ある日、生まれた失敗作。
引きこもりたい女子高生。
序章。
20××年、◯月◯日。
私は生まれた。
そして、数時間後には死にかけていた。
理由は...、母のお腹の中に居すぎたからだそうだ。しょーもない理由だ。でも、今思えば、そのまま死んでしまっていた方が楽だったんだと私は思う。だって、世の中の汚いもの全部知らずに済むんだから。それに、良く言うじゃない?
「生きることは死ぬことより辛い」って...。
話を戻して、と。
まぁ、結局は復活を果たし元気にすくすくと育ち、小学校に入学する。
さぁ、ここからが本題だ!
小学一年生。
私には毎日一緒に登下校する同い年の女の子、A子がいた。小学校に入る直前に祖母から紹介されたA子は小さくて、明るい、可愛らしいイメージだった。だが、実際一緒にいると、とことん我が儘だ。登下校の時はランドセルや虫かご、小学一年生ならではの荷物を持たされ、一人身軽に歩くA子の後を追いかける毎日だ。そんな日々が嫌になり、私はA子に荷物は自分で持つべきだと話をした。すると彼女は以外にもすんなり謝ってくれ、荷物持ちをさせられることはパッタリと無くなった。素直に言って良かったっと思いながらもA子への不信感を拭いきることは出来なかった。
小学二年生。
同い年の男の子、Z君の子ども染みた嫌がらせからA子を庇った。取っ組み合いの喧嘩に発展してしまった。私はZ君に勝った。元々、同年代の子達と比べれば体はかなり大きい方だったので難なく勝てた。しかし、取っ組み合いの時にZ君の爪が私の手の皮膚を抉り、今でもその痕が残っている。でも、この時の私は怪我をした事など、どうでも良かった。何故ならA子や、野次馬をしていた子達から感謝されたからだ。
「助けてくれてありがとう。」と、
この出来事で私は大きな、そして愚かな勘違いをすることになった。
小学三年生。
私の学校生活は穏やかでは無くなっていた。理由は簡単だ、誰かを何かから庇えば感謝して貰える。喜んで貰えると思ったからだ。だから、私は毎日クラスの男の子と喧嘩して、誰かを守った気になっていた。でも、ある友達の一言で自分は間違っているのではないかと思うようになった。
それは、こんな言葉だった。
「今日も殴って黙らせてね!」
頭を鈍器で殴られたのかという程の衝撃の一言だ。
私は体が大きかった。女の子の成長は男の子の成長より早いと言うけれど、それが顕著に見てとれる程の体格差が男の子達と私にはあったのだ。勝てるのが分かっているのに殴り合う。それは一方的な暴力、いじめと変わらないのではないかと考えるようになった。もやもやと毎日を過ごす私に追い討ちをかけるように仲の良い友達とのトラブルが増えるようになってきた。きっかけは些細な事がほとんどだ。誰と遊ぶのか、誰と帰るのか。みんな子供染みた独占欲が原因だろう。だが、小学三年生が思い悩む理由としては十分だ。普通なら親に相談する所だろう。でも、この頃の私は学習塾と習字、ピアノにバレエを習っていた。この習い事関連や私のだらしなさが招いた躾問題の事で私はいつも親と対立していたのだ。学校の悩みについて相談する隙なんて無かった。
そんなトラブル爆弾の導火線に火が着いたまま私は進級する事になった。
小学四年生。
相変わらずトラブルは続いていた。学校の下校、いつも一緒だったA子と帰ることが減っていた。男子と喧嘩を頻繁にする所も何も変わっていなかった。それでも学校のトラブルよりも家での問題の方が私にとって辛いものになっていた。毎日毎日怒鳴り声が聞こえる家の中。少し親に口答えすれば叩かれたり、殴られたりした。日に日に増していく親からの重圧に耐えきれず、逃げ出しては叱られ、頑張ることを約束し、破る。その繰り返しだった。そして、時間が経つに連れ親の期待に応える事の出来ない自分の情けなさと、無理難題を言い続けている親への怒りや鬱憤は溜まっていった。
小学五年生。
宿題をせず毎日友達と遊び、塾はサボってバレエもやめた。クラスの男の子との喧嘩もやめた。友達に嫌なことは嫌と言うようになった。すると、学校生活は以前よりは楽しいものに変わっていった。親に口答えもするようになった。怒鳴られたら怒鳴り返した。叩かれれば叩き返した。殴られれば殴り返した。学校生活と反面、家の中は荒んでいった。
小学六年生。
私は、努力する事をやめた。
塾も習字もやめた。母親には、
「今まであんたにかけたお金全部、ドブに捨てたみたいなもん。」
と言われた。以前の私なら申し訳無いと思っていたかもしれないが、もうそんなこと一ミリも思うことが出来なかった。それどころか解放感からなのか心の底から笑いが込み上げてきた。
そうして中学へ上がる直前に母親に私が自傷行為をしている事がバレた。
ある日、生まれた失敗作。 引きこもりたい女子高生。 @irukasattka25
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