第24話 猫の目光線
「では、この絵をご覧なさい。絵というより、イラストだな、これは」
環境教育の授業で、先生は一枚のイラストを手にかざした。太田先生だ。
大田はかなり年が行っていたが、生徒には人気があった。おっとりした所がいいのかもしれない。普段は歴史を教えている。そのせいかどうか、この絵も古いものらしい。
「この絵は、40程も前に書かれたものだ。今でも大切な事を我々に教えてくれとるんじゃよ」
イラストは上下に分かれていた。どちらにも、人が一人いて、背景には自然の風景が描かれている。では、上下で何が違うかというと、上の人は綺麗なピカピカの身なりをしていて、下の人は、ボロボロの服を着ているのだ。そして、これが面白いのだが、ピカピカの身なりの背景の自然がボロボロなのだ。川はヘドロで汚れ、森は枯れている。一方、ボロボロの人の背景の自然は、逆にピカピカなのだ。
「さて、それではこのイラストを説明してみたい人はいるかな」
留美は、真っ先に手を挙げた。
「ほう、では留美さん、説明してみなさい」
「はい、人がピカピカになるためには、沢山の洗剤や素材を使います。そうすると、自然は痛みます。逆に、人がそういったものを使わずに、あるもので暮らすようにすれば、自然は綺麗に保たれます」
「うーん、留美にしては模範解答だな、よろしい」
褒められたのかどうか、なんとなく微妙だが、説明としては合っていたようだ。
「下の絵の人はボロを着ているが、私が子供のころには、こんな人はまだまだいたんじゃよ。私だってお下がりの服を、繰り返し
あまり昔の事をくどくど言うと嫌がられる、というのを良く心得ている大田は、衣服についてそれ以上言わなかった。
「当時は、環境問題として温暖化は無かった。工業生産や家庭からの有害物質が一番の問題だった。だから、上の絵のように人がピカピカなのは、工業製品のお陰だから、こういう絵になっとる」
留美は、このイラストがいたく気に入ったようだった。
「先生、質問があります。今でも、ボロボロの格好をしていた方が、環境にいいんですか?」
大田は、笑いながら答えた。周りの生徒達も笑っている。
「今は廃液や排煙の浄化技術が進んでいるから、昔のような問題は起きていない。それにリサイクル技術もあるから、なんでも長く使えばいいってもんでもない」
大田は、そこで少し真剣な表情になった。
「そうは言っても、やはり留美さんは正しい。空気を汚染する排煙は少ない方がいいし、水を汚濁する化学物質も少ない方がいい。ちゃんと国の基準を満たしているとか、リサイクルしているとか、人体に影響は無いなどという議論とは別に、何て言ったらいいのかなあ、自然への敬意と畏敬の念を忘れないことが大切だと思うんだよな」
大田の言葉を思い返しながら、帰り道を歩いていた。
「確かにそうね。現代人って、ピカピカ過ぎるよね、頭の先から、つま先まで。毎日お風呂に入って、シャンプーして。服は毎日じゃないけど、洗剤で洗っていつもしゃきっとピカピカ。でも、そんな必要あるのかしら」
両親の影響なのだろうが、素直に皆がやっているようにやる事に、ついつい疑問を持ってしまう。
「だって、お風呂だって、今のような寒い時期には毎日入る必要なんて無いわよね。ウチは元々シャワーだけだけど。それに着るものだって、こんなにいつも綺麗にしておく必要あるのかしら。シャツだって『真っ白』でなくちゃいけない理由なんか無いよね。単に、『見た目』だよね」
家に帰って、両親に宣言した。
「私、今日から環境にやさしい生活するわ。ううん、CO2の話しなんかじゃないの。ピカピカを
なんだか良く分からないが、父親は笑っている。母親は、また始まった、という調子で呟いていた。
「ピカピカねぇ。今度は何の事かしらね」
