第24話 従者探し

「…父様。貴族の子供は従者をつけるって、俺、知らなかったんですが…」


「………」


「父様?」


「………?」


(とうさまぁ!しっかりしてくれえ!)

毎度の如くここは執務室。

そして俺と公爵(あとセス)

なぜここにいるかというと、茶会でヒメナに教えられたことがあるからだ。


➖15分前➖

「…ど、どういうこと、ルーク。」

「え、いや、俺が聞きたいわ。」

(なに、従者がいないって、そんなに変?)


「あのう、ルーク様。貴族の子は、経済的理由がない限り、従者がいるものなのです。それは「子に従者をつけるほど財力がある」という象徴や、「従者を扱える子供」という見せつけ…みたいな?そんな感じに権力を見せることができるんです。逆に従者がいなければ、貧乏…と捉えられなくも…。」


「だから私、今の聞いて驚いたわ。…ね、ルーク。他の貴族にナメられると面倒だし、早くに従者をつけといた方がいいと思うの。…他の貴族に言っていいことか、わからないけれど。」


➖回想終了➖


「ヒメナと、その従者に教えていただきました。」

「…そう、なのか?…セス」


ばっ!

「んなぁ⁉︎俺に聞かないで下さいよ!…まあ、ヒメナ令嬢の言う通りだと思いますよ?…確かに公爵家の子息に従者がいないのは、疑問に思われるかと…」

「そうなのか…知らなかった…。」


(し、知らっ⁈知らなかったあ⁈公爵家の当主なのに⁉︎)

「…すまなかったな、ルーク。従者が、欲しいか?」

「いえ、欲しいという訳では。ですがナメられるのは性に合わないので…。でも、」


「欲しいんですよね‼︎‼︎ルーク様‼︎」

「欲しいのか⁈ルーク!」


「いやっ、だからあ!」


「欲しいそうです!ケイ様‼︎」


んおお…父親の従者の圧が強い!

どうしてだ、セス!性格悪いお前が、こんなことをしてまで…どうした!

「そうか…。ならば次の休みにでも、従者候補を探そう。」

「いやね、父様。俺は別に」


バタム!

「あー!ルーク様、次はケイシー殿の授業では⁈時間に遅れてはいけません!さよならあ!」


…追い出された…。

これが主人の、それも公爵の子供にすることか?

それにしても、なんでセスは従者をとらせたがる?

…あの主人バカ!


➖一週間後➖

「この中から選ぶといい。」

「ほあ?」

ズラあーっと並ぶ人々。

ざっと三十人はいるだろう。

その中で、八割が大人。残りは俺と同じくらいの子供。


「んんん…えーと、お名前は?」

「エンピ・ツオレタ!特技はペンのインクを1時間で使い切ること!」

「…パス」


「お名前は?」

「ソラノヒ・カリです。特技は綱渡りと火の輪をくぐり抜けること!」

「…パス!サーカスを紹介して!」


「…お名前は?」

「@/&#〆$・=*\!どぐぎわあ!ひどを!なぎたおずこどお!」

「…誰かこの人の名前聞き取れた⁈」


……無理じゃん!

なんでこんなに従者としての能力がダメな人が多いの⁈

俺と同じくらいの子も、緊張してなのかまともに喋れていない。

それにその大半は、無理矢理連れてこられたのか、泣きそうな子もいる。



「そうか、見つけられないか…。」

「…あの、この際街で探すというのは?」

「…従者に必要なのは、口が悪くなく、字が読み書きでき、忠誠心をもっている…という要素だ…」


(街の人が皆それを満たすとは限らないよな…でも、貴族の見方をしない人がよかったんだけど…)


「…街の者がそれら全てを満たしているとは限らない。だが、「公爵令息の従者」になれるならば、勉学も護衛術の訓練も厭わない者が出てくるだろう。だから…そこを狙うんだ、ルーク。」


公爵がニヤリと笑う。


「父様…」

天才‼︎

(確かに、今までの従者候補は皆必死そうだったし…。うまくいくかもしれない…!)

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