第44話 入学案内書
「…『賢者学園入学案内』…?」
朝起きたらテーブルの上に手紙が置いてありました。
ハ○ーポ○ターか?
いやフクロウいないから違うか。
賢者学園て…。自分で言う?言わないで?
しかもこの名前記憶にありますね!
わお、なんてこった!パンナコッタ!俺はナタデココ派。
つまらないギャグは置いといて…。
「…『本推選入学書は、学園の規定や条件を満たした者に送らせていただきました。貴殿はその規定や条件を満たした為、推選で学園に通うことが可能です。御家族とお話し合いの上、最終決定をお願い申し上げます。最終締切日は本日から二週間後の午後12時とさせて頂きます。では、どうぞよろしくお願いします』………」
え?なに?推薦入学書?選?
これは公爵に確認ですか?そうだな?
「…なに百面相しているのですかルーク様」
「15にもなって?」
「そうですね」
うちの従者がツンデレのツンしかない。
あ、これラノベっぽい。
なんか主人公は貴族でー、従者が強強な美少女なんだけど、ツンデレ属性という主人公君にとってピースピース大量発生事案というね。
自分で何言ってるかわかんなくなってるわ。
「…おはようギル。賢者学園なるものから手紙が届いていました」
「…マジですか?」
「…マジですね」
*****
「…おはようございます、父様!」
「…おはよう、ルーク。そんなに笑って、どうしたんだ?」
グッ!
そこは突っ込まなくてイイっす…。
「…いえ、賢者学園なるものから、俺宛に手紙が届いていまして」
「…あぁ、あそこか」
お?知ってる感じ?
「ふむ。成程、だからルークか」
「はい?」
「いや、なんでもない。とりあえず、朝食の席で説明をする。だから来い」
「ふぁい」
…………
食堂で朝食を大体食べ終わると、公爵が話し出した。
「賢者学園というのは、我国にある世界有数の名門賢者育成校だ」
「ん?…父様、賢者、というのは?」
まずそこからわからないのだが。
「あそこでの賢者とは、つまり『優秀な未来を担う人材』だ。世界有数なのは、他にも似たような学園・学校があるからなのだが」
「へえ!…何を学ぶのですか?」
「…学ぶ、というか…。いや、複数の学科があるんだ。分けられたところで学科の科目を主に習う。騎士科やら魔法科やらがあったな」
ふーん。随分詳しいなあ。
あれ?そういえば…魔法って。
「父様。何故俺は、今までケイシー先生にも魔法を習えなかったのですか?使える者は限られているのですか?」
「いや。誰しも必ず魔法の力となる魔力は有しているものなんだ。だが、14歳までは魔法を禁ずる法があってな。この国限定だが」
公爵が一口茶を飲む。
「…何故?」
「魔力が暴走するそうだ。この時期…春は特に人の心が不安定になるから、よく法を破って暴走した子供達が国の神官に世話になっている」
俺も紅茶を口に含む。
苺の香りがした。
「…魔法は俺たちを助けもするが、殺しもする。子供は特に魔力に操られやすい。だから魔法に触らせない」
ソフィア達が食後のデザートを運んできた。
今回はケーキだ。
「妊婦も同様。体が子を宿している為、魔力を操りにくくなる。子の魔力が突然高まれば、母体は不安定になる。それで死ぬこともあるくらいにな」
…妊婦、か。
「だから、ルーク。お前がもし妊婦や子供を見た時は、優しくする事だ。それと、念のため目の中に入れておけ。いつ暴走してもおかしくないからな」
「…はい、わかりました」
胸の辺りがぎゅうと締め付けられるようだ。
「あの、父様」
「なんだ」
「…母様が、亡くなったのって」
「……魔力の暴走で彼女は死んだ」
俺のせいだろうか。
「…。気にするな、決してお前のせいではない。もともと体が弱かったところに、子を産んで魔力が不安定になったんだ。死ぬのも、仕方ない」
「…はい」
ケーキは甘ったるかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます