第21話 同志

「ヒメナ…君、もしかして…」

ここは公爵家の庭園。

俺は婚約者(候補)のヒメナと共にいた。

俺は衝撃をうけていた。


この目の前の少女が、あの有名な【ごんぎつね】の名ゼリフを言ったのだ。

【ごんぎつね】を知っているという事は、日本人の可能性が高い‼︎

これは…同士発見の手掛かりになるのでは⁈


「ルーク様…。『点P___』」

「…!『____動くな』…!」


「ヒメナ…。君、地球…日本からの転生者?」

「…ええ。貴方こそ、どうして…。」

俺とヒメナは数秒見つめ合った。


「…俺は、元日本人だ。転生して、この世界にきた。元の名は橋本きらり。…君は?」

「…私。私も、元日本人の転生者よ。転生前の名前は瀧澤奈央。」


転生者…‼︎ こんなに近くにいただなんて!

ならば、なぜ死神は教えなかった?

教えようと思わなかった?

何故?


「ヒメナ…死神に、会ったか?」

「!ええ。銀髪で、白い着物を着ていた…。」

「…俺もだ。少年の姿をしていた。」


(これは、どういうことなんだ?同じ世界に二人…それも同じ国の人間を転生させるだなんて。)

「ヒメナ。お互い、元日本人の転生者だということが判明した今、やる事はひとつ…!」


「「情報の共有と、協力関係になること‼︎」」


「よし!…婚約は、しなくてはならなくなったなあ…。えと、でも、ヒメナ。これからよろしく。」

「ええ。…驚いたけれど、でも、よろしく、ルーク様。」

「あ、ルークでいいよ。身分とかあるだろうけど、二人の時はそう呼んで。」

「あら、そう?…よろしくね、ルーク!」


ふふっ、と笑った同士は、とても可憐だった。






白い。

右も、左も、上も、下も。

全て、

(真っ白だ)


しゃく、と、雪を踏んだような音がして、死神が現れた。

ここ、知っている。

前も来た。

風景は違うけれど、ここは夢。


「やあ、久しぶり、きらり。いや、ルーク。あの世界は満喫しているかい?」

(どういう事なんだ。転生者が、いたぞ。)


「うんうん、疑問だよね。でも、奈央…ヒメナ以外、もう転生させてはいない。あれで最後だったんだよ。ね、許しておくれ。」

(はあ?でも、ならば何故、教えなかった?それに、二度ある事は三度あるというし!)


「…いそがしくてねえ。それに、もうしないってば」

(具体的には?どうして忙しかった?俺たちを転生させるヒマはあったのに?)


「……あぁいやだ。粘着質な奴は嫌われるよ?それに加護をつけたのは君だけさ。ヒメナの方には、僕が「マギ」の精霊に加護をつけるよう言ってあるし。僕の加護の方が強力なんだよ?ラッキーボーイなんだから、いいだろ。」

(加護?…たしかに言っていたけれど、聞きたいのはそんな事じゃない!もっと––––)


「あ、もう夢からさめる頃だよう、ルーク。じゃあね〜」

(待て、おまっ––––!)


シュン!


「…君にまで、そんなことを言われるのか。まあ、仕方ないんだけど。」


「二度あることは三度ある…ねえ。」


「––––––––––––––––なんだけどなあ。」


死神の呟きは、声として、音として捉えるには、あまりにも小さかった。




____あとがき____(?)

なんか気づいたら1000pv超えててビックリしたー

いつもありがとうなんだぞ☆

自分嬉しいなんだぞ☆


本当にありがとうございます、マジで。

情緒不安定な主人公ですが、これ普段の自分味があるので、どうか生暖かく、見守ってあげてください


これからもよろしくなんだぞ

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