07

初めて家に料理が出てきた次の日、俺はいつもより早く起きて身だしなみを整えていた。

 なぜって?不潔に見られて気分を害されたらたまったものじゃないからだ。

 というわけで、髪をワックスで整えて、目元もはっきり開けるようにすると…うん、不思議と見られないものではなかった。

 そうしてしばらく待っていると。


 [ピンポーン]


 いつも通り、チャイムがなったため迎え入れる。


 「よ、おはよう。顔が赤いけど大丈夫か?」

 「……。」

 「…新城?体調が悪いなら今日は俺が休みを伝えておくから、休めよ。」

 「い、いえ、そうではなくて。その…今日はどうしたんですか?」


 そう言って、目線で俺の髪を指している新城を見て、少なくとも嫌な印象は与えていなさそうだと思った。


 「この髪のことか?おまえに不快感を与えないようにちょっとワックスで整えてみたんだ。いやか?」

 「別に嫌ではありませんが…その格好で学校には行ってほしくないです。それは、私の前だけでしてください。」

 「え?なんで?」

 「他の人に見せたくないんです‼︎ライバルが増えそうですから…。」


 そう言った新城の顔は真っ赤になっていた。

 そして仕方なくワックスを落としてきた俺は、結局なんのライバルなんだと思ったが、それを聞いてはいけない気がした。


 二人で朝食を食べたあと、俺が「そろそろ学校に行こうか」と言うと、小さい声で、「はい」と言った。


 結局、俺と新城は通学中に一度も話すことはなかったが、時々、隣からちらちらと視線を感じるのが気になった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 通学路が近づき、新城と別れたあと、陰キャの俺に声をかける強者がいた。拓実の彼女で運動神経抜群の学校カーストがあれば間違いなく上位に来るような女子、楠木日向くすきひなただ。


 「ヤッホー瑞樹!相変わらずしけた顔してるね!」

 「よう、日向。おまえも朝から元気だな。」

 「そりゃもちろん!たっくんと電話で話せたからね!」

 「そうかいそうかい。末長く爆発しやがれ!」

 「ところで瑞樹さんや、最近森の聖女様と付き合ってるってのは本当かね。」

 「ちげーよ、おまえだから言うが、少し話をする程度だよ。」

 「ちぇっなーんだ残念。今度紹介してよ。私ずっと話してみたかったんだ‼︎」

 「あいつがいいって言ったらな。」

 「やったー!」

 「…。新城、御愁傷様です。」

 「なんでさー!もう、私ぷんぷんだよ!ぷんぷんだよ‼︎」

 「じゃあな。日向」

 

 『こうやって、日向から逃げようとするも運動神経がいい日向からはにげられず…』


 「にがさないよ!今日はとことん聖女様の話を聞かせてもらうからね!」



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本日は長くなりそうでしたのでここで切ります。

今週はここまでです。ありがとうございました。

また来週よろしくお願いします。

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