06

帰り道、俺はいつも通り帰りにコンビニに寄っていた。そして、夕食を選んでいる時にそれはやってきた。


 「古宮さん、なにをしているんですか?」


 そう言った彼女の後ろには般若の顔が見える気がした。そう、皆さんご存知、新城凛華である。


 「い、いや〜、わざとじゃなっくてな…その、初日だったから忘れてたというか…。ごめんなさい。」

 「ちゃんと謝れましたね偉いです!それじゃあ、帰りましょうか!」

 「…はい。」


 あっぶねー!もう少しでご飯買うところだった。もし買っていれば、どうなっていたかわからないぞ。

 マンションに着くと、とりあえず俺も凛華もいったん自分の家に帰った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 俺が風呂に入ってアニメを見ていると、インターホンが鳴った。今の俺の環境でうちのインターホンを押すやつは一人しかいない。

やはり、新城だった。


 「さっきぶり、今日からどうぞよろしく。」

 「はい、よろしくされました!では、早速ご飯を作りますね。」

 「ありがとうございます。」

 「ふふ、なんで敬語なんですか。」

 「いや、なんか悪いな〜って。」

 「だったらちゃんと健康に気を遣ってくださいね。」

 「…善処します。」

 「も〜!それ、絶対しないやつじゃないですか‼︎」

 「そうかもな。」


 『そう言って会話を終わらせた瑞樹はどこか楽しそうな表情をしていた。少しずつ彼の心境にも変化が訪れ始めている…かもしれない。』


 「それで、最初のご飯はなにを作ってくれるんだ?」

 

 『目を輝かせて今日の献立を聞いてくる瑞樹を見て凛華は赤面した。もうこの2人、早く付き合ったほうがいいと思う。』


 「あの、その…今日は時間もありませんので、豚の生姜焼きにしようかと。嫌でしたか?」

 「そんなことはない!めっちゃ好き‼︎」

 「そんなに喜ばれると、緊張します。あと、その顔やめてください。古宮くんを見られなくなっちゃいます。」

 「あ、ご、、ごめん。そんなに気持ち悪かったか?気をつける。」

 「そ、そうじゃありません‼︎(可愛すぎて見れないなんて、恥ずかしくて言えません。)」

 

 『相当必死に否定してくる凛華に、少しだけ安心した瑞樹だったが、それと同時に「じゃあなんで顔を見れないんだろう。」と疑問を抱いたのだった』


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 「古宮さん料理ができたので、テーブルに運ぶの手伝ってください。」

 「わかった。すげ〜うちに料理がある。うまそう!」

 「それは良かったです。ってどこに驚いているんですか!」

 「まあまあ、仕方がないだろ?料理ができないんだから。」


 『ついに開き直った瑞樹だった』


 「はぁ〜よくそれで生きていけましたね?」

 「よし、早く食べようぜ、な?」

 「…そうですね、そろそろお腹もすきましたし食べましょうか。」

 「それじゃあ、いただきます!」

 「どうですか?」


 不安そうに感想を求める凛華に対し、顔を綻ばせてそれに答えた。


 「めちゃめちゃうまい!ほんとに最高‼︎ありがとう!」




 まさか、実家からでて豚の生姜焼きを食えるなんて。まじで最高!これ、成り行きで始めた関係だけど結構いいかもしれない。この家にいる間は絶対幸せでいてもらわないと。逃げられたら困る。


『凛華は瑞樹がこんな恐ろしいことを考えているとは知らず、料理を褒められたことを純粋に喜んでいた。次の日から、周囲が勘違いするほどに甘やかしてくる瑞樹の心情がわからず、悶々とする凛華の姿が、たびたび目撃されるようになったという。』

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