救いを求める時は

ネルシア

救いを求める時は

中学時代までは順調だった。

だが、受験をサボったばっかりに高校では痛い目を見ている。


学校でも親が私を怒る時は大きな物音をわざとらしく立てる。

こんな人に相談事なんてしたくない。


さて、登校する時間だ。

歩いて、電車に乗って、道を歩く。

玄関をくぐり、3階の自分の教室に入る。


何食わぬ顔で普通に話すが、トイレの個室に入ってると色んな人の、色んなグループの愚痴を離す同じクラスの子。


でも、未だに愚痴を話しているのを聞いていない人がいる。


「ねぇ、あなた。」


本を読んでいたら急に話しかけられる。


「な、なに?」


「んーん、別に疲れてそうな顔してたから心配になっちゃって。」


この人なら話してもいいかな・・・。

何故かこの時はそう思ってしまった。


「ここだとちょっと・・・。」


「そう?それなら中庭に行きましょう。」


そう誘われるがまま、中庭の誰も来ない秘密の椅子に案内される。


「ほら、話してご覧なさいな。」


「実は・・・。」


家で親がありとあらゆることを制限してくること。

不機嫌になって音を立てるくせに愛してるとか言ってくること。

スマホを持てないため、クラスで馴染めないこと。


「大変だったね。私にはこんなことしかできないけど。」


突然頭を撫でてくれた。

この優しさに思わず泣き出してしまった。


「よしよし、吐き出していいんだよ。」


その日からその子と長い間を過ごすようになった。

私を理解してくれて、私を包み込んでくれる人はこの人しかいない。


ルンルン気分で学校に向かう。

またあの子に会える。

今までの人生で一番の輝き、楽しみ、幸せ。

でも、それは唐突にやってきた。


いつも早めに教室に着くようにしていたが、たまたま電車が遅れた関係で、遅めに教室に入る。

扉を開けようとしたところで、あの子と別の複数の女の子の声が聞こえてきた。


「あいつと最近どうなのよ?」


「あー、あいつ?面白いよ。

 本当に私しか助けてくれないって思ってるみたいで。」


「あっはは!!何それおもしろ!!

 あんた何人たぶらかすつもりよ?ww」


「覚えてるだけで8人かなぁ。」


「ひえぇ~、この人たらし。」


「まぁね~。」


スッと暗い感情が心の中にいっぱいに広がる。

だが、授業のために入らないわけにはいかない。


思い切ってドアを開ける。


「おはよう。」


その子に挨拶をされるが、苦笑いしか返せなかった。


その日の放課後。

私はあるところである物を買った。


もういいよね。

我慢したよね。

生きることもここまで頑張った。


あの子の住所はスマホを盗み見た時に覚えた。

家の前で待ち構える。


「・・・何してるの?」


後ろから話しかけられる。


「あぁ、ううん、人生に絶望した人間で遊ぶとどうなるか教えようかなと思って。」


「それってどうい」


言い終わらない間に包丁を突き刺す。

首に腹にお腹に。


「やっぱりこんなに腹黒いんだね。」


内臓を引きずり出し、色を確認する。

そこになんの感情もない。

ただ、殺せてすっきりしたくらい。


そのまま家に帰る。


「ただいま。」


「お帰りなさい。」


母親が私を見て驚くが、その固まった表情の目玉に刺す。

刺す。

刺す。

刺す。


「今まで依存だのなんだの言って無理やり制限させやがって!!!!!

 てめぇなんて愛しちゃいねぇんだよ!!!!!

 勝手に生んでんじゃねぇよ!!!!!!」


感情を吐露するが、すでに絶命した後だ。

どれくらい聞いていたかは分からない。


父親が帰ってくる。

ただいまを言う前に、その首に突き刺す。


「てめぇもてめぇだわ、勝手に中出しして私なんかを生ませやがって。

 猿じゃねぇか。

 何が人間だわ。

 都合のいいときだけ人間は理性が働く生き物だとか言いやがって。

 それなのに子供が欲しいだぁ?

 死ねよ。

 あ、死んでたか。」


その後も殺し、殺し、殺しまくった。

誰が標的なんて関係ない。

逮捕されるまで手当たり次第殺した。

殺せば殺した分だけ地球にとっては助かるから。


そうして私は日本史上最悪の殺人犯となった。


FIN.

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救いを求める時は ネルシア @rurine

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