留美は、まず箪笥の引き出しに入れていた、穴の開いた靴下を引っ張り出してきた。これに継当てをするのだ。母親に
指を何度も針で刺して、痛い思いをしながらやっと完成した。見た目は悪いが十分使えそうだ。なんだか自慢したくなり、母親に見せた。
「あらあら、お裁縫なんて珍しいわね。しかも、靴下を縫うなんて立派だわ。
やってみると面白い。もっと縫い物をしたかったが、他にめぼしいものは無かった。残念だ。
次に、お風呂の、と言ってもシャワーなのだが、回数を減らした。その代わり、シャワーを浴びない日は、よく絞ったタオルで体を拭いた。これがやってみると、意外に爽やかだ。さっぱりする。
さらに、シャンプーや石鹸を使う量もできるだけ減らすようにした。それから、シャンプーは、父親と同じ、石鹸シャンプーに変えてみた。髪がバサバサになるから嫌いだったのだが、しばらく使ってみると、そうでもなく、意外に大丈夫だった。でもゴワゴワ感は否めない。
洗濯物も粉石鹸にした。できるだけ化学物質の使用を減らそうと思ったのだ。母親は別にダメだとは言わないが、こんな風に言っていた。
「白が黄ばんで来ると思うよ。別に気にしないならいいけど」
「うん、『真っ白』は要らない」
こうして、「ボロボロ」が始まった。果たしてこれで、周りの環境は「ピカピカ」になるのだろうか。
留美の変化に最初に気付いたのは、親友の洋子だった。
「ねえ、留美、なんか制服がくすんで見えるよ。気のせいかな。ちゃんと洗濯してる?」
「あー、やっぱり分かる? 今、洗濯に粉石鹸使ってるんだ。それに、洗濯の回数も半分にした」
「もしかして、あの環境教育の時の話しを実践しようとしているの?」
さすがに洋子は勘が鋭い。
「わー、良く分かったわね。すごい。それでね、ちょっと変なお願いがあるの」
「何?」
「私、シャワーの回数減らしたり、芳香剤も使わないようにしたの。だからね、もし私が臭かったら言ってほしいの」
「やだー。そこまでやってるの? でも、いいわ、他ならぬ留美の頼みだもん。そうだよね、臭かったら迷惑だもんね」
ミケの所に行って、今の取り組みを説明した。
「ミケ、『ピカピカ』
「ミー」
「私は少しでも環境に優しくしようと、衣服も繕っているけど、ミケは最初から衣服なんか使っていないんだからすごいよね。物を持ってないから、リサイクルだって、したくてもできないでしょ。本当に感心しちゃう」
留美は環境の基準をいつのまにか人から猫に移しているようだ。ちょっとやりすぎな気もするが、これも彼女のいい所だ。
見る人が見れば、いつものパリッとした留美の姿が段々と変わってきているのに気付くだろう。髪もなんとなくボサボサで、制服も少しくたびれた感じになってきた。近づいてみると、
洋子は心配して言った。
「見た目で分かるようになって来た気がするな。鼻の効く人なら匂いにも感づいちゃうかも」
「本当? でも、このくらいならいいと思っているから」
そう答えたものの、ほどなく匂いが、よりによって男子生徒にバレてしまった。その事は瞬時に全校に広がり、
「くさくさ留美」
と言われるようになってしまった。
洋子はハラハラしたが、肝心の本人は意に介していないようだった。
「あー、ばれちゃった。まあ、いいや」
自分のしていることが間違っていないと確信があるので、周りの評価なんか気にしていないようだった。
それでも、なんとなく自分を敬遠する生徒が増えたような気がしていた。先生達の中にも接する態度が違ってきている者が出始めた。
「ねえ、ミケ、私『くさくさ留美』って言われちゃった。まあ、いいよね。これでミケと仲間かも」
「ミーウ」
ミケはもちろん、言っている事は分からないと思うが、「くさくさ留美」にも、いつもと変わらず接してくれる。
