閑話

第3章の予告付きオマケ(※これまでのネタバレあり)

 いつも転生のおとをご覧頂きまして誠にありがとうございます。このお話はまだまだ続く予定ですが、現時点で構想がまとまっていないため、いったん完結の扱いといたします。


 その間のたわむれとして用語の解説などをしたためましたので、お目通し下さいませ。


 なお、表題の通りネタバレがありますので、第2章をご一読頂いた後に、ご覧になることをお奨めします。


1.ハレ大陸および大国の位置関係

 ハレ大陸は北西部と南東部が張り出た平行四辺形のようになっており、西部を東西に走り南北に分けている”とんがり屋根”トーム山脈、南部を南北に走り東西に分けている”お椀をひっくり返した”クペル連山、北西部の峻険な大山岳地帯、北東部の広大な”どこまでも昏く深い”サンファン湖が特徴的。なお、サンファン湖の底には神の遺物が沈んでいるとまことしやかに囁かれている。


 第2章の主な舞台となっていたアシハラ王国はもっとも気候が安定している大陸の南西部、ドリテ王国はクペル連山を挟んでアシハラ王国の東側、神聖リヒトはアシハラ王国の北側、北西部の大山岳地帯に在る。


2.登場人物

(1)王族

エン・トウ・アシハラ

 物語開始時点のアシハラ王国国王。


カズ・ヨシハラ

 エンの弟。交易中継都市ヨシミズ周辺の領主。グスタフ死去後に宰相、エン死去後にアシハラ王国国王となり、名前もカズ・トウ・アシハラになる。


(2)オダ一族 弁柄色の髪色が特徴

シュテファン・オダ

 第1章のボク。


ロータル・オダ

 シュテファンの父。美しい女性への憧れが屈折してしまっている。


エレオノーラ・レーデ・オダ

 シュテファンの母。第1章の家庭教師。神聖リヒトの穏健派大司教アーチビスコプレーデ家の娘。


グスタフ・オダ

 シュテファンの伯父。アシハラ王国の宰相。むきむき。


ディートリンデ・モウリ・オダ

 グスタフ・オダの妻。カネウラ一帯を治めるモウリ家の娘。体が弱く、ドロテ出産後に死亡。プレクトランサスの花が好き。


ランプレヒト・オダ

 グスタフの長男。戦闘よりも交渉や政治が得意と本人は言っていたが、弟のハインツに言わせれば兵士の指揮能力もかなり優秀だったとのこと。


ハインツ・オダ

 グスタフの次男。政治よりも体を動かすことが得意。ランプレヒトの死後は祖父からの統治路線を引き継ぎ、特に衛生設備の充実に注力した。


ドロテ・オダ

 グスタフの末娘。子供の頃から一族の暗い雰囲気を察してか、人を笑顔にすることを生きがいにしている。


ゲラルト・オダ

 グスタフの父。シュテファンの祖父。オダ領内のインフラ整備を推し進め、死後、その路線をグスタフが引き継いだ。


コンラート・オダ

 第1章のワタシ。ハインツの次男。グスタフの孫。


(3)傭兵組合の関係者

ペーター

 オダ領の傭兵組合組合長。むきむき。


ニクラウス

 第1章のお兄さん。イヌイ傭兵組合の事務・受付担当。好青年。好中年。


モーリッツ

 たまに組合の事務仕事を手伝っている傷が多いおじさん傭兵。


エトムント

 傭兵。第1章のアニキ。


バルナバス

 傭兵。第1章の坊主頭の紳士先輩。


アロイス

 傭兵。第1章の狩猟講習でスヴァンと同行。趣味は狩猟。


ギード

 ビール腹の傭兵。本職は花屋。


アルバン

 傭兵。サコの魔物駆除で同行。近接戦闘が得意。


クレーメンス

 傭兵。サコの魔物駆除で同行。本職は猟師。


ノルベルト

 傭兵。サコの魔物駆除で同行。本職は猟師。


フォルカー

 オダ領傭兵組合のサコ支部長。むきむき。


エッボ

 サコの傭兵。ラーレの兄。異名付きの傭兵に憧れを持つ。


ラーレ

 イヌイ傭兵組合の事務手伝い。エッボの妹。中近東ではチューリップのこと。花言葉は儚い恋。


ボドワン

 ドゥリビエ傭兵組合組合長・ドリテ王国傭兵組合元締め。


ユーグ

 ドゥリビエ傭兵組合副組合長。むきむき。


(4)フォーゲル一族

オスヴァルト・フォーゲル

 第1章の若い執事。スヴァンと同い年。

 髪の毛はさらさらダークブラウンで向かって左6:右4で流し、後ろ髪を黄色いリボンで束ねている。フォーゲル家は古くからのオダ家のクニヒトであり、自身のインターナート修了後、じきにつながりのあるオダ家に働きに出た。グスタフ・オダ死亡後も執事として勤めていたが、ランプレヒト・オダ病死後に資金難により暇を出される。その後、傭兵組合に所属して主に貴族の身辺警護などで生計を立てた。


