第五話 5月3日/初ログイン



高橋悠里の自宅に『アルカディアオンライン』のゲーム機器が到着したのは5月3日の午前9時を少し過ぎた頃だった。

憲法記念日であり、ゴールデンウィークの最中なので学校は休み。

部活も無い。


コロナ禍で恒例の旅行も取りやめ、友だちと気楽に遊びに出かけられる状況でもない中、暇を持て余していた悠里はゲーム機器の到着を喜んだ。

悠里はゲーム機器が入っている段ボール箱を大切に抱えながら、二階の自室に向かう。


自室に入り、床に段ボール箱を置き、開封する。

中には、ヘッドギアと各種コードと『アルカディアオンライン』専用のゲーム機、各種充電器と機器の取り扱い説明書が入っていた。

一秒でも早くゲームで遊びたい悠里は、最低限の説明だけをざっくりと読み、ゲーム機とヘッドギアをコードで繋ぐ。

それから、ゲーム機とヘッドギアの電源を入れ、ヘッドギアをつけた。

ベッドに横になり、目を閉じる。


「『アルカディアオンライン』を開始します」


ボーカロイドのような声がした直後、悠里の意識は暗転した……。

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