ【習得要SP5/未習得】
コモンスキル/魔法スキル。
四角い氷を出現させる。レベルを上げるとMPの消費量が増え、一度に出せる氷の数が増える。
レベル1の時、MPを5消費/一辺が3cmの四角い形の氷を1つ出現させることができる。
レベルが1上がるたびにMP消費が5ずつ増え、出せる氷の数が1つずつ増えていく。
使用する時には、器を用意する。手のひらを器にかざして「魔力操作ON」「アイスキューブON」と言う。終了する時には「アイスキューブOFF」か「魔力操作OFF」と言う。
「アイスキューブOFF」の場合は魔力操作は継続となる。
MPが0になると自動的に解除される。
【習得する/習得しない】
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「製氷機で作る四角い氷っぽいのを作れる魔法だよね。習得しよう」
悠里は『習得する』をタップした。ステータス画面に『アイスキューブ』が追加されたことを確認する。
次は『クリーン』を検索してみよう。
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マリー・エドワーズの追加スキル
コモンスキル『アイスキューブ』レベル1
現在のマリー・エドワーズのスキルポイントは125→120
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