アルマ・フォーゲル

 ドロテの侍女。オスヴァルトの5歳下の妹。仕事が出来そうな細面。さらさらダークブラウンの長い髪を向かって左8:右2で後ろに流し、後ろで黄色いリボンでまとめている。白いバンドカラーのシャツ、ダークグレイのステイズにスカート。頭巾は付けていない。剣術を嗜み、腕前はスヴァンより上。1577年、24歳で29歳のスヴァンと結婚。1男1女に恵まれる。


フェルディナント・フォーゲル

 フォーゲル家の当代。オスヴァルトの父。ぴっちり分けられた中分けの髪と、立派なカイゼル髭。容姿はオスヴァルトとよく似ているが、筋骨隆々。


ブリギッテ・アルニム・フォーゲル

 フェルディナントの妻。オスヴァルトとアルマの母。ふっくらとしていて気品のある貴婦人。ゾンマー川東側のクニヒト、アルニム家当主の妹。


ジルケ

 フォーゲル家の大ベテラン侍女。白髪を束ねるリボンは天藍(てんらん)色。ツチダでスヴァンをベッケンさんと呼んだ老婆。フェルディナントの曾祖父の四男の娘。当代フォーゲル一族の剣の師匠にして前の兵長。


(5)その他

クリスタ・ホルツマン

 第1章のマザー。エレオノーラの元・侍女。シェスト教司祭。20代後半に神託を授かる。正確な年齢は誰も知らない永遠の16歳。


ドミニク

 ボーネン食堂の店主。


オットマー

 第1章の行商人さん。ルッツ修業時代のアイゲントーマ。


ルッツ

 第1章、ワタシのアイゲントーマ、オレの行商人さんのヨシミズ店の番頭。神聖リヒト圏シェドニィドゥベジェ出身。前の名はルジェク。アシハラ王国に住む際に名前を変えた。


マチェイ

 ルッツの弟。1577年時点で18歳。話し好き。


ボニファーツ・バルベ

 第1章のツチダの衛兵長。オダ領内でダミアン・カルツと1,2を争う強者。


ハンネス

 ツチダの班長の一人。スヴァンのヤロウハーブティーを飲む。


ダミアン・カルツ

 第1章のグスタフ一行の護衛隊長。オダ領内でボニファーツ・バルベと1,2を争う強者。


ヘルマン・カルツ

 サコのクニヒト。ダミアンの兄。実力を発揮する機会はなかったが、彼も強者である。


ゲオルク

 グスタフ一行の護衛の生き残りの一人。平民。話しやすい人柄。リヒトの大規模侵攻を生き残る。


エメリヒ・クレーべ

 グスタフ襲撃時の王軍の指揮官。エン王の忠実な部下。個人の戦闘能力も指揮能力も王国内随一。グスタフ襲撃を悔いている。


ドニ

 第1章のボク襲撃犯。ドリテ王国出身。身長175センチ前後、やせ型、瞳の色は青、髪の毛は黒に近い茶、ドリテ訛り、1573年暗殺当時31歳。

 偽名1:ノエ

 偽名2:エルマー・ブルームハルト(強奪した所属票の名前)

 偽名3:デニス

 ドリテ王国の兵士だったが実家の借金を肩代わりして生活が困窮していたところ、ドリテ王国の特別作戦部隊に目を付けられ、アシハラ王国の北の要であるオダ家弱体化作戦の捨て駒として利用された。ドリテ王国内では、強盗殺人犯の濡れ衣で賞金首になっている。

 ボク襲撃後は一度ツチダの南部、その後、北部に逃亡し、サコまでの道中で普段着に着替えた。口封じで殺される可能性があるドリテ王国には戻らず神聖リヒトに逃亡し、デニスの偽名でロスツェスティで暮らす。ロスツェスティ潜伏中にスヴァンに声を掛けられて、話を聞かれるが無関係を装い逃れる。その後、ジェカアレスで死期を悟り、スヴァンを呼び出して実行犯であることを告白する。


3.食べ物

プンパニッケル

 現実ではドイツの伝統的なライ麦の黒パン。酸味がある。詳細はGoogle先生で!


