第93話 兄様を絶対国王とした我らアマゾネスの千年王国
停戦協定の調印式が近づくにつれて、トーコさんが連れてきた人員たちも慌ただしさを増してくる。
そんなある日、アマゾネスさん二人が到着した。
前にもオーガの大樹海で一緒になった、総軍団長の双子である。
その二人が、調印式に招待した賓客の一番乗りとして来てくれたのだ。
名前はカノンさんとシオンさん。どっちがどっちか分からないのは秘密だ。
ぼくとユズリハさん、トーコさんで出迎えると、アマゾネスさん二人はぼくを見るなり
「
「しかし
「そこで我々は考えた」
「
「「どう?」」
「いやいやいや、『どう』じゃないですよ!?」
しばらくぶりに会ったけど、二人の冗談が大幅にグレードアップしていた。
ていうか現役女王を前に決闘だの国を乗っ取るだの、たとえ冗談でも絶対ダメだから。下手すれば今のでぼくは反逆者である。
トーコさんは引きつりながらも笑ってるので、大丈夫だと思うけど。
「すみませんトーコさん。本当になんて言ってよいやら……」
「いいんだよ? スズハ兄がアマゾネス族の頂点と、きわどい冗談を交わせるくらい仲がいいのは、諸外国に対しても大きな手札だからね!」
「「冗談ではないのだが……?」」
「そ、それよりも今日のビキニアーマーは真っ白なんですね! すごく似合ってます!」
これ以上余計なことを言われる前に、ぼくは話題を逸らすべく二人のビキニアーマーを褒めた。なんといってもアマゾネスの象徴はビキニアーマーだからね。
それに、以前出会ったオーガの大樹海では二人とも赤色のビキニアーマーだったので、白というのは初めて見たのだ。
するとアマゾネスさん二人は「えへへぇ……」と相好を崩して、
「似合っているだろうか……?
「いやいや!? やるのは停戦協定の調印式で、ぼくの辺境伯就任記念とか無いですよ!」
「しかし
「停戦協定のほうが大事ですよ!?」
「まあいずれにせよ、そちらも任せて欲しい。もしどこかの愚かな国が、
「──我らアマゾネスが総力を挙げ地の果てまでも追いかけ回し、
「言い方! 言い方がすごく重いですから!」
一度オーガの大樹海で一緒になって、変種のオーガを斃しまくった時一緒にいただけのぼくを相手に、真顔でこんな冗談すら言ってのけるアマゾネスさん二人だった。
これで世間では『男嫌いのアマゾネス族』とか呼ばれているのだから、ほんと世の中は分からないものですね。
「あはは……アマゾネスのみなさんって、噂と違って本当に親しみやすい人たちですよねえ。ねえユズリハさん?」
「本当に驚くべきは、あの傍若無人なアマゾネスをここまでトロトロに蕩かしてしまったキミだと思うが。なあトーコ?」
「全くだねー。まあスズハ兄以外の男が今みたいな感じで気軽にツッコミなんか入れたら、その場で鉄拳が振り下ろされるだろうね。ていうかアマゾネスに一撃食らったら、普通は当然即死なんだけどさ」
「え? え?」
なんか世間だと、また態度が違うらしい。よく分からないよ。
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