第29話 暇

「なあ、ギル。暇じゃね?」

「は?」


今日は木曜日。

そう木曜日です。


先月めでたく、ツバキとハンナが結ばれました。

結婚したのだよ‼︎


驚いたなぁ。

その時の様子を再現いたします。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ハンナが、好き!」(ツバキ)

「ならば、籍いれに行きましょう!」(ハンナ)

「じゃ、再来週とかどう⁈」(ツバキ)

「もちろんです!」(ハンナ)


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こんな感じで、ツバキとハンナは結ばれました。

早えな。でもおめでとう。

そう、思いました。


「ルーク様…ハンナさんが新婚旅行で居ないからって、かまちょしないでくださいよ。」

「ん???…して、ないよお?」


「…はあ。」

あ、溜息つきやがった。


「なんです?要件は?」

聞いてはくれるんだ。

俺はカツカツと靴音をセルフに言い、ギルに近づく。(なんだこいつという目だ‼︎‼︎)


「…尾行だ。」

「……勉強しましょうか。」

ドサ!何処からか大量の本。


「バカヤロウお前バカヤロウ!尾行は漢の憧れだぞ⁈」(〜台パンを添えて〜)

「どこでそんな乱暴な言葉を覚えてきたんです⁈メイド長に言いつけますよ⁈」


ぴえん。

(くうっ!つい前世の言葉使いが…)


「…まあ、まあ。ギルさん?あのヒルト師匠が毎週金曜日、何処に行っているのか、気になりませんか。」

「気になりません。師匠の都合でしょう。」


冷たい!

つべたすぎる!

「お願い!お前しか頼れないの!」

手を合わせる。

「………そもそも何で突き止める必要があるのです?」

「え、単なる興味?」


「はいこの話はこれで終わりです。解散!」

「なんだよ興味じゃダメかよう。主人特権使うぞ?」

「権力をそんな事に使わないでください」


それはそうです。ごめんなさい。

あーあー、暇だな。

何しようかな。

(ひーまーだーなー)

「ひー!まー!だー!なー⁈」

「ダメです」

ふえええん。


「勉強しましょ、勉強」

「はあい、ギル母さん」

「誰がアンタの母だよ」


パラパラパラ…

本を読む。

それだけ。


(あ…でも、こうやってゆっくりするの、久しぶりかも。前世でも、ずっと本は読めてなかったし)

魔物の習性…について。

夜を好むものが多いとされている。

魔法を使う魔物もいる。

食事としては、人肉

       動物の肉

       果物

           などを食べることが多い。


……ざっくりしてんなあ。


次の本を手に取る。

…古代文明…?

表紙は妙に古めかしく、ところどころかけている。


…古代より、この世界にヒトは居たとされている。

今の我々と基本的なところは変わらず生活していたのだろう。

そして文化があり、家族も友もいた。

この本ではそれらについて触れていく。


まず、文明について。

西のラピチナ国のあたりには、古代文明があったとされている。

その名も、 《イモータル》


––––俺は、その瞬間、その言葉に強烈に惹かれた。

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