第009話 熟練度上げ
そうと決まれば熟練度が表示される行為を調べないといけない。今表示されているのは人間が無意識に行っている行動ばかりだ。能動的に行っている行為も表示されるかもしれない。
俺はご飯を食べ終えると再びダンジョンへと向かった。
とりあえず何から始めようか。
ひとまず今分かっているのは人間の無意識の行動が表示されているから、自分の体を使った行為なら表示される可能性がある、ということだ。
そこで簡単に出来そうなのは、グミックの攻撃を防御したり、素手で殴ったり蹴ってみたりすることだ。俺は早速グミック相手に何度も何度も殴りつけてみた。バットより攻撃力が低いのか殴って倒すには十発は必要だった。
『"殴打"の熟練度が一定に達しました。表記条件を満たしました』
『"蹴撃"の熟練度が一定に達しました。表記条件を満たしました』
『"防御"の熟練度が一定に達しました。表記条件を満たしました』
『"思考"の熟練度が一定に達しました。"思考"が一割向上します』
仮説が正しかったのか、いくつかの表記条件を満たしていく。
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■名前
佐藤普人
■熟練度
・鼓動(16768/99999)
・代謝(16768/99999)
・思考(14120/99999)
・呼吸(4851/99999)
・五感(4708/99999)
・直感(4708/99999)
・殴打(103/9999)
・蹴撃(106/9999)
・防御(101/9999)
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ステータスを開くときちんと表示されていた。
それにしてもやっぱり無意識で行っている動作や感覚はどんどん熟練度が上がっていくな。あっという間にマックスまで上がりそうだ。それに比べて能動的な行為は上げるのが大変そうだ。
それでも一時間半も戦ってれば百くらいは行く。今は十二時頃。つまり夕方までやれば後四百くらいずつは増やせるはず。午前中も含めると六百くらいは一日で増やせると思う。
そうすると一ヶ月くらいでどれも限界までもっていけるはずだ。
ひとまずはそれを目標にして活動しよう。そうすればFランクダンジョンの踏破もできるかもしれない。
俺はそれを希望にさらにグミックを倒し続けた。
「四百十円になります」
「ありがとうございます」
俺は午後の分の買い取り金額を受け取って家に帰る。
実はヒールグミも何個かドロップしたけど、今後のためにいくつかは取っておくことにした。何があるか分からないからな。用心しておくことに越したことはない。
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■熟練度
・鼓動(41795/99999)
・代謝(41795/99999)
・思考(35684/99999)
・呼吸(12856/99999)
・五感(12215/99999)
・直感(12215/99999)
・殴打(313/9999)
・蹴撃(306/9999)
・防御(141/9999)
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『"鼓動"の熟練度が一定に達しました。"鼓動"が四割向上します』
『"代謝"の熟練度が一定に達しました。"代謝"が四割向上します』
『"思考"の熟練度が一定に達しました。"思考"が三割向上します』
『"呼吸"の熟練度が一定に達しました。"呼吸"が一割向上します』
『"五感"の熟練度が一定に達しました。"五感"が一割向上します』
『"直感"の熟練度が一定に達しました。"直感"が一割向上します』
それから熟練度は一応こんな感じになった。無意識系はどうやら一万毎に向上するみたいだ。確かになんだか体の調子がいいし、それに感覚が鋭くなっているのを感じる。
それを考えると検証が必要だけど、能動系は千毎に向上するんだろうな。
「ただいま~」
「お兄ちゃんおかえり~、どうだった?」
家に着くなり、七海が俺を出迎え、成果を尋ねる。
「期待してるとこ悪いけど、一日頑張って千円にもならなかったよ」
「えぇ~、そうなんだ。あんまり儲からないんだね」
俺は苦笑しながら答えると、残念そうに答える七海。
そんなに簡単に稼げたら探索者も苦労しないっての。
「そりゃあまだ最低ランクだからな。次のランクになれば全然違うと思うよ」
「ふーん、それじゃあ早くランクを上げてね!!」
反論したら反論したであざとい笑顔でニッコリと笑ってくる彼女。
それでもそんな妹が可愛いんだからしょうがない。
「全くしょうがないな。まぁ初給料。じゃないけど、自分で初めて稼いだお金で七海と母さんにお土産を買ってきたぞ」
「なになに?」
目をキラキラとさせて俺を見上げてくる七海。
全く現金な奴だ。
「そんな目で見られても大したものじゃないぞ?七海が大好きなバタどらだ」
「えぇ~やった!!バタどら大好き!!」
バタどらとは、バター入りどら焼きのことだ。妹は普通のどら焼きよりもこっちが好物だった。だから家の帰り道に寄り道して菓子店によって買ってきたのだ。
初給料は家族から離れる前に、家族が喜ぶものに使いたいと思ったからちょうどよかった。些細な物で申し訳ないけどな。
「お兄ちゃんありがと!!大好き!!」
小躍りしていた妹が俺にギュッと抱き着いて喜びを露にする。
おおう、可愛い妹のハグと大好きはお兄ちゃんの心を射抜くには十分すぎる威力だ。これからもどんどん甘やかしていきたい。
「それじゃあご飯食べた後に皆で食べような」
「うん!!」
俺は風呂に入ってご飯を食べ、家族みんなで仲良くバタどらを食べたのだった。
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