4.シェスト教とリヒト教の階級など

(1)シェスト教

 助祭、司祭、司教、教主があり、各地の教会には助祭か司祭が1人以上派遣されている。

 聖職者の婚姻や土着宗教への信仰を禁止していない。


(2)リヒト教

 祓魔師(エグゾチスタ)、助祭(ヤーヘン)、司教(ビスコプ)、大司教(アーチビスコプ)、教主(ウチテル)があり、他国の総責任者として大国には大司教以下、小国には司教以下を派遣して布教している。

 他の宗教を信仰することを禁止している。女性は助祭までしかなれない。聖職者の婚姻は禁止されておらず、司教以上には婚姻を奨励している。


5.神石(魔石)の色と紋様

 それぞれの神が司るとされる光、闇、火、水、風、土に応じて紋様と色がセットになっているが、稀に紋様と色が2種類以上の神石(魔石)が発見されることがある。当然のことながら6柱神との関連が疑われているが、真相は不明である。

・アイン神

  白色 光の象徴 中央から8方向の線

・ナハト神

  黒色 闇の象徴 塗りつぶされた正方形の中に塗りつぶさない丸

・エルデ神

  茶色 土の象徴 角度の浅いヤマ二つの下に横線一本

・ギューテ神

  青色 水の象徴 水滴

・ヤクト神

  赤色 火の象徴 焚火

・ライゼ神

  花緑青色 風の象徴 斜めの3本線


6.その他

(1)アシハラ王国の貴族には爵位は存在せず、領土の広さによって力関係が示される。唯一、国王の補佐、国王が政務を行なえない場合の代理、国王になれなかった王族の体面の保持、外交上の理由、時期国王の修行等の理由で公爵位が存在している。


(2)アシハラ王国のクニヒトは、領主から領地の管理を任され税収の一部と領主からの俸給を得る。領地の管理には軍の編成や育成を含む。


(3)ドリテ王国の貴族には爵位が存在するが、貴賤に関係なく登用される中央官僚が国家を運営しており、実情としては形骸化し、虚栄心を満たすだけのものとなっている。


7.主な町

(1)アシハラ王国

イヌイ

 オダ領 領都。

キンバラ

 オダ領 イヌイの西80kmにあるオダ領第二の都市。小麦の一大産地。

サコ

 オダ領 アシハラ王国と神聖リヒトの境に近い町。

ツチダ

 オダ領 イヌイの北東すぐ近くにある古い宿場町。集落の規模は比較的小さく要塞化もされていないが、軍事上重要視されている。

トリイ

 オダ領 公爵領ヨシミズとの境に近い集落。

ヌマノ

 オダ領 イヌイとウエスギ領フタマタの中間にある小さな集落。

コモリ

 オダ領 ヌマノから北東。ムッター湖畔の集落。漁業と観光の集落。


アシミヤ

 王領 王都。王国最大の都市。

カワト

 王領 ドリテ王国、フタマタ、アシミヤの交易中継都市。小麦の産地。アシミヤの東の防衛拠点の一つ。

シラス

 王領 王国第二の貿易港。漁港としては王国最大。

ヤマセ

 王領 アシミヤの南の防衛拠点。小麦の産地。


ヨシミズ

 公爵領 領都。王族の公爵が代々治める。イヌイ、ラッキ、アシミヤ、カネウラの街道が交わる交易中継都市。


カネウラ

 モウリ領 領都。王国最大の貿易港。ハレ大陸の南西にあるエコー大陸との貿易の窓口。北に北カナヤマ、南に南カナヤマという小高い丘に挟まれた広い入り江に築かれた町。沿岸部の北は漁師町、南は商人の町として賑わっている。