「ちょっと違うくらいで、皆んな、なんとなく態度変わるよねー。別にびっくりするような事しているわけじゃあないのに。でも、ミケはいつも通りに接してくれるから嬉しいわ。ありがとう、ミケ」
ミケは感謝されて嬉しそうだった。ミケから見れば、仮に留美が裸で来たって別に驚く事じゃあない。洗濯しなくても、風呂に入らなくても、やっぱりいつもの留美だ。何も変わりは無い。そんな些細な事で人を判断したりしない。
「洋子は、もちろん分かってくれているわ。それにウチの両親も。全然気にしていないみたい。ある意味、すごいよね。この『いい加減さ』というか『ユニバーサル度』というか、やっぱり尊敬に値するよ。そうそう、大田先生も応援してくれてるよ」
しかし、この先どうしていいかちょっと分からなくなっていた。
「あー、もう一度生徒会長に立候補して、『皆さん、お風呂は三日に一度にしましょう、服はボロボロになるまで着ましょう』って言ってやりたいな。誰も投票してくれないと思うけど」
困っていそうな留美を見て、ミケはある提案をしてきた。
「ミーミャオー?」
「何それ? 『猫の目光線』? ミケもとうとうSFっぽくなってきたわね。それでどうなるの?」
「ミューンミーミー」
「光線に当たった人は『猫の目』になるっていうの? それじゃあ、SFじゃなくて、妖怪ものだよ。猫娘とか、猫目小僧とか」
ミケは、湘南なぎさ高校の方に向かって歩き出した。留美はなんだか良く分からなかったが、放って置く訳にもいかないので、付いていった。
ミケは平然と正門から入っていく。まだ学校に残っていた生徒達がミケと留美を交互に見ている。また留美が何か変な事を始めたと思っているに違いない。先生達も怪訝な顔で見ている。
ミケは階段を登り、屋上に出た。遠くに湘南の海が見える。周囲には留美の住む街が広がっている。
「ミケ、屋上で何すんの?」
ミケは大きく息を吸い込むと、あらん限りの大きな鳴き声を上げた。
「フンギャーーー!」
その瞬間、辺りが緑色の
「うわー、びっくりした。何これ? これが『猫の目光線』なの?」
しかし、別に辺りに変化は無かった。いつも通りの街の様子と、遠くに海と。校庭にはいくらか人がいたが、特に変化は見られない。
「ミケ、頑張ってくれてありがとう。私の為にやってくれているのよね。さ、もう帰ろ」
ミケと留美は、階段を降りて行った。そこで、何かが違うのに気がついた。さっきまで、怪訝な顔をして見ていた生徒や先生たちが、もう留美の方は見ておらず、まるで関心が無い様子なのだ。
「ん? 何か変わったのかなあ。ひょっとして『猫の目光線』で、私が皆んなと同じ『ピカピカ』になって、『くさくさ』もなくなったったとか」
しかし、自分の服装を見ても別に変化はなかった。相変わらず、よれよれで、繕った所がいくつかある。くさくさも、そのままだろう。
しかし、変化は男子生徒達とすれ違ったときに確信できた。いつもは鼻を摘んで大きく留美を
「あれー、どうしたのかなあ。まあ、馬鹿にされないのは嬉しいけど。ねえ、ミケ、何したの?」
その時、突然気付いた事があった。確かめるため、先ほどすれ違った男子生徒達の所に走って戻って、彼らの顔を
「わっ、猫目!」
驚いた。男子生徒が皆んな、猫目をしているのだ。猫目小僧のようだ。男子生徒達も、突然、驚かれて、驚いていた。しかし、何が何なのか分かっていなかった。猫目になっている自覚症状は無いようだ。
慌てて近くの洗面所に飛び込んだ。鏡に映る自分の目を見てほっとした。
「あー、良かった。私は猫目になっていないわ」
ミケの所に戻ると言った。
「『猫の目光線』って、そういう事だったの。でも私は猫目になってないわ。それに、なんだか皆んなの私に対する振る舞いが変わったような気がする。変わったというか、普通になったというか。まだ良く分かんないけど」
