25.奴隷メイドお姉さん達から溺愛されまくってる



 美人奴隷達を手に入れてから、しばらく経ったある日。


 朝。


「むにゃ……なんか、あったけえ……」


 電気毛布にでも包まれているような、こたつのなかのような、温かさを感じる。


「ごしゅじんさまー! 朝だよぅ!」


「コロンか……」


 すぐ目の前に、赤銅色の髪が美しい美女が、笑顔で横になっていた。


 小柄ではあるが、しかし胸は結構あり、俺は谷間に顔を埋めているような体勢である。


「コロン……おまえ、なんでいつも俺をハグしてるんだよ」


「朝レオン様を起こすのも、親衛隊たいちょーの役目だからねっ!」


 親衛隊。この間俺が手に入れた、30人の奴隷達のことだ。


 かなりの大所帯なので、部隊をまとめる

10人長(10人をまとめる部隊長)を決めた。


 コロン、リザ、そしてギャロップの3人。


「おはようごしゅじんさまー!」


「ああ、おはようさん……」


 俺が起き上がろうとすると、コロンは俺をハグして離さない。


「う、うごけん……」

「ぬへへ~♡ 今日もご主人様はハンサムでかっこよくって可愛いよぉ~♡」


 それらの要素は同居できるもんなのかいね……。


 コロンに着替えさせてもらい、俺は部屋を出る。


「……おはようございます」


 銀髪メイド・ミリアが部屋の前で待っていた。


「おっす」

「では後は私が引き継ぎますので、コロン、あなたは下がりなさい」

 

 コロンは不満げに唇を尖らせる。


「ええー……ミリア様。あたしご主人様のおそばにもっといたいですよぉ~」


 彼女は俺ムギュっと抱きしめる。

 7歳の身長だと、ちょうどコロンの胸の辺りに、顔が来る感じだ。


 や、やわらけえし……あったけえ……。

 ふわふわでモチモチだ。


「控えなさい、コロン。あなたにはあなたの役割があるでしょう?」


「ふぁーい……ちぇ~……」


 コロンは非常に残念そうに、俺を離す。


「では参りましょうか」


 俺はミリアを連れ、食堂へと向かう。


 朝食の準備が出来ている……だけじゃなくて。


「「「おはようございます、レオン様っ」」」


 美人美少女が30人くらい、ずらーっと、食堂の壁に沿って並んでいる。


「ああ、うん……おはよう」


 俺が挨拶すると、メイド達はきゃあきゃあ、と黄色い声を上げる。


「レオン様にあいさつしてもらっちゃったー! ハァ♡ うれしー!」


「ちょっと! レオン様はあたしにあいさつしたのよっ!」


「レオン様尊い……見ているだけで幸せな気持ちになれます……大好き……♡」


 ……ど、奴隷たちが俺を見る目が、なんだか熱っぽいような気がしません?


【解。ソーデスネ】


 あ、あれ……? 回答者さん?

 なんか怒ってません?


【解。ソーデスネ】


 ほら怒ってるー!

 なんか奴隷お姉さんズが出来てから、回答者さんが冷たい……。


「レオン様っ! 椅子を引かせてもらいます!」


 近くに居た妖小人ハーフリングの子が、俺の椅子を引いて、座れるようにしてうれる。


「あ、ありがとう……」

「きゃ~~~~~~♡」


 表情を明るくして、えへへっ、と妖小人の子が笑う。


「お礼言われちゃったー!」

「「「いいなあ……!」」」


 次に、犬の獣人のメイドが来て、俺の首元にナプキンを。


 そしてまた別の子が来て、飲み物を注ぐ。

「…………いただきます」


 俺はまず、シチューに手を出す。


 一口啜って、一息つく。

 うん、美味い。


「レオン様! わたしがお口拭きますにゃー!」


 猫の獣人……【ニャー】が、ナプキンで口元を拭ってくれる。


「…………」


 次に俺は蜂蜜のかかったパンケーキを一口。


「今度はわたくしがお口を!」


 ……このように、俺が何か1動作すると、代わる代わる、メイド達がやってきてお世話してくる。


「あ、あのさ……」


「「「はいっ! なんでしょう!」」」


 メイド達全員が、笑顔で、かつ元気に言う。


「ちょっと! レオン様が呼んだのはあたしよ!」


 犬の獣人の子……ポチが言うと、猫獣人ニャーが首を振る。


「ちがうにゃ! にゃーのことを呼んでくれたんだゃー!」


「ちがうわ私よ! レオン様は私がお世話するの!」


 メイド30人による、言い争いが発生する。


 ……これが毎朝、そして食事毎に発生する。


 め、めんどくせえ……。


「あのさ……別に、いちいちお世話しなくて良いから」


 ぴたっ、と奴隷メイドたちが口論を止めると……。


「「「それは嫌です……!」」」


 全員が、声をそろえて、返事をする。


「坊ちゃんよぉ~」


 蜥蜴人だった奴隷のリザが、前に出る。


 褐色はだが眩しく、メイド服も着崩してるので、肌色が目立って仕方ない。


「あたいらは坊ちゃんのメイドで奴隷なんだぜ? お世話するのは当然だろ?」


「いやでも……ちょっと度を超してるというか……」


 俺が1動作するたびに何か手伝われて、しかも代わる代わるやられても、正直面倒というか……。


「だいいち、別に奴隷だからって、ずっと俺のお世話しなくていいんだぜ? 雇ったのは労働力として期待してるからんだけど」


「それは無理な話やわ~」


 黒髪ポニーテールの、和風メイド美女、ギャロップ(元は女馬人セントール)が言う。


「奴隷みーんな、旦那様にほれてますからね~♡」


「「「はいっ! レオン様だいすきですー!」」」


 ポチやニャー、そして30人の美人メイド隊のめんめんが、笑顔でうなずく。


 ええー……なんでこんなたくさんから好かれてるわけ?


 俺、何かしちゃいました?


【解。メイド達からすればマスターは救世主なのです。彼女たちはみな欠損や重い病を抱えていたこともあり、治してくださったマスターに感謝と、そして好意の念を抱いているのです】


 でも魔法でちょろっと治しただけだぜ?


【告。マスターはもう少しご自分のやってることが、凄いことだと言うことをご理解ください】


 ……そ、そうすか。


「ま、まあ……おまえら。ほどほどにな」


「「「はーい!」」」


 俺が食事を終えると……。


「坊ちゃまのお皿はわたしが洗います!」

「いいえあたしが!」

「ずるいわ! レオン様の食器はわたしが片付けるのー!」


 と親衛隊たちが一悶着。


 俺はため息をついて、ミリアと供に工房へと向かう。


「おっすタタラ。おはよう」


 敷地内にある工房の奥で、ドワーフのタタラがカンカンカン! と剣を売っている。


「おお、ボウズか。ちょうど依頼の品が完成したぜ?」


「おっ、まじかっ!」


「ああ。おーい、ウィンディ! もってこい!」


 奥の部屋から、タタラの孫娘、ウィンディが出てくる。


 この子はドワーフじゃないので、背が高く、金髪のポニーテール姿が実に健康的でいいね。


「はい、レオンさん。ご注文の武器です」


「さんきゅー」


 俺がウィンディから受け取ったそれは……。


「日本刀。良い出来だな」


 俺はタタラのじいさんに、魔法を付与する前の魔道具作成を依頼する。


 一方で、こうして現代日本で使われていた品も作ってもらっている。



「ボウズに教えてもらった製法で作ってみたが……それはとんでもない切れ味の剣だな」


 俺は土の魔法で、カカシをその場に作る。


 錬金魔法で性質を変化させる。


 刀を抜いて、軽く振る。


「ほいっと」


 さくっ……。


 カカシが斜めに切り倒され、地面に落ちる。


「おお、バターみたいに切れるな! やるじゃあないかタタラ!」


 今度はこれに魔法を付与してみよう!


 俺は指先に魔力を集中させ、切れ味を上げる【武器性能向上】の魔法を付与。


 同じようにカカシを作る。


「そい」


 ズバンッ……!


「ずばん……?」


 ごごごごごごごご……!


「な、なんだぁ……!?」


「マスター! お逃げください!」


 ミリアは俺をたわらのように抱きかかえると、工房の部屋から脱出。


 ずずずうぅううううううん……!


 煙と供に……そこにあったのは……。


「な、なんじゃこりゃ……!」


 工房の建物が、斜めに切断されていたのだ。


 それだけじゃない。


 工房の裏に広がっていた森の木々も、ざっくりと広範囲にわたって切断されてる。


 これにはタタラも、ウェンディも、唖然としている。


「軽く振っただけなのに……どうしてこうなった……?」


【解。タタラの技術が加わって出来た刀は、相当な切れ味がそもそもありました。そこにマスターの武器の性能を上げる魔法の付与が加わったことで、あらゆる切れ味がさらに向上し、結果、力を入れずとも建物も地面も切断するほどの、異次元の刀が完成したのです】


 回答者さん、解説ありがとう。


「ボウズ……やっぱりおまえさん、ただものじゃあねえなぁ」


 ばしばしっ、とタタラが俺の背中を叩く。

 そこへ……。


「「「大丈夫ですか、レオン様ー!」」」


 どどど……! とメイド親衛隊全員が、青い顔をして駆け寄ってくる。


 どうやら騒ぎを聞きつけてきたみたいだ。


「だいじょぶー!? けがなーい?」


 コロンが俺のことを真っ先に抱きしめて、頭をよしよししてくる。


 大きな胸に顔を押しつけられ、若干息苦しい。


 けれど花みたいな甘い香りと、暖かな胸の感触が心地よい。


「だ、大丈夫だよ……」


「「「よかったあ~……!」」」


 メイド達全員が、おいおいと涙を流す。


 俺のこと心配しすぎだろ……。


「坊ちゃんよ、何作ってたんだい?」


 リザが首をかしげながら聞いてくる。


「刀を作ったんだ。威力がありすぎてな」


「「「おおー!」」」


 メイド達が笑顔で、万雷の拍手をする。


「お見事ですレオン様!」

「屋敷を切断してしまうほどの武器を作るなんて!」


「やっぱりレオン様はこの世の至宝!」

「並ぶ物のない素晴らしいお方です!」


 な、なんかやたらめったら、大絶賛されるな……歯がゆい……。


 その様子を見ていたミリアが、俺に近づいて、コロンから俺を奪う。


「……あなたたちは掃除をなさい」


「「「はーい!」」」


 30人のメイド達が手分けして、瓦礫をテキパキと回収していく。


「ミリア」

「なんでしょう?」


「離してくれない?」

「……いやです」


 きゅーっ、とミリアが俺を離すまいと、強く抱きしめる。


「レオン様を慕う女が増えたのは……喜ばしいこと。それだけレオン様が雄として優れているということの証左。ですが……」


 きゅーっ、とミリアが強く強く抱きしめる。


「レオン様は……誰にも渡しません。私だけのレオン様なのです」


 独占欲の強い女だな。

 これ、俺が婚約者作ったら、どうなるんだろうか?


【解。ますます独占欲が強くなるかと】


 ですよねー……

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