40.探索結果

 レオナがそれを読み上げていく。


「『マック・リファードはその妻に毒殺。

 妻は長男ライレオに毒殺。

 次男レオ・リファードは兄ライレオに殺される。


 この三人はこの世を去ることが運命だ。

 気に病むことはない。


 長男ライレオが生きるかは運次第だ。

 孤独を背負った長男は支える者がいたのなら生きるだろう。


 我が血筋で生きることを許された者は二人。


 断言出来る者は長女レオナだけである。


 運命を変えようとする人間がいない限り、

 この結果が変わることはない。


 私が正気をなくす前に書くこの下らない考えを

 誰かがを読んでくれる微かな望みにかけて


 いまの地区制度を壊す手段を託そう』」


 一枚目を読み終わり、ジョンとレオナの目には涙が浮かんでいた。

 ジョンは低い声を震わせた。


「なんだよ。知ってたんじゃねーか。自分がどうなるか」


「それなら少しはいいんじゃないかな。予想してたことなんだから」


「そうね。下手すればジョンは死んでいたってことだもの」


 最後の一枚を皆で覗き込んで三人は目を見張った。


 ずらりと特別長い文面で、紙が黒にしか見えない。


 題名は神の名に懸けた運命。


 その内容は――


『書斎のどこかに、血塗られた家系図が二つ隠してあることを

 知っているだろうか。

 私がこれまで掴んだことなのだが、

 地区が三つに別れた歴史が分かる。


 今は抹消された歴史だ。普通の文献には載っていない。

 かつてこの地域は一人の王が統治していた。


 かの王は統治能力が高く民の支持を集めた。

 王は一人の后を娶る。すぐに子供が出来た。


 三人の男児だった。王の教育は独特だった。


 末の子が七歳になったとき、王は後継者を指名した。

 長男を次王に、次男を補佐に、三男を旅人に任じた。


 次男は補佐で良いと納得し、勉学に励んだ。


 しかし二人の後継者は父の期待通りには育たなかった。

 長男は国中を回りたいと王宮をでた。三男は王がいいと望んだ』


 王も希望をかなえてやればいいものを、

 長男と二男の希望を認めようとはしなかった。

 長年の説得で長男がやる気になった。


 しかし三男が引かない。


 そうこうしているうちに国王が病で倒れた。


 兄弟で国を支えればいいが、そうならなかった。

 いままで補佐で良いと言っていた次男が王位争いに参加したのだ。


 だが後継になるはずの生まれた3人の子供達は欲に目が眩んだ。


 王が死んだら誰もが権力を欲し争いにまみれた。

 一人純心だったモノもやがて支持してくれた民を支配する。


 戦火は起こり数多の命が潰えた。


「これどうやって収束させたのかしら。だれも止めるものがないじゃない」

「ここからまた筆跡が変わってる。何回かに分けて書かれたものらしいね」


「当たり前だろ。こんなに長い文面なんだ。書くには相当の時間がかかったはずだ」

 再び黒い紙に視線を戻す。


「収束したのは天変地異起こったからだった。地震、火災、豪雨。

 それが安寧とはほど遠かったものの国土は3つ、平等の広さになった。


 三兄弟は都合がいいと統治を始めた。

 しかし都合よく怒った災害に民の不信は募る。


 それに今まで殺された家族は黙っていない。

 反乱をおこしてその体制を変えようとしていた。


 しかし変わるわけはなかった。あまりに権力が大きかったために。


 血塗られた家系図の一つは殺された民のわかるだけの家族名だ。

 まだ恨みに想っているものもあるだろう。


 もう一つは統治者名を連ねてある。


「それを見れば分かると思うが今に至るまで王の血は途絶えていない。

 たくさんの誇り圧家計が断絶されたのにと不平を感じる組織も

 わずかながらあるのだ。それを有効に使うがいい」と

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