君は、もういない。

朝比奈遥花

第1話

彼の笑顔は、向日葵みたいに眩しかった。

そして私は彼ほど優しい人を知らない。


でも、大好きだった彼の言葉遣いも、彼の匂いも、もう私の前には存在しない。


彼と過ごした嘘みたいに幸せだった日々も、もう戻ってこない。


彼との無数の思い出たちを振り返って、懐かしいという言葉を使うには早すぎる。


今も傷口は生乾きのままで、瘡蓋すらにもなっていない。


私はまだ、彼のいないこの現実が信じられないでいる。

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君は、もういない。 朝比奈遥花 @orange1014

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