ライトノベル
『搾●病棟 〜性格最悪のナースしかいない病院で射●管理生活〜』 ●性研究所
『搾精病棟 〜性格最悪のナースしかいない病院で射精管理生活〜』
搾精研究所
三時間ごとに射精しないと睾丸が激痛に襲われる奇病に罹っている青年・ヤマダが両腕を骨折、入院を余儀なくされる。
両手を使えないヤマダの射精管理をナースが行うことになるのだが、その病院には性格が最悪なナースしかいなかった。冷酷、陰湿、粗暴、卑屈、怠惰なナースたちに、機械的に処理され人格を貶められ乱雑に扱われるヤマダの受難は続く。おまけの短編二編収録。
……これを書くにあたって上の画像を保存した時に「いくら読んだ本を記録することにしたとはいえ、何もかも馬鹿正直に報告する必要は無いんじゃないか?」となったことは一応伝えておきたい(※もともと公開していた場所では書影も添付しておりました。ここでこうして補足している今「一応全年齢向けサイトのカクヨムでジュブナイルポルノの感想文はいかがなものか? てか、いくら書名であるとはいえアダルティな単語を載せていたら注意を受けるんじゃないか?」と少々不安になってきましたので、サブタイトルではところどころ伏字にしております。悪しからず)。
昨年あたり話題になった同人ゲーム? ノベルゲーム? ストーリー付きのCG集? とにかくジャンルはよくわからんが18才以下の人は手を出してはいけない創作物の作者自身によるノベライズ。
奇矯なキャラクター、パワーワードを連発するキレのいい台詞回し、単なるネタかと思いきや非常に秀逸であるらしいストーリーなどで話題になっており、特にやたら声がデカくて目をむきながらおかしなセリフを吐きまくるアマミヤ先生とその後ろで控える大柄ナースのオオツカちゃんのファンアートが流れまくってきたことに段々影響されて興味を持ったのが本書を読んだきっかけである。
原作に手を出すのは気が引けてしまい、どうしたもんかと考えあぐねている時に作者自身によるノベライズがでるという情報をつかんだので「ならそっちでお手軽に補完しよう」となり、購入して数ヶ月積んでから読むに至った。
ちなみにフランス書院の美少女文庫という官能小説の老舗のジュブナイルポルノレーベルから出ておりしかもリアル書店で購入したので、ゲームをダウンロードする方が心理的ハードルは低かったんじゃ……? という疑いがあとから生じたものの、ゲームは苦手だしおまけ短編が予想外によかったのでまあヨシということにする。
素っ頓狂な設定とはいえ官能小説であるため、性格極悪ナース五人によって主人公が順番に弄ばれる様を愉しむのが主な筋立てになっている。
そのため、病院で繰り広げられている悪事の謎は明かされず、先日おなじ原作者の漫画に出てきた「反社トンネル」などの興味深いアイテムが出てくる前にページが尽きていた。どうやら「続きは原作で!」ということらしい。一体なんのために買ったのか……? という気持ちが無かったわけではないけれど、思った以上に楽しく読めたので責める気にはならなかった。
思うに、男性向けエロ作品を読む時にはどうしても無視できない「いや、ねえよ。そこでそんな心情になるかよ。そもそも人体の構造はそうなってねえよ」的なストレスとは無縁だったので、おかしなセリフや言動、展開に素直に笑って楽しめた所が自分の中で好意的な印象を抱く要員である模様。
作品の趣旨上、ナースたちは不幸な主人公に奉仕はするもののそれは仕事上仕方ないからであり、主人公のことは一切好きにならない(一部友情を感じるものもいるが、そういう奴に限って性癖が厄介)。エロいことはしてやるが心底嫌で仕方がないという姿勢が徹底しているからだろう。特に有能で冷徹なタチバナさんや粗暴なヤマグチさんあたりは読みやすかった。
そりゃあ、ただでさえ激務なのに一患者の射精を介助するという明らかにナースの仕事の範疇外なことをするハメになった上に、当の患者に「それではイケない」だのなんだのやり方について注文つけられるなどの目に遭ってしまえば、これくらい冷たく当たってしまうのも無理あるまい……。
このように、登場人物の感情と行動にズレがない所がストレスのない読後感の原因であるように思う(しかし、有能で冷徹なナースのタチバナさんは人当たりがちょっとキツイだけとしか思えないのに性格極悪ということにされており、ちょっと可哀想である)。
原作をすでに知っている人に向けたものなのだろう本書のウリは、オマケの短編二編を読めるということになるのだろうか。そのうち一編が本作に興味を持つきっかけになったアマミヤ先生とオオツカちゃんコンビのお話になっている。
で、もう一つが主人公を攻めるナースたちが職場に一番近い者が住んでるワンルームに入り浸ってはだらしなく過ごすというもの。これが複数の女子がわちゃわちゃとくだらないことをしている様に弱い自分のツボをつく内容で非常によかった。特に部屋の主人であるポンコツナースのモチヅキさんと怠惰でだらしないナースのヒラマツさんという二人の微妙な友情の有様が良かった。キャラクター単体では、陰湿でねちっこく陰口叩きまくるくせにメンタル弱々でお説教されると病んでしまうという、厄介の塊のようなクロカワさんが結構好きなのですが。
……しかし、クロカワさんの陰湿さとモチヅキさんのポンコツさ、それからヒラマツさんの怠惰さがそれぞれ他人とは思えず、自分自身を見つめているようで結構凹んだ。ダメなナース三人のダメな部分を全部合わせたのが自分としか思えない……。それは流石にどうなんだろう? そんな気持ちが抑えられない。
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