そう言う留美を後に残して、ミケはさっさと歩き出した。正門を抜けて、いつもの土手に向かっていた。
留美は恐る恐る、家の玄関に上がった。そっと母親の声のする方を見た。
「あら、お帰り」
「あ、良かった、お母さん、猫目になってなかった」
母親は留美が変な事をしたり変な事を言ったりするのには慣れていた。この前は「ピカピカ」で、今日は、「猫目」だ。
「何、その猫目って?」
「ううん、まだ良く分からないの。でも猫目になる人と、ならない人がいるみたいなの。猫目は高校の生徒だけなのかなあ」
その後も観察を続けた。学校の生徒と先生の多くは猫目になっていた。なっていない人も若干いる。親友の洋子もその一人だ。
「・・・・・・という訳で、ミケの『猫の目光線』で皆んな猫目になっちゃったの。でもウチの両親や洋子はなってないわね。不思議ね」
「猫目になるとどうなるのかしら。ネズミを見つけたら飛び掛っちゃうのかなあ」
洋子はそんな、のんきな事を言って笑っている。とりあえずは、猫目もそうでない人達も、普通に日常生活を送れているように見える。だから、それほど深刻な問題ではないのかもしれない。
学校で大田先生とすれ違った時、先生は猫目になっていない事に気がついた。先生は全員、猫目になったと思っていたから、これは驚きだった。留美は、大田先生に相談してみることにした。
「・・・・・・という訳で、友達のミケという猫がやった事なんだけど、どうもそれ以来、私がボロボロ活動をしていても、変な目で見られなくなったみたいなんです。皆んな以前と変わらない接し方をしてくれるんです。何が起きているのかわかりますか」
「んー、私も歴史を教えている関係で、民俗学もちょっとかじっておってな、ちょっと似た民話がある。武士、農民なんかの身分がきっちりしていた時代に、皆が猫目になったのだよ。猫の目で見る訳だから、見ても、その人が偉い人か、庶民か、はたまた奴隷か分からない。それで結局皆んな平等になり、豊かになったっていう話し。参考になるかなあ」
「あー、すごい、先生! 分かりました。それですよ。ミケはそれをやりたかったんですよ。ありがとうございました」
ちょっと試してみた。いつもより、もっとボロボロのわざと破いた服を着て、猫目の生徒や先生の前を歩いてみた。全然気にしていない様子だった。さらに、髪の毛をぐしゃぐしゃにして、泥を塗りつけてみた。それでも、猫目達は、全く気にかけなかった。
「うーん、これは気楽でいいけど、皆んながこうだと、髪も服装もだらしなくなっちゃうなあ」
そう思っていると、通りかかった洋子は大きな声で言った。
「わー、何それ、留美。ひどい格好してるわね」
もう一つ、不思議な事が起きていた。ミケの所にいると、中高年の人や、障害者の人がやって来るのだ。皆、一様にミケにお礼を言って帰って行く。
「ミケさん、なんとなく人から避けられているように思っていたんだけど、それが無くなったみたい。私を見て小走りする人も、もういないよ。どうもありがとう」
「ミケさんや、ありがとな。なんだか気分いいよ。暮らしやすくなった感じがするね」
「公園のベンチでね、私が座っている横に、若い親御さんや子供さんが、すっと座ってくれるようになったんじゃ。嬉しいね。これまで何年もの間、一度もなかったのにな、こんな事。ミケ、ありがとうよ」
留美は自分で始めた「ボロボロ」のせいで、周囲から胡散臭く思われていた訳だが、自分以外にも、疎外感や孤立感を抱いている人が多くいる事を知った。これは自分も反省しなければいけないことかもしれない。知らず知らずのうちに、他の人を避けるような態度をとっていたかもしれないのだ。
留美は猫目にならなかった人達の事を考えていた。自分も含めてだ。
「人を差別、区別して見ていない人は猫目にならなかったのかなあ。ウチの両親や太田先生なんかそうだよね、納得できる。でも、自分も猫目にならなかったっていうのは今ひとつ
