27.終わりを告げる鳥

 鳥の鳴き声が聞こえる。それは誰もが今までで一度も聞いたことのない声だった。どこかの文献――それも神話とか宗教の教えだとかそういう類――にあったものではないか、と、どこかの研究家は発表した。それ以来、どこからともなく、全世界に広がるその声が轟くたびに、世界はほつれていった。

 最初は枯葉が落ちるのみだった。季節柄、それは当然のこととして扱われ、深く受け止める者はほとんどいなかった。しかし例年より早く全ての葉が落ちると、次はそこここの道が崩れ始めた。いや、崩れるというよりは破れる、だろうか。とにかく何と言うべきかわからないが、壊れていったのはたしかだ。

 世界の崩壊が始まったとき、人間は自身の家の捨て、避難所へと一斉に駆けつけた。避難したところで何も変わる訳ではないが、きっと大勢いる方が安心できるのだろう。

 困惑する人、怒鳴り散らす人、放心している人、死を求める人、涙を流す人。様々いた。集まったからといって全員安心を得られる訳ではなかった。世界が崩れ去ったとき、最後のあの声が響く。それと同時に全ての人間の生命すらこぼれ落ちるのだ。誰一人としてそれを理解していない者はいなかった。


お題「ほろほろ」

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