42.初めての学園生活
魔法学校に入学した俺。
クラス委員長のシャルルークと同じ部屋で暮らすことになった。
翌日……。
「ううーん……良い匂い……」
ふにゅん♡
「え……? な、なんだこりゃっ」
俺の目の前には……半裸のシャルルークがいた。
表向き男のふりをしているシャルルークだが、実は女だ。
しかも、結構なべっぴんさんである。
彼女は男物のシャツ一枚で寝ている。
ボタンは3つくらい外されて、俺を正面から抱きすくめてる。
「な、何があったんだ……?
【解。事後】
いやいやいやいや!
ない、ないよ! 7歳だぞ俺の体!
【怒。昨日はお楽しみでしたね?】
いや、怒って。
え、なんで怒ってるの?
【否。別に怒ってません。胸の大きな女性に抱っこされてお休みになられて良かったですね】
なるほど……まだ胸を気にしているのかこいつ……。
【否。圧倒的、否! 人の価値は胸だけにあらず。私にはこの神レベルの叡智がありますから。ええ、胸はなくとも、ええ……………………くすん】
泣いてしまった。
あー、まー、胸はないけどイイ女だからおまえ。
【是。当然です。叡智の神なので】
立ち直るの早っ。
で、なんでこうなってるの?
【解。マスターが昨晩、シャルルークが肩がこるからといって、日本式のマッサージを施してあげたのです。結果、シャルルークは気持ちよく過ぎてそのまま眠ってしまった次第です。けっ】
なんか俺のスキルが悪態ついてる件。
【告。私だって肩くらいこりますとも。胸が大きいので、毎日大変です、ええ】
肩が……こるのか?
【解。こります】
そ、そういうことにしておこう……。
「ふぁー……おはよう、レオン君」
ムネヒラさんと朝の会話をしてると、シャルルークが目を覚ます。
【問。ムネヒラとは誰のことですか? もしかして平らな胸って意味で私のことですか?】
お、鋭い~。
【怒。私だって胸がそこそこ……】
「ん~~~~~~~~~~♡ すっきり寝れたぁ~……」
どぷんっ、とおっぱいが揺れた。
叡智の神のじゃないよ。
シャルルークの胸が、である。
【告。敗北者……私は……敗北者……】
ああ、
【告。シャルルークは……ばいんばいん。叡智の神は……つるつるぺったん……】
自分をそんな卑下しないで!
【告。スープモードに移行しまひゅ……】
たぶんシャルルークの胸の大きさに絶望したのだろう。
まあ寝てればしばらくすればなるだろう。
「レオン君はすごいね、あんな気持ちが良いマッサージ初めてだよ。ドコで覚えたの?」
「昔マッサージにこっててね」
「昔って、レオン君まだ7歳でしょーもーおかしいんだから~」
そういえば俺が転生者だって知ってるやつって、少ないんだよな意外と。
「レオン君。制服届いてるから、こっち来て」
クローゼットの中にシャツとブレザーが入ってる。
サイズもぴったり。
白いブレザーとスラックスの上下って、あれだな、高級っぽいな。
シャルルークは包帯を手にもって、鏡の前に立つ。
嫌な顔をしながら、胸にさらしをまいていく。
「それ、辛くない?」
「うん……すごい辛い。胸が苦しいし、さらしが緩まないか心配だし、こすれていたいし」
さらしよりも女物のブラをつけてる方がいいよなぁ、このでかさじゃ。
「あ、そうだ。シャルルーク、魔法かけてやろうか?」
「魔法?」
そう。ええっと……確か覚えた魔法の中に……おい
【告。休眠中です】
シャルルークの胸が男のものに見えるようになる魔法って、ウルティアに確か【幻惑魔法ですね!】
うぉ、くい気味にきたな。
【対象物の姿を自在に変える魔法です。実行しますか? YES or YES?】
YES一択じゃねえか!
なんでそんな押すの?
【解。この巨乳女が貧乳になる】
ありがとう、もう十分、おまえの言い分はわかった。
【十分な言い分……ぶふぅーーーーーーーーーーーーーー!】
貧乳で寒いダジャレが好きって……。
なんか出会った当初からだいぶキャラが変わったなお前……。
まあ、女神カーラーンさんから名前をもらって進化したってのも理由だろうけど。
【幻惑魔法を使用しますか?】
もちろん、YESだ。
【YES! YES! YES!】
シャルルークの立派な胸がみるみるうちにしぼんでいった。
「す。すごいよレオン君! 見て! 男の人の胸みたいだ!」
シャルルークがうれしそうに、自分のつるつるの胸を触っている。
【さすがマスター。素晴らしい魔法のお手並み。私は感動いたしました】
お、おう……。
【マスターはやはり最高の魔法の使い手です。世界最高レベルと言っても過言ではないでしょう?】
な、なんかべた褒めしすぎじゃないこの叡智の神……?
