2.捨てられた兄妹の生活
✝ ✝ ✝
家をもてない者が、多く生活している地帯であった。崩れたレンガを集めて、なんとか風雨をしのごうとする者もいる。精一杯小奇麗な格好を装って、裕福な者を騙して金を得ている者もいる。
そんな地域の一角に、兄妹は住んでいた。
レンガブロックを積み上げて、家らしく体裁を整えている。
しかし細部をよく見れば欠陥が目立つ。窓のガラスは壊れてしまったらしく、
ダンボールのような厚手の紙で塞いである。
窓の下には粉々になったガラス片が落ちている。
玄関部分は木製のドアがあるだけで警備については頓着していない。
そのドアを開ければ、すぐに部屋となる。
リビングとおぼしき部屋に男が一人。ソファーに深く腰掛けて、頭を抱えている。
「馬鹿だよな。レオナをこんな道に引きずりこんじまった」
今までの地獄の日々を思い出しているかのように、彼は瞼を閉じた。
小さな天使を自分の手で擁護するようになってから一日が経ち、二日経ち……
捨てられたのだと自覚した後は、地獄の道へと堕ちていくしかなかった。
しばらくは店の物を盗んで食べていた。レオは人の隙をつくことがうまかったために咎められることはなかった。
ある日レオナは呟いた。
「おなかすいたよ。おなかいっぱい食べたいよ」
それを聞いてレオはまだ幼く、可愛い妹を食べさせていくことは出来ないと知った。それと同時にぼんやりとしか分かっていなかった世界の常識が、理解できるようになっていった。
お金をどう稼ぐのか、どんな知識が求められるのかを丁寧に教えてくれる大人はいない。人々が話している内容から自分が置かれている状況を理解していった。
世界の成り立ちもその一つだ。この世界は大きく三つに分けられる。
一番安全な上級地区、治安は普通で商人達がおおい中級地区、そしてレオ達が住んでる下級地区。
大人に成りきれないレオには、暗殺者にならないかとの誘いが多かった。
彼は正当な報酬をもらうために努力した。
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