そんな時、人畜無害と思われた猫目に問題が生じた。最初は大した事ではないと思われたが、次第に問題は大きくなって行った。その兆しは、野良猫達だった。
「あら、ブチ、トラ、どうしたの」
「ニャオーンニャー!」
二匹はさかんに訴えていた。それは、人が自分達を無視するというのだ。特に問題とは思えないが、事情を聞くにつけ、二匹の気持ちも分かってきた。
「ふーん、これまでは人が寄ってきて『あら、かわいいわね』とか『ほら、こっちおいで』とか言ってくれていたのが、全然言ってくれなくなったって? そうねえ、猫目の人は動物の目で見るから、あなた達を見ても、天敵かどうか、食料かどうか、としてしか判断しないんだと思うよ。『かわいい』っていうのは人間的な感覚だからね、きっと」
「ニュンニャウン!」
二匹は、さらに、餌も貰えなくなったと窮状を訴えた。
「餌を貰っていたの? 野良猫はちゃんと自分で餌探さなくっちゃ。それに、人がくれる餌なんか、健康に悪いよ」
話しが野良猫だけに留まっていれば良かったのが、これがペットに広がった。ペットに対する『かわいい』という感覚が減退してしまったのだ。単に、そこに自分以外の動物がいるという認識になってしまったのだ。飼い主は、なぜこの猫なり犬を養わなければならないか、理由を見出せなかった。ましてや大型犬は脅威になる。あちこちで、ペットの遺棄が行われた。これは動物愛護法違反である。警察と保健所は実態調査と、遺棄の防止策に乗りだした。
「ねえねえ、ミケ、ちょっとマズいよ。ミケにお礼を言いに訪れていた中高年や障害者の人達には悪いけど、やっぱり猫目は元に戻した方がいいよ。私は別に変に見られてもいいからさ」
事態が社会問題化してきて、焦りを覚えた。元はと言えば、自分が「ボロボロ」を始めた事にある。
手をこまねいている間に、事態はさらに悪化した。今度は、まだ小学生の子供を家から追い出す親が出てきたのだ。確かに、霊長類などから推定するなら、人間の子供も、十歳くらいで親離れしてもおかしくない。だからと言って、高度に文明化した人間社会でそれは無茶だ。しかし、猫目化した親達は、法律など無視して、子供の追い出しを始めた。学校や児童養護施設は大騒ぎになった。これには留美も無視できなかった。自分も追い出されてはたまらない。
ミケは、渋っていた。折角、留美を助けたというのに、元に戻してしまっては、面白くない。しかし、説得に、ようやく重い腰を上げた。そして、同じように湘南なぎさ高校の方へ歩き始めた。校舎に入ると、屋上に上がった。ミケは今度も大きな声で鳴いて、屋上を一周した。
「ミャミャミャミャミャーン!」
すると、青っぽい霞が立ち込め、そして、ゆっくりと晴れていった。留美は確かめる為に、階段を駆け下りた。生徒達や先生達の猫目は消えていた。しかし、留美を避けるような目で見ている。男子生徒達は鼻を摘んで、
「くさくさ留美」
と言っている。
「わー、皆んな、ありがと! 元に戻ったわ」
男子生徒達は「ありがと」と言われ、摘んだ鼻を離して駆けてゆく留美を見ていた。その後をミケが追いかけて行った。
正門を出たところで太田に会った。
「猫目は解消したようじゃな。まあ、いい所もあったんで残念だが、人を分別して見るというのは、やむを得んじゃろうな、今の社会では」
「先生、人って難しいですね。猫目にならなくても、猫の目で人を見られるといいと思います。それからボロっていいですね。繕った服着ていると、恥ずかしいより、変な満足感があります」
太田はニッコリ笑って、ミケと一緒に帰って行く留美を見送った。
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