(二)-14

「木葉、ちょっといいか」

 翌日、小内海とともに取調室に入ろうとしたところで、木葉は上司である折口信夫のぶお・捜査課二係の係長にそう声をかけられた。

 振り向くと折口係長の隣に、きっちりとしたスーツ姿の男性が立っていた。その背広の襟には、菊のバッジが付いていた。そのバッジを着けて署轄の警察署にやってくるのは国会議員などではない。弁護士だと木葉は直感した。

 木葉に名刺を突き出してきたのは、別府高広と名乗る弁護士だった。

 別府は「道路交通法の捜査であれば、拘禁する必要はありませんよね。調書にサインしますので書類送検して構いません。その前に調書について確認したいのと、彼との面談を求めます」と小内海の即時釈放と面談を求めてきた。


(続く)

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