第038話 便利な力でこっそり侵入
部活見学に行った次の日。
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■名前
佐藤
■熟練度
・神・鼓動(99999/99999)
・神・代謝(99999/99999)
・神・思考(99999/99999)
・神・呼吸(99999/99999)
・真・五感(56481/99999)
・真・直感(56481/99999)
・殴打(998/9999)
・蹴撃(979/9999)
・神・防御(9999/9999)
・愛撫(3685/9999)
・隠形(5692/9999)
・会話(285/9999)
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熟練度は呼吸も上限に到達してしまった。
授業後、俺は再びダンジョンに行きたかったんだけど、そういえば朱島ダンジョンはダンジョンリバースの影響で閉鎖中ということを聞いた。
うーん、あそこが一番近いEランクダンジョンなんだけどなぁ。
それ以外となるとDランクダンジョン以上となる。俺はまだFランク探索者だからまだEランク以上のダンジョンには潜ることはできない。
「うーん、これからどうしようか……」
「ウォン」
俺が自室でベッドに横になって悩んでいると、ラックが小さな声で鳴いた。外に聞こえない程度の鳴き声は許可している。
「どうした?散歩に行きたいのか?」
「ウォン」
一度鳴いて首を縦に振る。
ここにいるとあまり体を動かせないからな。ここ一週間まともに体を動かしたのは土日に遠出してダンジョンに行った時くらいだ。そんな生活を送っていれば、ストレスが溜まってもおかしくはない。
「どうにかして隠れてダンジョンに入れれば朱島ダンジョンで遊ばせることもできるんだけどなぁ」
「ウォン」
ラックが俺の体に鼻を押し付けてくる。
「何かあるのか?」
「ウォン」
俺が状態を起こして尋ねると、ラックが頷いた。
「なんだ?」
ラックは少し離れた場所に座ると、影を伸ばして広げた。その状態で器用に前足を上げて俺を指し、その後、影を指した。
「そこに入れってことか?」
「ウォン」
ラックは頷いた。
「んじゃ、早速」
俺はラックの指示に従って影の中に足を入れてみる。
「おお!!」
自分の体が影に沈んて行く感覚は何とも言えないけど、ぬるま湯に体を突っ込んでいる感覚が近いかもしれない。
どこまで入るのか試していると、影と床の境目に座り、足をグイっと伸ばしてようかく床に届くほどの深さがあった。震度を確認した俺は体全体を中に入れると、大体臍くらいまでの高さまで使っている状態になった。
「ウォン」
ラックが鳴くと影の中の床が下がり、頭の上まですっぽり影の中に入った。影の中は上から指す光で中が見渡せる。そこは六畳一間くらいの空間が出来ていた。空気はあるようで呼吸は問題なくできる。
「おお、苦しくないな」
「ウォン」
ラックも中に入ってくる。
「どうした?」
「ウォウォン」
俺に何かを伝えるように影の中を駆け回るラック。そしてラックの動きに合わせて影の空間が動いていく。
「まさかこの影に入ったまま移動できるのか?」
「ウォンッ!!」
ラックが自信ありげに吠えた。
「それは凄いぞ、ラック!!」
俺はラックに抱き着いてわしゃわしゃと撫でまわした。
影の中で自分も移動する必要がありそうだけど、これなら影を利用すれば誰にも気づかれずに朱島ダンジョンに入ることが出来るかもしれない。そうすればまたあの落とし穴に入って試練を受けることが出来る可能性がある。
「まぁ、それは流石に都合が良すぎか」
一度にあれだけ稼げたんだ。そう何度も出来るとは思えない。
それでも朱島ダンジョンに入ることができれば、出てくるモンスター相手にラックを遊ばせることが出来る。
「ひとまず近くまで行ってみるか」
「ウォン!!」
俺は一度影から外に出ると、準備を整えて再び朱島ダンジョンへと走った。
近くまで辿り着くと、バリケードが張られていて、付近に見張りらしき人物が三人立っていた。奥のゲートは無残な姿になっていて、カードを翳さなくても中に入れそうだ。
「結構ザルな警備だなぁ」
三人以外に周りを窺っているような視線は感じない。
一週間たって俺の感覚がもっと鋭くなっている。探索者になって二週間も経たない内にここまで体が変化するなんて、Fランク探索者でもこれだけ強くなるのにSランク探索者とかもうわけわからないくらい強いよな。
「ん?あれは……」
三人の警備とは別に、ダンジョンに向けて意識を向けている存在がいるのを感じた。
「まさか……葛城さん?」
何故か葛城さんが木の影に隠れて朱島ダンジョンを様子を覗いているようだった。
こんな所で一体何してるんだろう。
隠れてるみたいだし、こちらから声を掛けるのは不味いよな、多分。
そもそも俺から話しかけづらいし。
俺も隠形でここまで来たけど、近づくとバレるかもしれないので、このまま今以上に近づかないようにした。
「ここからはラックの影で移動するか」
「ウォン」
ラックが影の中から返事をすると、足元の影が広がり、俺がゆっくり影に沈んだ。
「ラック、ダンジョンの入り口は分かるのか?」
「ウォン!!」
「それじゃあ先導頼むぞ!!」
「ウォンッ」
自信をもって道が分かることをアピールするラックに任せて、俺はダンジョンの中へとひっそりと侵入に成功した。
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