第048話 どうしてこうなった!?

 そしてあくる朝。


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 ■名前

  佐藤普人

 ■熟練度

 ・神・鼓動(99999/99999)

 ・神・代謝(99999/99999)

 ・神・思考(99999/99999)

 ・神・呼吸(99999/99999)

 ・神・五感(24592/99999)

 ・神・直感(24592/99999)

 ・殴打(1557/9999)

 ・蹴撃(1425/9999)

 ・神・防御(9999/9999)

 ・愛撫(4085/9999)

 ・隠形(5692/9999)

 ・会話(356/9999)

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 昨日は色々動転していて忘れていたんだけど、ステータスを確認すると、五感と直感が神に進化していた。


 昨日透視が出来るようになったのはそのせいだろうか。でも五感ということはちゃんと聞こうとすれば、普通は聞こえない先の話を聞くこともできるのかもしれない。


 この辺りは、今度色々試してみようと思う。


「ごめん」

「?」


 それはさておき、俺は学校に登校してすぐに葛城さんに謝ると、意味が分からなそうな顔をしていた。


 あれ?確かに昨日お風呂で目があったよな?


「えっと、ここでは話しにくいことなんだ。お昼に屋上に来てくれるか?」

「ん。私も用事ある」


 俺は葛城さんの耳元で囁くと、彼女も話があるらしくて了承してくれた。


 やっぱりだぁ!?

 昨日のことを非難されて退学にされられるんだぁ!!

 そうじゃなきゃ、心象最悪の俺の話なんて聞いてくれるはずがない!!

 俺の人生オワタ!!


 俺の内心はビクビク怯えてしまい、その後の授業はずっと上の空。気が付けば約束のお昼の時間になっていた。


―キィー


 俺は意を決して屋上のドアを開けると、既にそこには葛城さんが待っていて、吹き抜ける風に、かきあげるような手の仕草で耳元で髪を押さえて、彼女は屋上から地上を見下ろしていた。


 その姿は物語に出てくるヒロインのように美しく輝いていて眩しい。何もなければそれだけで一目ぼれしてしまうような光景だった。


「よく来てくれたな」

「ん」


 俺に気付いた彼女がこちらを向いたので話しかけると、彼女はいつものように言葉短く返事をする。


「えっとだな、話というのは昨日のお風呂でのことでな?」

「お風呂?」


 本当に何を言っているのか分からないという表情だ。

 恍けているのかな?


「お風呂で偶然葛城さんの裸を見てしまって……葛城さんも気づいてたと思うけど……本当にごめん……」

「意味が分からない。女風呂と男風呂見えない」


 恍けているのかと思って詳しく言い直しても、彼女は首を傾げるばかりだ。


 一体どういうことなんだ?


「あれ?昨日お風呂で目が合ったよね?」

「んーん」


 俺の質問に彼女は首を振った。


 あれぇ?目が合ってないってどういうこと?


 あ~、あれか、分かったぞ。

 これはなかったことにしてくれるってことか。

 優しすぎないか?葛城さん。


「そんなことより、お願いがある」

「え!?」


 葛城さんがいつもよりもはっきりと話し、その内容に俺が驚く。


 そうか、そういうことか!!

 葛城さんのお願いを聞く代わりに、昨日のことはなかったことにしてくれるってことだよな。うんうん、何もせずに許してもらおうなんて虫が良すぎるもんな。


「うんうん、俺に出来る事なら何でもするよ」


 そんな優しさを断ることはできない。俺は胸を叩いて答えた。


「ん。鍛えてほしい」

「ん?」


 俺はどんな願い事がやってくるのか身構えていたけど、方向が斜め上だった。


「いやいやいや、なんで俺が?」

「強い」


 強いって俺の事?

 なんでそんな勘違いをしてるんだ?


 ああ、早乙女先輩との模擬戦で俺が花を持たせてもらって勝ったからかな?


「もしかして早乙女先輩との模擬戦でのこと言ってる?」

「違う」


 彼女は首を振った。


「朱島ダンジョン」


 彼女は端的に一つのダンジョンの名前を呟いた。


―ビクッ


 俺はその言葉に込められた意味を理解した。


 こ、これは俺が朱島ダンジョンに無許可で出入りしていることを知っているぞってことだな。くっ。俺はすでに彼女に対して後ろめたいことが2つに、弱みを1つ握られている。これは断る余地なんてないじゃないか。


「はぁ……わかった。鍛えよう」

「ん。ありがと」


 俺の返事に葛城さんは端的に礼を言う。


 あまり表情が変わらないが、僅かに口角が上がり、その白い頬をほんのりと赤く染めた顔は、今まで見た中で一番可愛かった。


 俺が弱いのが分かればすぐに解散するだろう。それまでの付き合いだ。


「放課後。時間ある?」


 考え事をしていると、彼女がまだ続きがあるとばかりに話を続ける。


「ん?特に何もないから時間あるよ」

「行く場所ある」


 どうやら放課後に連れていきたい場所があるらしい。俺にはダンジョンに行くか、ラックで癒されるくらいしかすることないから別に問題ない。


「そうか、分かった。一緒に行くよ」

「ん」


 俺の返事に彼女は満足げに頷いた。


 こうして俺は葛城さんを鍛えることになった。鍛える事なんてないと思うけどね。


 そして、放課後に俺を待ち受けていたのは、


「よう、普人。やっぱり来ると思っていたぜ?」


 ダンジョン探索部の専用棟で出迎える早乙女先輩だった。


「ダンジョン探索部員はパーティ登録必須。入部して」

「あ、はい」


 葛城さんの言葉によって、俺はそのままダンジョン探索部へ入部することになってしまった。


「一体どうしてこうなった!?」


 俺は部屋に戻るなり天を仰いで叫んだ。

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