03
「ありがとうございます。どうぞ、入ってください♪」
「失礼しまーす。できたから持ってきたぞ〜」
「さっきぶりですね。じゃあ食べさせてください!」
「なあおまえ、実は元気だよな!?というか、いきなり食べさせてって。なかなか言うやついないぞ!」
「いや、ですか?」
可愛いが、それがまた、たちが悪い。
「いや、では無いけど…。」
「じゃあ、おねがいします!」
「…ん。」
「ありがとうございます!」
『なお、この会話はついさっき初めて家にお呼ばれされた瑞樹と家の持ち主である凛華のものである。
内容こそ付き合いたてのバカップルの会話だが、実はちゃんと話をしたのは、今が初めてだ。』
はぁ〜なにやってんだろ、俺。本当なら今頃、アニメを見て寝ている時間だったのに…。まあ、きつそうだから許すけど。
「じゃあそろそろ、俺は帰るよ。」
ぎゅっ
「待ってください。今日は泊まって行ってください。」
なにを言っちゃってくれてんのこの人!たいして親しくも無い男に対していきなり泊まって行けとは?
「/// いや、あの…すみません。言葉選びを間違えました。」
流石にさっきのは間違いだったようだ。
「いや、わかった。おまえが寝るまでは、ここにいる。」
「…ありがとう、ございます。」
「……実は、あのラウィンは送るはずじゃなかったんです。母に送ろうとしたもので、でも結局送らずにやめたんですけど…。間違って古宮くんに送っていたみたいですね。すみません。」
なにか、家族の中でもあるのかもな。
「それは、いいけど。」
「そうですか?なにか後悔をしたような顔をされていたので。ご迷惑だったかと。」
「いや、それは…ただアニメを見たかっただけと言うか、なんというか悪いな。だけどおまえなら、俺が来なくても誰か友達でも来てくれたんじゃないか?」
「いえ、こんな時に学校では人気があっても、誰もお見舞いにはきてくれないんですよ。そもそも、私の家の場所なんて、同じマンションに住んでいるあなたしか知りませんよ。…なので正直、期待はしていなかったんです。誰かが来てくれるってそう思っていると、来てくれなっかた時にすごく落ち込んでしまいますから。だからあなたが来てくれた時は状況が状況でしたので恥ずかしかったですけど、それ以上に嬉しかったんです。」
「そうか。ならよかったよ。」
正直、今彼女のことをよく知らない時点でこれ以上に踏み込むのは憚られる。
「とりあえず、今は俺がいるから早く風邪を治せよ。じゃないと明日も俺が一人で花の世話をしないといけなくなるからな。」
「ふふ、そうですね。早く治します。じゃないとお花さん達が可哀想ですからね。おやすみなさい。今日は本当にありがとうございました。」
「…はぁ〜おやすみ、しっかり休めよ。」
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