6月5日 エスカレーターから覗く闇

 階段。それは人間が考え着いた誰もが簡単に高いところに上ることのできる画期的なものである。しかしそんな画期的な階段も時代を重ねるにつれて進化していくものである。自らの足を動かす必要のない動く階段、エスカレーターの誕生は社会に素晴らしい発展をもたらした。現代社会ではデパートや空港、駅など様々な場所で見られるエスカレーターは場所に応じてその姿を変えていく。

 私はデパートにいた。彼女とのデートの真っ最中である。そのデパートは11階建ての高層階であった。入口に入ると化粧品店コーナーから緩く甘い香りが漂う。そして私は彼女に付き添い化粧品を粗方回った後自然と上の階に行くためにエスカレーターに足を運んだ。そのエスカレーターは両左右がガラスで張られていて上の階が見えるような形となっていた。私はぼんやりとその上の階を下から見上げていた。放課後の青春を嗜みに来た女子高生たちが七、八人で左側のガラスにもたれかかって疲れた脚を休ませていた。その光景に私の視力は裸眼で一気に10.0にまで引きあがった。彼女らは私の位置から見ると短いスカートの中がまる見え状態となっていた。右から左、左から右へと舐め回すように彼女らのスカートの中をしっかりと堪能していると、後ろの方から彼女らの同級生であろう黒ギャルが駆け寄ってきた。黒ギャルは思いっきり足を柵の手前にある段差に乗せてスカートの中を私に御開帳してくださった。その衝撃的な姿に私は思わず声が漏れてしまった。黒ギャルは下着を身に着けていなかったのだ。黒ギャルらしく真っ黒に誰かに使い古されたであろうびらびらを見せつけられた私は「最近の女子高生は怖い」と何も面白くない感想を残し、デパートを後にして彼女とすぐにラブホテルへと向かった。

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