5、晴れ
傘を持っていきなさいと言う日に限って雨は降らない
でも私はお日さまがさんさんと照り付ける町は怖いから母のその言葉は嫌いだ
太陽が私の短い影を道路に落とす
誰もいない
外はこんなにも明るくて物がはっきりと見えているのに
家々の輪郭がこんなにもくっきりとしているのに
誰か私の名前を呼んで
通りに人の気配はない
家々の中からは何も聞こえてこない
「核ミサイルが発射されて町の人たちはシェルターに避難しました」
「細菌兵器がばらまかれて人々は家の中でばたばたと倒れていきました」
「宇宙からの侵略者によって町の人全員がアブダクトされました」
誰か
私は道路の真ん中を歩く
短い影がふらふらとついてくる
太陽がさんさんと照り付ける午後零時の町を私は歩く
誰かが私の名前を呼んだ気がして振り返ったけど陽炎が揺れるその町にはやっぱり誰もいなかった
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