第23話 疑問点
「死神が質問の答えをはぐらかしたぁ?」
「しっ!ヒメナ、声が大きい!」
「あ…ごめんなさい。」
庭園でのヒメナとのお茶会。
ヒメナと共に、俺は死神について話していた。
「…それにしても、どうして?別に転生者の存在をもう一人に話したとしても、別に死神に影響はないんじゃないかしら?」
「だよねえ。だって、死神は神だし。俺たちを見下ろす存在なのだから、教えてくれても…。」
一口紅茶を飲む。
「はあ、わからないわねえ。」
そう、わからない。
俺たちには死神の行動が全くよめない。
俺たちを転生させたり、夢にでたり、加護をつけたり…。
「…加護?」
「どうしたの、ルーク?」
そういえば、昨日の夢、死神はヒメナにも加護をつけたと言っていた。
「ヒメナは、どんな加護なんだ?」
「ふぁい?…んく、加護?」
ヒメナは食べかけのケーキを無理やり飲み込む。
「そ、加護。死神が言っていた。俺には『死神の加護』があるようだけど、効力は今のところ見えてない。ヒメナにも、この世界の精霊の加護がついているそうだけど。」
「…知らないわ。」
「知らない?」
「ええ。全く伝えられていない。家族にも指摘されていないし。貴方は?」
「俺も…父様やハンナ、魔法士であるケイシー先生にも、指摘されていないけどさ。」
「…でも、ヒメナには加護のこと、伝えられていないの?」
「…そうよ?…まあ、いずれわかるでしょう。」
「…いずれって…。…やっぱり何か、不自然だ。」
「そうねえ。ううん…。」
「伝えないのには、何か理由があるのか?」
「…え?」
そうだ。
確か死神は言っていた。
「上が反対している。」
「上」に気づかれるとまずい?
反対しているから?
どうして反対する?
「世界」の秩序が崩れるから?
それとも、単純に「ルール」だから?
そうだとしたら、死神はなぜそれを破る?
なぜ––––
「きゃっ」
「…!ヒメナ、どうした⁉︎」
「…あ、ごめんなさい。「ヒノデ」がいきなり飛び出してきたから。」
「ヒノデ?」
ヒメナの足元を見ると、そばには小さなウサギがいた。
茶色い毛皮で、ヒメナとそろいの翡翠の目をしている。
「…ああ、ペット?」
「むっ!ペットじゃないわ。家族よ。」
「あー、うん。了解。」
ガサガサ
「うおおおお!っと、うわ⁈ヒメナ様⁈と、ご婚約者様の…ルーク様!」
「…元気そうねえ、タソガレ?」
「…ええと、ヒメナ、誰だ?」
「ごめんなさい!」
「あなた、注意しなさいな!」
(9歳児に叱られる15歳…。)
話によると、タソガレはヒメナの従者だそうだ。
「…ひえええん!ヒメナ様がいじめるう!」
「虐めてないでしょ!あんたはナヨナヨの乙女か!」
「うお…。まあ、ね?二人ともさあ…。」
「うるさい!」
「「ひえええん!」」
………
「…だから、今度から気をつけてね、タソガレ。」
「…しゅいませえん。きをつけますううう…」
「ふう。…ごめんなさいね、ルーク。」
「…んおおお。」
「…ルーク様が壊れた…。やっぱり、ヒメナ様の⁉︎」
ぱちん!
「んがあ!ヒメナ様酷い!僕の大切な頭を殴るなんてえ!」
「叩いたのよ!」
(頭に衝撃がはいると脳細胞が幾つか死ぬとかなんとか…)
「うはは…。大丈夫だ、タソガレ。」
「そうよ。タソガレ、大袈裟!」
「…それより、従者がいるのか?ヒメナは。」
「?ええ。ルークは?いないの?」
「ああ。」
「「え⁉︎」」
(…え?)
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