第422話 材料集め
「皆文化祭は必ず成功させよう!!」
「私も精一杯やるから皆協力して頑張ろうね!!」
文化祭実行委員は、男子の中心メンバーである高橋功と女子の中心メンバーである土屋明美さんがやることに決まった。
「それじゃあ、必要な係と基本的な分担を決めたいと思います」
話し合いの結果、空気の俺とアキは仕入れと飾りつけの担当になった。シアとノエルは衣服担当兼仕入担当だ。
「メイド服と執事服なら私にお任せデスよ!!」
ノエルはコスプレ経験がある、というよりは普段の服がコスプレというレベルらしく、全員分の服を一カ月で作るつもりらしい。
全員が表に出ないにしても一カ月で二十人程度の服を作るのはかなり無理があるような気がするけど大丈夫なのか?
「大きなお友達が沢山いるので大丈夫デスよ!!」
そんな一抹の不安をいただいたので聞いてみたら、さらに心配になりそうなお答えを頂いた。
まぁノエルはあれでBランク探索者。それどころか国ではSランク扱いされるような超高ランクの探索者だ。
そんじょそこらの人間では何もできないし、撃退される。その辺りはどうにかなるはずだ。とはいえ、拉致された時は周りの人間を人質にされたようだし、からめ手で来る可能性もある。
心配なのでラックの影魔を何匹かつけておくことを忘れないようにしよう。
シアは特に衣類の作成の知識や技術があるわけではないけど、主に着せ替え人形としての役割を果たすようだ。
飲食は、実家が喫茶店やケーキ屋をやっているクラスメイトが居たので、彼らが担当になった。
俺達が仕入れ担当なのはクラスの中でも探索者ランクが高く、ダンジョンに潜って様々なダンジョン食材や素材を摂ってこれるからだ。
主に各自の得意分野を活かしての分担となった。
「と、いうことで!!探索に行くデスよ!!」
何がということなのか意味が分からないけど、ノエルはダンジョン素材で服を作るつもりらしい。
それなら必要なリストを出してもらってラックに集めてきてもらおう。
「えぇ~!?こういうのは自分たちで集めるからいいんデスよぉ?」
そう思ったのに、ノエルがそんなことを言うので、こういうのは自分たちでやるからやり切った時の達成感があるものかと思い、手が届く範囲は自分たちで集めることになった。
ダンジョン食材は主に普通の食材よりも圧倒的に美味であり、なかなかドロップしないので、高値で取引されるけど、自分でとって来ればコストは人件費だけなので、実質タダだ。
空輸が止まった時の食料源としてダンジョンが使えるかというと、よほどの人海戦術が必要になるのであまり現実的ではないけど、一日喫茶店で使うくらいなら毎日潜ればどうにかなると思う。
「今日はシルクスパイダーの生地をゲットするデスよ!!」
『おおー!!』
とりあえず今日は布用の生地を取りに行くことになった。シルクスパイダーが生息しているのはCランクの森林ダンジョンである『住中ダンジョン』。
ついでにいくつかの食材もとってきてほしいと言われて、リストを渡されている。
アキは時間があるときにランクアップしたらしくEランクになったらしい。でも、今でこそランクキャップがあって入れないダンジョンなので、そこに入ることに緊張していた。
「私が守るから安心してくださいデスよ!!」
「女の子に守られる俺情けない……」
「ん」
ノエルとシアに肩に手を置かれて慰められるアキ。
ものすごく落ち込んでいるけど、その気持ちは分からないでもない。
「それはそれとして、シルクスパイダーは何階にいるんだ?」
「確か五階から十階だって聞いてるデスよ」
「それなら結構急がないといけないな」
「そうなんデスよ。すぐに出発しましょうデスよ!!」
一階から出てくるモンスターならそんなに焦らなくてもいいかと思ったけど、リストの食材のことも考えると一日では難しそうだ。
やはり浅い階層の素材は自分たちで取って、奥の方にいるモンスターからとれる素材に関してはやっぱりラックに取ってきてもらうことにしよう。
「ひぃ~!!」
俺たちは急ぐため大急ぎで五階層に向かって走り始めたけど、この中で一番身体能力の低いアキが遅れてしまったので、ラックに運んでもらっている。
アキは両手を上にあげて、零れ落ちる涙が横に流れている。まさに絶叫マシーンに乗っているかのように楽しそうなので問題ないはずだ。
「あ、いたデスよ!!」
「ん」
―スパァンッ
「ギャアアアアアアアッ」
五階層にたどり着いてシルクスパイダーを見つけた瞬間にシアが切った。一瞬で魔石を残して消え去る。
「次!!」
「ん」
俺がシルクスパイダーを見つけて、シアが切るという行動を繰り返す。しかし、これでは数が足りなさそうだ。
「俺とアキ、シアとノエルで分担して集めよう」
『了解!!』
俺たちは分担して集めることになった。流石に一人で集めるのは危ないので一人ずつだ。
「いくぞ」
「ひぇ~!?」
俺は本気で走るため、アキをラックに運ばせた。最高速のラックのスピードにアキはさらに楽しそうにしているので、俺はふと笑みを浮かべた後シルクスパイダーを狩りまくった。
「助けてくれぇ~!!」
アキが何か言っているような気がしたけど気にしないことにした。
結果、必要数のシルクスパイダーの生地はなんとか手に入った。
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