第20話 二人だけの秘密
同じ知るでも、過程によりその意味合いは、大きく違いが生じる。今回その過程は最悪のものだった。
「後で詳しく話す」そう言って、悲しげな表情を浮かべているマリベルを宿屋に先に帰した。
二人きりになるとセルジオスが目で訴えてきた。仕方がないので縄を解いてやることにした。
深澤
「いやー、参ったよ、昨日の内にお前を始末しいてればこんな事にはならなかったのにな。それにしてもお前中々やるじゃないか、殺気を読んだって? これからは気を付けるよう心掛けるよ」
セルジオス
「や、やっぱり…」
言い掛ける言葉に被せるように話し続ける。
深澤
「違う違う、そうじゃないんだよセルジオス、今、お前は俺の話を黙って聞くのが正解なんだ、監査官も言ってただろ、次はないぞって。王宮騎士団にいた時に、相当悪どいことしたんだろうな、誰もお前の話しは信用しないんだよ。理解してくれたかな? お前に選択肢が無いことに」
ゆっくりと焦らす様に縄を解いていく。
深澤
「別にとって喰おうと思ってる訳じゃないんだ、お前の事をかってるんだよ、こんな
セルジオス
「ほ、本当ですか? 俺も別にこんな事好きでやってる訳じゃ…王国に安い賃金で雇われてるだけなんで」
深澤
「雇われだったのか、だからお前あんな態度とってたんだな。教える奴少ない方が楽だもんな」
セルジオス
「すいません、面目無いです」
深澤
「気にするなよ、但し条件が1つある」
笑みを浮かべて、セルジオスの耳に条件を小声で話した。
セルジオス
「な、何故そんな事を…」
深澤
「そんな事だからこそじゃないか、俺とお前の絆を深める為だよ、今日の夕暮れまでに森の泉まで持ってこい、時間はたっぷりとあるんだ、お前なら楽勝だろ。言っとくけどこれは命令だからな、勘違いするなよ」
これで又1つ手駒が増えることだろう。俺の右腕大山、新たに加わる俺の
~宿屋~
俺は重い足取りで宿の階段を1歩ずつ上がり始めた。ゆっくりと上ったにも拘わらずもう二階まで着いてしまっている。出来ることなら彼女の部屋には行きたくない。
気を紛らす為に、大山に新しい仲間を後で連れてくると伝えると嬉しそうに喜んでいた。こいつは笑顔が良く似合う。
部屋を出て立ち止まった視線の先にはマリベルの部屋のドアがある。ノックすると彼女はドアを開けてくれたが無言だった。それに合わせるように、俺は無言で部屋に入って行った。
彼女はベッドに腰を下ろした、押し黙ったままで。俺もなぞるように彼女の隣に腰を下ろす、同じように押し黙ったままで。
沈黙を破ったのは彼女の耳の痛い言葉だった。
マリベル
「もう、嘘はつかないで!」
その、たったの10文字程度の言葉は俺の心と体を大きく支配した。
マリベル
「特性の事は大山さんに合わしたの?」
深澤
「いや、有りのままを君に話した、嘘はついてない」
君に、無意識のうちに出た言葉だ、マリベルではなく君。彼女との心の距離が離れて行くのを感じているかのように。
マリベル
「…深澤さんは…本当に同調…した?」
彼女の目からは涙が今にも零れそうだった。
深澤
「ああ、大山と一緒にしたよ、マリベルも俺のステータスを見たんだろ」
意識して名前で呼んだ、もう一度、君と呼んだら、もう戻れないような気がして。
マリベル
「深澤さんにとって…私は…何?」
涙声で話す彼女、狼少年は真実を言っても、もう信用されない。
深澤
「騙すつもりは………」
そう言い掛けたが無かったと言えば嘘になる。
深澤
「…最初はあったそれは認める、…でも今は違う。 この部屋に入ってから俺は何一つ噓を付いていない」
マリベル
「もう…終わり…だね」
彼女の悲しい顔を見ているのが辛い、だが彼女を追い詰めたのは、他ではない俺自身なのだ。
深澤
「そんなこと言わないでくれ、俺にはマリベルが必要なんだよ」
マリベル
「そうだよね…必要だよ…ね」
深澤
「そういう意味じゃない!お前の事が好きなんだ、そばにいて欲しいんだよ、もう、お前を傷付けることはしない、絶対に」
本心であった。自分の
マリベル
「嘘…ばっかり、なら…何で貴方のステータスを見ることができないの」
誤魔化しの言葉が、頭の中に降って湧いてきた。
だが、彼女の十文字の言葉が、楔となってそれを打ち消した。
深澤
「全部説明するから、もう泣かないでくれよ」
マリベル
「もう聞きたくない!」
マリベルは両手で耳を覆う。その細い手首を掴むと振り払うように暴れるので彼女を胸に抱きしめた。
マリベル
「
泣き叫ぶ彼女、でも俺は放さない。
深澤
「俺を信じてくれないか」
マリベルは抵抗をする、だが時間と共に彼女は俺にその身を預けた。
マリベル
「もう分かったから…」
彼女の頬の涙を手で拭い、そのままキスをした。
マリベルのローブを脱がすと、女の匂いが俺の鼻腔を刺激した。ブラジャーも脱がし、つんと斜め上を向いた乳房が露になる。
彼女は俺の体に胸を押し付けるように顎を上げてキスを
ベッドに押し倒すように、舌を絡ませ指先を
滑らす、マリベルはもう受け入れる準備が出来ているようだ。指先を動かすたびに出る彼女の声と体の反応が俺を狂わせていく。
俺はマリベルの両膝を立てるとゆっくりと彼女の中へと入っていく。彼女は首に手を回して俺の頭を撫で擦る。
マリベルが愛おしく、深く交わりたくて、一気に突き上げた。もう行き場のない彼女に、想いを伝えるかのように、何度も打ち突けていく。
マリベルの胸が揺れ始めると、彼女の手は俺の頭から離れて、自分の口を押さえていた。
俺が打ち突ける度に、マリベルの手の隙間から声が漏れる。その声は徐々に大きくなっていく。
マリベルの体が汗ばんできて、終わりを迎えようとするのを感じた。
遂にマリベルの腹部は波打ち、俺は彼女の一番奥で尽き果てた。
最も簡易的な、男女の仲直りが終わり、辛うじて、左腕が根元から消え去る事態を免れる事に成功したがもう次は無いだろう、今後マリベルの扱いは慎重にしなければならない。
深澤
「でも最初に言っとくけど嘘臭い話しだからな」
ベッドで腕枕をしているマリベルに話し掛けた。
マリベル
「いい、もう聞かない」
俺の胸の中に顔を埋め、彼女はそう言うと、強く俺に抱きついた。
深澤
「いいのか?」
マリベルは黙って頷いた、そして俺が思いも寄らない事を小さな声で口にした。
「
理由は聞かなかった、マリベルが俺に聞かなかったように。俺は詮索せずに黙って首を縦に振った。
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