02
ヒエピタを貼った後新城が目を覚ますまでの間、とくにできることがあるわけでもなく、俺は壁にもたれてラノベを読んでいた。
どれだけの間そうしていただろう。時間にしては一瞬、それでも確かに時間は経っていた。窓から差し込む夕焼けが時間の流れをはっきりと示し、同時に切ない感情を誘い出す。
そうして夕日を眺めていると、彼女を寝かせた部屋から物音がした。そういえば、しばらく様子を見てなかったと思い彼女の部屋に向かう。
部屋に入ってから呆然とした。なぜって?寝ていたはずの新城が、真っ赤な顔をして下着姿のまま固まっていたからだ。当然そのまま見続けるわけにもいかず、速攻で部屋を出てドア越しに謝った。
「悪い、わざとじゃ無いんだ。しばらく様子を見てなかったから、見にきただけで…。」
「それはいいです。それよりなんで家にあなたが居るんですか!?」
「え?だって助けてってラウィンで…。」
「……うそぉ〜」(カぁ~)
『なんとも不思議な恥ずかしがり方をする少女である。』
「なんかごめん。それより、体調はどう?食欲はある?」
「おかげさまで?多少はマシになりました。食欲はあまり無いですが…?」
「お粥、レトルトでいいなら出せるけど。」
「一人暮らし…ですよね?」
「?そうだけど。それがなに?」
「料理できないんですか?」
『なんとも的確に苦しいところをついてくる少女でもある。』
「じゃあ5分でできるから、ここで待ってて。」
『少年は無視を決め込むようだ。』
「料理できないんですか?」
『そして質問を繰り返す少女。』
「じゃあまた後でな!」
『少年は無視を決め込み。以後このやりは延々と繰り返されるのだろうか?そうなればきっと、話はずっと平行線である。』
…危ない危ない。痛いところをついてきやがって。
さて、こいつは本当に便利だな。料理ができなくても美味い飯を食べられる。時代は進んだな。
『少年よ、お前はどこの目線で話をしている?発言がおっさんくさいぞ。』
そうこうしていれば、5分なんてものはすぐに経つ。
できたお粥を新城に持っていく。
「できたぞ〜。入っていいか?」
『先程の失敗は繰り返さない少年』
「ありがとうございます。どうぞ、入ってください!」
『少女よ、なんだかんだ少し嬉しそうだな』
『この話、綺麗に着地できるのだろうか。すごく心配である。』
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