39.家の中
「あったよ。向こうに窓のない部屋があるんだけど紙も散乱しているの」
「独りで片付けられる?」
彼女は頷いてパタパタと走っていった。
数分経ってレオナは戻ってきた。
「準備出来たよ」
持っていた簡易式のランプをつけて火をおこした。
ポッと明かりがともった時に3人の緊張の糸が切れた。
ガタガタと震えるジョンにとって癒しだった。
「うん。少しはましになってきたな」
「ああ。大分ましだな。
これ以上の部屋の散策は明日にしようぜ。
紙ばかりだとばかりだとばかりだと
重要なことが書いてあっても見過ごしてしまう」
その夜は本当に疲れていたのだろう。三人はぐっすりと眠った。
✝ ✝ ✝
小鳥のさえずりで目を覚ました。
レオナは、ハッとした。
他の二人は部屋の探索を始めているようで、
カサカサと紙をいじる音が聞こえた。
レオナは昨日ジョンのためにどけた紙を眺める。
その紙は論文らしく、びっしりと字が並んでいた。
その内容にレオナは驚く。
毒の効能についてというタイトルや死体の様子を図にあらわしたものなどが多い。
「悪趣味だよね。こんなものばかり」
レオナは二人のもとに歩いていく。
「ま。あの母親にこの本の山は手にあまったんだろうぜ」
「レオナ、顔色が悪いな。大丈夫か?」
「平気だよ。パパにそんな過去があったなんて知らなかった。
こんなに本があるとこ見たことないよ」
古びた館の中にある書斎らしき部屋には
これでもかと本や書類が積まれていた。
「おかしくなる前までは歴史研究者だったらしいからその関連だろうぜ」
カナは近くにある紙の束を手に取った。
「『地区に分かれた歴史』発表責任者マック・リファード、
『ある国の兵法ついての報告書』マック・リファ……ん?」
「なにかあったのか? カナ」
無造作に積まれた書物に挟まっていたのは、折りたたまれた手紙のようだ。
怪しむカナに変わり、ジョンが手紙らしい紙を広げた。
一度水に浸っていたらしく、パリパリと乾いた音がする。
やぶれないよう注意して引き離していくと、紙は三枚に分かれた。
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