フタマタ

 ウエスギ領 領都。ブドウとワインの一大産地。アシミヤの東の防衛拠点の一つ。

ムカイヤマ

 ウエスギ領 ドリテ王国、フタマタの中継都市。国境の防衛拠点。


オオモリ

 タケダ領 領都。木材の一大産地。


サカイガワ

 ホウジョウ領 領都。水運が盛ん。ドリテ王国、シュタイク、オータフルス、シラス、オオモリの中継地点。


(2)ドリテ王国

ドゥリビエ

 王都。豊富な水と食糧に支えられた大陸最大の都市。


プレヌウェスト

 アシハラ王国との国境にほど近い、交易と城塞の町。ムカイヤマと張り合うように城塞化が進んだ。


(3)神聖リヒト

ウミヴァドゥロ

 教主が座します聖なる都。星が降って出来たと噂されるクレーター状の盆地に築かれた壮麗な都。人口は多くない。


ウスキーウーテス

 アシハラ王国に最も近い町。国境が封鎖される前は商人で賑わっていたが、国境が封鎖されたあとは、厳めしい兵士たちの姿ばかりが目立つ。


ロスツェスティ

 赤鉄街道と緑光街道が交わる盆地で発展した軍事的にも重要な町。北部山岳地帯としては食糧生産量も比較的多い。


シェドニィドゥベジェ

 昔はハレ大陸北東部にある諸島部への鉄輸送の東の窓口として賑わっていたが、海流の変化により海上輸送が難しくなり、今は漁業の町となって徐々に衰退している。


チェルベネーミェスト

 チェルベナーホーラ大鉱山から採掘される鉄で経済的に栄えている町。ここの鉄は大陸中で使われている。


ホルスキィポトク

 緑光街道にあるドリテ王国との国境に近い田舎町。街道の上を跨いで建てられた教会などの建物が有名。


ジェカアレス

 広い平野部と豊かな海の漁場を持つ半農半漁の町。リヒト圏では珍しい豊かな食糧ゆえに教会と領主の主導権争いが続いていたが現在は落ち着いている。


(4)その他

ラッキ王国

 浅縹の都ラッキと黄色い町ミュジューヌを擁するアシハラ王国北西にある国。牧畜が盛んで、毛皮や羊毛の特産地である。


オータフルス

 アシハラ王国南東部の都市国家群の一つ。南国の浜辺の町。建物は青や白の塗装で統一されている。


シュタイク

 アシハラ王国南東部の都市国家群の一つ。ドリテ王国と接している丘の上の町。アシハラ王国南部からドリテ王国に陸路で行く際に必ず通らなければならない町の一つ。


ハンデゥル自治領

 ドリテ王国南東、ハレ大陸でも南東の先端部に存在する、商人組合が運営する土地。大きな港をいくつも備えており、ここ以外に大陸東部で大型の港はないため、ハレ大陸の東北東にあるカナル大陸との交易にはここから出発するか、ここを経由するしかなく、大いに栄えている。


8.植物

ヤロウ

 和名・セイヨウノコギリソウ。ヨーロッパ原産のキク科ノコギリソウ属に分類される多年草の1種。花期は7-9月頃で、灰色がかった白色、または薄ピンクの小さな花が固まって咲く。草丈は20cmから70cm程度。草は直立し木質のように硬い。葉は細かい羽状複葉で、ノコギリのように見える。花、葉は強壮効果、食欲増進、発汗、解熱作用があるとされハーブティーとして飲まれる。(「Wikipediaより」)


シラー

 和名・オオツルボ。ツルボ属(シラー属またはスキラ属ともよぶ。)の多年草。学名よりシラー・ペルビアナで呼ばれる事も多い。草丈20-40cmほど。5-6月ごろ、花茎の先に径2cmぐらいの星型の小花を数十個傘状につける。花色は濃い紫が多いが、白色の物もある。蕾は個々の蕾が集まった楕円形をしており、下のほうより咲き始め、沢山の花が釣り鐘状になる。(「Wikipediaより」)


プレクトランサス

 シソ科の多年草だが寒さには弱い。多くの種類があるが作中ではプレクトランサス・ウェルティキラツス(別名・スウェーデンアイビー、ナンムラリス)をイメージ。葉は肉厚でギザギザしている。花は白か淡い紫色。




【第3章 予告】

「土ってどうやって出来るか知ってるか?」


 ある日、父が聞いてきた。

 まだ幼い僕は首を横に振る。


「土は、生き物の死体で出来ているんだ。一生懸命に生きた生き物たちは、やがて死に土にかえる。だが、ただ土になるだけじゃない。その土がまた新しい生命いのちを育てるんだ」


「しんでるのに……、そだてるの?」


「そうだ。だから俺たちは一生懸命に生きるんだ」


「つちがないとどうなるの?そだたないの?」


「そうだ。でもそんな場所でも必ず最初に土になろうとする生き物が現れる。面白いだろう?」




動乱のエコー大陸で、少年は王になる――

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