第417話 キャンプファイヤー
すみません、投稿し忘れてました。
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ダンジョン探索を二時間ほどで切り上げた俺達はすぐにラックの転移でダンジョンの一階のまで戻って来た。
「やっぱりチートやチート、チーターや!!」
ラックの影の力を見たアキはまた同じような俺を非難したけど、ラックはマジでチートなので、その評価は甘んじて受けることにした。
クラスメイトや教師に見つからない位置に影転移した俺達はちょうど真ん中くらいの順番で麓に辿り着く。
「お前たち遅かったな?」
行きは一番だったのに、帰りが一番じゃなかったせいか、先生に声を掛けられた。
「すみません、少し道草を食っていたら遅くなってしまいました」
「いや、間に合っているから問題ないが、あまり変なことをするなよ」
『はぁーい』
俺が苦笑いを浮かべて頭を掻いて言い訳したけど、先生からは咎めるというよりは、羽目を外しすぎるなという忠告だった。
俺達はその忠告を受け入れて皆揃って返事を返した。
生徒が全員そろうと、俺達はバスに乗り込み、今日の宿泊場所へと向かう。生徒たちは山登りで疲れた人が多かったのか、大半が疲れて眠っていた。
三十分もすると、そこに辿り着く。
どうやらこの辺りで一番大きなキャンプ場的な場所らしい。ここのバンガローを貸切って神ノ宮学園の一年生を収容するようだ。どうやらここも神ノ宮系列の施設で、むしろこの行事のためにあるような場所だという。
「それじゃあ、夕食の準備を行う。各班は食材を受け取りに来い」
『はい!!』
説明が終わった後、すでにいい時間になっていたので食事の準備に取り掛かる。
夜はキャンプというか、外で食べる食事の定番カレー。
「バーベキューの時のようなことはするなよ?」
「は、はい!!」
食材を受け取る時に先生に釘を刺されてしまった。
ふふふっ。しかし今回はカレー。
中に入っている食材は見えないのだ。
やりようはいくらでもある。
しかし、先生には気を付けておいた方がいいと思う。
「よし、カレーを作ろう」
『了解(おう!!)』
皆の元に戻った俺は早速分担してカレーを作り始めた。ノエルとシアに食材を切ってもらい、俺とアキは竈を作って火を起こす。
「火起こしならまかせろ!!」
アキは前衛職にも関わらず、簡単な魔法を使えるらしい。羨ましい。
「ファイア」
アキの呪文により、小さな蝋燭のような炎が薪の中に入っていき、良い感じに組まれた薪の中のクズ木材やマツボックリに着火し、あっという間に火は燃え上がった。
「そっちはどうだ?」
「バッチリデスよ!!」
「ん」
食材の準備終わったようなので早速調理にかかる。
フライパンを取り出して、玉ねぎを炒め、焦がさないようにキャラメル色になるまで炒める。次に鍋の方で肉を炒める、のだが、ひっそりと昼間使ったオーク肉に取り換えて炒め、下味をつけた。
その後で人参と玉ねぎを加えてもう少し痛めた後、ジャガイモと水を加えて煮立たせて灰汁をとる。後は煮込むだけだ。
「上手いもんだな」
「そりゃあいつも作っているからな。慣れもするさ」
俺が料理をしているさまを見ていたアキが感心するようにウンウンと頷いている。
それもそのはず。これまでダンジョンで何度となく料理してきたからな。そりゃあ最初は不慣れだったけど、何度もやっていれば段々慣れてくるのは当然だ。
「お、お前ダンジョンにそんなもん持ち込んでるのか!?」
「ん?ああ。ダンジョン飯は大事だろ?」
アキが狼狽えるように言うけど、履修したダンジョン飯は、ダンジョン内ではいつでもどこでもやるものだ。
むしろダンジョン飯をしっかり食べない方が理解できない。
「はぁ……何を言っても無駄みたいだな……」
「なんだって?」
「いや、なんでもねぇよ」
なぜか呆れるような表情になったアキ。
何か呟いたみたいだけど、はぐらかされてしまった。
出来上がったカレーは、肉を入れ替えた上で、レシピ通り作っただけあってとんでもなく美味かった。
「キャンプファイヤーを行うぞ」
カレーに舌鼓を打った俺達。
木組みがいつの間に準備されていた。しかし、規模が小さい。
「ちょっと先生。木組みが小さいんじゃないですかね?俺が組みなおしますね」
「お、おい。ちょっと待て!!」
俺は先生に断りを入れて、木を一本ずつを組んで巨大なキャンプファイヤを作った。
これなら盛大に燃え上がっていい思い出になるに違いない。
「何やってるんだ、バカ者!!こんなデカいの燃やせるか!!」
満足げに胸を張っていたら、なぜか俺は先生に咎められてしまった。
「いきますデスよぉ!!ファイヤーランス!!」
「あぁ!!キャロ!!貴様!!」
俺が咎められている間にノエルが元気に魔法を唱える。巨大な炎の槍が顕現し、巨大キャンプファイヤーめがけて飛んでいった。
―ボッ!!
炎はすぐに燃え広がり、巨大なキャンプファイヤーとなった。その光景はなんというか、記憶に残るには十分なほどに非日常的で幻想的だ。
「はぁ……仕方ない。お前たち、ちゃんと後始末までするだぞ」
『はぁーい!!』
もう火がついてしまってはどうしようもないとばかりにため息を吐く先生。俺達だけでなく、学級全体が元気よく返事をした。
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