第七十五話 高橋悠里は髪型に悩む
食器を洗い終えた悠里は歯を磨いて自室に戻り、スマホのメッセージを確認する。
圭からメッセージが来ていた。
♦
刻んだヒール草をシルバーフォレストウルフの肉にもみ込んで肉を切って、筋切りをした後に塩をふってフライパンで両面焼いたらけっこう美味くなった。
真珠がパニックになると可哀想だから、焼いた肉を渡すのはやめておく。
紙にレシピを書いたから、次にゲームで会った時に渡すよ。
それで、ヒール草を貰ったことは相殺で。次はいつログインする?
♦
「お肉、おいしくなったんだ。よかった。『銀のうさぎ亭』のメニューにできるといいなあ」
次にログインしたら西の森にヒール草を採取しに行こうと思いながら、悠里は圭に『お肉おいしくなってよかった!! ログインは夜かも』と返信をした。
「圭くんに返信したし、お出かけの準備をしよう」
今の時間は12:45。要との約束は14:00だ。
「洋服、なにを着ていこうかな」
悠里はクローゼットを開けて悩む。
……楽な服や着古した服が多くて、選択肢が少ない。
中学生になってから通学は制服だし、ステイホームで出かける機会も減ったから、一番新しく服を買ったのは春休みに晴菜と買い物をした時だ。
「はるちゃんにコーディネイトしてもらって、店員さんにも褒めてもらった服一式を着よう。自分のセンスより信用できる」
悠里は着ている服をベッドに脱ぎすて、クローゼットから取り出した水色のブラウスを着て、ひざ丈より少し短いグレーのプリーツスカートを履いた。
靴下を脱いで、白いレースのハイソックスを履く。
靴は小学校の卒業式に履いたクリーム色のパンプスを履けばいい。
「髪はどうしよう……。とりあえず鏡を見に行こう」
悠里は自室を出て洗面所に向かった。
洗面所の鏡を見ながら髪をとかして、自分の顔をじっと見つめる。
今朝、髪をおろしている姿を見て要に似合っていると言ってもらったので、ポニーテールにしないでおろして行こうか。
「はるちゃんみたいに上手に編み込みとかできればいいんだけどなあ」
悠里は不器用なので髪を綺麗に編み込むことができない。
晴菜は器用で人の髪をいじるのは好きだが、自分は『軽くて楽だから』という理由でショートボブにしている。
「髪型をどうすればいいか、はるちゃんに相談しよう」
悠里は自室に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます