(四)-2
そして改めて有紗の顔を見た。すると、有紗の左耳にイヤホンが刺さっていることに気づいた。音楽でも聴いていたのであろうか。普段そんなことをしないので、少し気になった。
「音楽でも聴いていたのかい?」
木葉は何気なく尋ねた。
妻の顔は青ざめていた。そして目からは涙が落ちてきていた。
「どうしたんだい、具合でも悪いのかい」
「さっきね、知らない人がきてね……。私の体に、私の体に爆弾を付いていったの。ごめんなさい」
すると妻は急に「逃げて!」と大声を出した。
木葉はわけがわからず、有紗の方を見ていた。
すると、有紗は振り返って玄関の方へ駆けだしていた。
(続く)
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