普段は魔法性癖とか変態魔法とかぼろくそいってくるくせに……。
【胸を縮める魔法……全世界にはやらせましょう。私以外の女の胸を平らにすれば、相対的に巨乳になれます】
そんな悲しい方法で巨乳になりたいかねぇ……。
「ま、喜んでくれて何よりだよ。そんじゃ、がっこーいこうぜ」
「うん!」
俺たちは着替えると、寮を出て、食堂で朝食を取る。
中央棟が食堂になっており、そこで飯食ってると。
「はぁん♡ レオン殿下素敵ぃ~♡」「シャルルーク様とのツーショット尊いぃ~♡」「同室らしいわよ♡ きっと夜は……きゃー♡」「「「きゃー♡」」」
とまあお姉様方がきゃあきゃあとさわいでらした。
飯食って俺たちは、いよいよ授業を受けるべく、校舎へと向かう。
「僕らは1年A組。一年生フロアの一番奥だよ」
どうやら学年ごとフロアが別れてるそうだ。
これ寮のときもそんなだったな。
ほどなくして俺たちは教室へと到着する。
俺が扉を開いた……そのときだ。
ピタッ……!
「ん? なんだこれ……?」
頭上に黒板消しが浮いていた。
ぱらぱら……とチョークの粉が俺の頭にふりかかる。
「なっ!? どうして黒板消しが落ちねえんだ!?」
教室の中には、偉そうな態度の、赤い神の大女がいた。
【解。マスターは膨大な魔力を有してます。それは時に防御魔法よりも強固な守りとなります。つまり常に魔力の鎧をまとっているような状態であり、波の攻撃では防げないのです】
おい、
状況教えてくれ。
【解。あの女が入り口にトラップを仕掛けておいたようです。ドアの間に黒板消しを挟み、入ってきた人の頭の落ちるという、古典的なブービートラップです】
なるほど……。
俺は一歩引いて、魔力量を調節。
俺の手のひらの上に黒板消しが落ちる。
「どうも初めまして。これ、おまえがやったのか?」
俺は赤髪の大女を見やる。
ギザ歯で、ちょっとヤンキー入ってるっぽい感じ。
「あ? だったらなんだよ」
「いや、返すよ」
俺は軽く黒板消しを、ひょいっと投げる。
勢いがつきすぎて……。
どがぁあああああああああああん!
「うひゃあ……!」
大女の足下に、クレーターができてしまった。
「レオン君! なにやったの!?」
シャルルークが声を荒らげる。
「え、軽く投げ返しただけだが?」
【告。マスターは魔力の鎧を常にまとっている状態です。防御力だけでなく攻撃力も上昇してます。攻撃モーションを取ると、それが必殺の威力にまで勝手に強化されてしまいます】
まじかいな。
俺、知らぬ間にまた強くなってたの?
【解。マスターが寝てる間、私は毎日魔力を消費していたのです。結果、魔力量は上昇していたのです】
そういえば最近、魔法を打って魔力を増やすの面倒になってやめたんだよなぁ。これ以上増えてねってことで。
ありがとな。
【告。例には及びません。正妻なら当然ですから】
さて、今の衝撃で机と……そして、赤髪の大女が吹っ飛んだ。
「て、てめえ……上等じゃねえか……!」
立ち上がると、彼女が俺の元へとやってくる。
女にしては大きいな。背とか、あと、胸とか。
【告。マスター、幻惑魔法を使用しますか? YES? YES? YES!】
どんだけ巨乳が憎いんだよおまえ……。
「アタシにケンカ売るなんてね。面白いガキだ……勝負しないか?」
「勝負?」
シャルルークが慌てて止めようとする。
「ちょっと【プリシラ】さん! レオン君は転校してきたばかりで……」
「良いね! 最高だ!」
ぽかんとするシャルルークと、プリシラと呼ばれた大女。
「魔法での勝負ってことだろ? 受けて立つよ! なぁ、やろうぜ、魔法バトル!」
こうして、俺は転入初日、プリシラとバトルすることになった。
ところで、この女何者なのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます