73.わくわくダンジョン探索、困惑な騎士
俺は特級ダンジョンにやってきた。
「さぁって、ダンジョン探索だ! たのしむぜ!」
ミノタウロスとの戦闘を終えた俺は、先へ進もうとする。
「…………」
ぺたん、とへたり込んでる、女騎士のアーシリア。
「どうした?」
「い、いえ……すみません……」
よろよろと立ち上がる。
よく見りゃ彼女は疲れていた。
「これ飲んどきな」
俺は亜空間に収納していた、ポーション瓶を取り出し、アーシリアに放り投げる。
「殿下!? い、今のは……? どこから取り出したのですか!?」
「え、収納魔法で、しまっておいたんだけど」
「収納魔法!? う、失われた古代魔法のひとつじゃないですかっ!?」
へー、そうだったの?
【解。収納魔法をはじめとして、習得難易度の高いいくつもの魔法は、現代では失われており、古代魔法と呼ばれております】
なるほど……すごい。
【解せぬ】
アーシリアがポーションの飲む。
すると……汗が一気に引いて、顔色も戻った。
「な、なにこれ……体の疲れが、一気に消えた……殿下。これはなんですか?」
「ただの
「え、エリクサーぁあああああああ!?」
なんか知らないが、アーシリアが驚愕してる。
「も、もも、申し訳ございません殿下!」
ばっ、とアーシリアが土下座してきた。
え、なになに? なんで土下座なんてしてるの……?
【解。
あ、なるほど、それで気が引けてるわけか。
「おいおいだいじょうぶだって、
「は……?」
俺は収納魔法で、しまってあったやつを、外に出す。
どどんっ! と俺の前に、箱入りの
「えええええええええええええ!?」
「これでも一部だし、まだまだあるから、1本くらい気にすんなって、な?」
唖然とするアーシリアをよそに、俺は
「な、なんでこんなたくさん……?」
「え、俺が作ったんだけど?」
「つ、つ、つくったぁあああああああああ!?」
「また驚いてる……何に驚いてるの?」
「全部にですよ……!」
ややあって。
俺の後ろから、アーシリアがついてくる。
「殿下……あまり先へ行かないでくださいませ。何かあったときに対処できません」
「だいじょぶだいじょぶ。こっちには高性能レーダーがついてるから」
「レーダー?」
【告。1分後、前方に
おっけー
俺は聖剣を引き抜いて、勢いよく投げる。
「で、殿下……剣をなぜなげたのです?」
「敵だ」
「ま、まさか……周囲に気配は感じませんよ?」
「まー、ついてこいって」
俺たちは前へと進む。
聖剣が壁にぶっささっていた。
「け、剣から血が……?」
「透明になる能力を持った蛇がいるんだよ。よく見てみな?」
負傷した際に返り血を受けたのか、よくみれば蛇が見える。
「ほ、ほんとうです……見えない敵を、事前に察知することができるなんて……」
「ちょっと待っててな。少し調べるから」
「調べる……?」
俺はぽたぽた垂れている魔物の血を指ですくって、なめる。
「殿下!?」
「
【是】
俺が透明蛇の血を解析させている一方で……。
「殿下! だいじょうぶですか!? 殿下!」
青い顔をして、アーシリアが俺に近寄ってくる。
「お、おう……。どうしたよ?」
「どうしたよではありません! 魔物の血は人間には猛毒なんですよ! すぐに
「え、だいじょうぶだって。俺、毒効かないし」
「えええええええええええええええ!?」
【告。解析完了しました。透明の魔法を獲得しました】
よし、魔法げーっと。
俺は見ただけで魔法を習得できる。
裏を返すと見ないと習得できない。
今回の敵は透明になる力が合って、見えないからな。
血を取り込むことで獲得したってわけ。
「な、なぜ毒がきかないのですか……?」
「え、昔から魔物の肉を食べてたからだけど?」
「魔物を!? 食べるですってぇええええええええええええええ!?」
え、何驚いてるんだ、この人?
【解。魔物の血は人間には猛毒なため、魔物の肉を食べることは死ぬことと同義。よほどの馬鹿でない限り、魔物は食べるものじゃないのです】
え、でも魔物って美味くない?
【告。馬鹿しか食べません】
それ遠巻きに俺のこと馬鹿って言ってない?
【草】
唖然呆然とするアーシリア。
「ほらほら、いこうぜさきに」
「は、はぁ……」
何かしたわけじゃないだろうに、アーシリアは疲れていた。
歩くのが速かったかな?
【否。マスターに驚き疲れてると思われます】
俺ぇ?
え、なにかしちゃいました?
【草】
ほどなくして、俺たちは部屋に到着する。
部屋の中央には、怪しげな宝箱が。
「殿下。おそらくはアラートトラップです」
「あれか、宝箱をあけたら、モンスターがたくさんでるっていう」
「ええ。ですので、絶対にあれは開けてはいけませんよ?」
「おっけーわかった」
俺は宝箱を開けた。
「殿下ぁああああああああああああ!?」
アーシリアは俺のもとへかけつけて、襟首をつかむ。
「何やってるの!? 話聞いてた!?」
「おう。アラートトラップなんだろ? 仕組みがしりたくってさぁ。やっぱ実際に見てみないとじゃん?」
「馬鹿なの!? 死にたいの!?」
そこへ……どどどっ、とモンスターがなだれ込んでくる。
「レッドキャップ……! グレムリン……! こんなにモンスターが……殿下! お下がりください」
「神域解放。【
俺は妖精王から習得した、神域級魔法を発動。
小型ブラックホールを生成。
ごぉおおおおおおおおおおお!
「「「ぐがぁあああああああああああああああああああああ!」」」
トラップによって出てきたモンスター達は、全員まとめて、ブラックホールへと吸い込まれていった。
「はぇ…………え…………? え…………?」
ぺたん、とその場にへたり込むアーシリア。
俺はアラートトラップの宝箱を調べる。
「なるほどなぁ。ここをこうすると音が鳴って、転移魔法が発動して……へー……なるほど、参考になる! ありがとう!」
俺は収納魔法を使って、トラップを回収。
あとで別の魔道具を作るときの参考にしよーっと。
「ん? どうした?」
「さ、さっきのは……?」
「神域級魔法」
「し……!?」
ぱくぱく……とアーシリアが口を開いたり閉じたりしてる。
「前は神域一回使ったくらいで魔力つきたけど、神の
【告。私のマスターがこんなに化け物なはずがない】
へたり込んだまま……アーシリアが唖然としている。
「ん? どうした?」
「…………」
「おーい、アーシリア?」
ふらふら、と彼女が立ち上がる。
「先へ……先へ行きましょうか……殿下」
「おう!」
その後も、トラップだのモンスターだのとたくさん遭遇。
俺はその都度、トラップに自ら引っかかり、モンスターの攻撃は一度は受けた。
そのたび……。
「殿下!?」「殿下ぁ……!」「殿下ぁあああああああああああ!?」
と驚愕しまくりのアーシリア。
だが途中からツッコみすらいれなくなっていった。
どうしたんだろうな?
【解。常識人に異常者の相手は疲れるから】
異常者? 誰?
【解。マスターですよ】
え、俺ぇ……?
「…………」
とぼとぼついてくるアーシリア。
「私の存在意義って……」
と、そのときだ。
【告。マスター。ダンジョン変遷です】
「ダンジョン変遷?」
【解。ダンジョンは生き物です。一定時間たつと、内部構造が動く仕組みになっております】
がこん……! と大きな音がする。
「へ……きゃぁあああああああああああああああああああああ!」
アーシリアの足下に、突如として大穴が出現。
凄いスピードで落下していく。
【告。落とし穴トラップです。落下地点に無数の針山があります】
俺は地面を蹴って穴に飛び込む。
落下しているアーシリアを、キャッチ。
壁を蹴って、針と針の間に、着地する。
「だいじょうぶだぞ」
「………………え?」
俺は浮遊魔法で、アーシリアを浮かせている。
彼女をゆっくりとしたに下ろした。
「殿下……」
「もうだいじょうぶだぜ、な?」
「~~~~~~~~~~~~!」
かぁ……とアーシリアが顔を赤くする。
「どうした?」
「い、いえ……その、申し訳ありません。お手数かけて」
「はは、ぜーんぜん。この程度なんてことないよ」
アーシリアがぶんぶん、と首を振る。
「護衛なのに、何一つ役に立ってなくて……すみません」
「いいってこった。それに役に立ってない、なんてないよ。一人で仲に来たらさみしかったろうし。おまえがいると楽しいよ」
「………………」
さらに、顔を赤くするアーシリア。
「え、なに?」
「な、なんでもございませんっ」
なぁ、ミネルヴァ。なんなんだろうな?
【ぺっ……!】
つば吐いた!?
【けー。まーた女を無自覚に落として……けー!】
確かにアーシリアはトラップに落ちたけれど、それでどうしてムネヒラさんが怒ってるんだろうか。
「! 殿下あちらをごらんください!」
アーシリアが、奥を指さす。
トラップの先にあったのは、一本の通路だ。
【告。ダンジョンボスの部屋です。どうやらここは隠しルートだったみたいです】
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