第2話 旧校舎の十二不思議~花と桜子
旧校舎の十二不思議
秋が教室に入ると、大多数のクラスメイトが既に登校していた。自分の席まで行くと、前の席には秋の悪友であり、遅刻魔の遠藤 直(えんどう なお)が珍しく先に座っていた。
「おー。早いじゃん」
秋が直に声を掛けつつ自分の席に着く。
「ああ、明け方に目が覚めちまったんだよ」
直は無愛想に応えるが、秋が来たことで幾分か機嫌が良くなったのがわかった。
直は学校でも町でも問題児として知られている。喫煙をしているところを何度も見つかっているし、無免許でバイクに乗って補導されたこともある。
加えていかにもガキ大将といった風貌なので、良く知らない大人たちからは偏見の目で見られることが多かった。
この中学に通う生徒はほぼ全員が小学校、または保育園からの顔見知りだ。しかし秋は、直とはなぜか最初からウマが合った。
直は家庭の事情で中学から転入してきたのだが、彼についての噂は既に町中の大人が知るところだった。
秋も当初は、自分の母親から「その子にはあまり近づかないようにしろ」と言われたほどだった。秋の母は偏見というものが大嫌いな人間だったので、秋はそんな母の初めての忠告に驚いたし、それで直という未だ見ぬ転入生に緊張を感じた。
しかし、実際に会ってみたら何てことはなかった。直という人物はただの心優しい、不器用な男だったのだ。
確かに、言葉遣いや、振る舞いはぶっきらぼうではある。しかし、周りの子に暴力を振るうことなんてなく、痛烈な皮肉は言うが、人の悪口は決して言わない。また歳下への面倒見もいいので、小学生の子達からはお兄ちゃんのように慕われている。
それこそ最初は彼に話しかける者は、秋と花しかいなかった。しかし、クラスメイト達もそんな彼の性格を知るにつれ、段々と打ち解けていった。秋の母もいつの間にか直をかわいがり、様子を気にかけるようになった。
それでも喫煙をしたり、授業をサボったり、遅刻したりすることは、大人たちから問題視され、一部の生徒や先生からは疎まれていた。
そんな状況をみた秋は、良い子の基準が何なのかわからなくなった。単純に大人から認められたら良い子なのだろうか。
同時に秋は、自分達の評価が直の社会的な価値を決めるわけではないと気づき、自分は子どもであるということを思い知った。
いつだったか、学校からの帰り道で秋がそんなことを直にぼやいたことがある。すると直は「くだらねぇよ」と秋の言葉を一蹴した。
「俺たちはまだガキなんだ。大人に守られている内は文句なんて言えねぇんだよ」
秋はそんな直の悟ったような言葉に納得ができなかった。
「でも、直は悔しくないのか?」
直は秋の言葉に、少し哀しそうな表情を浮かべて言った。
「そりゃ、悔しいさ。できることなら俺や母親のことを悪く言う連中を、一人ずつ殴ってまわりてぇよ」
そう言って、直は自分のポケットを漁る。どうやら煙草を探しているらしかった。しかし、目当てのものがないことに気づくと、道に落ちていた空き缶をつまらなさそうに蹴った。
「でもな、仕方ねえんだよ。そんなことしたって意味がない。だから俺は早く大人になりてえんだ。中学出たら中古車かなんかの店で働いて、金稼いで、でっかいバイク買って、母親を旅行に連れてってやりたいんだよ」
「いや、母ちゃん乗せてバイクで旅行は危なすぎるだろ」
秋はそう言って笑ったが、直がそんな先のことを考えていることに内心驚いていた。自分はこれから先のことについてなんて、ただ受験をして、家から通える距離の高校に行くんだろうなぐらいにしか考えていなかったからだ。
そのとき秋は、学校を卒業したら働くと言った直がとても大人に見えたし、それに比べて自分があまりにも漠然とした目標しか持っていないことに、恥ずかしさと焦りを覚えた。
そんな秋の心を見透かしてか、直が言った。
「別にお前は今のままでいいんだよ。お前の良さがなくなるからな。少なくとも俺は卒業するまで、お前と一緒に青春を楽しもうと思ってるぜ」
青春だって。アツいなぁ、という秋に直はうるせえ、と蹴りを入れて笑った。
「――で、お前、今日のこと忘れてないよな?」
直が秋の机に肘をつきながら聞く。その目がいつもより輝いて見えるのは気のせいではないだろう。
「もちろん」
きっと自分も直と同じように目を輝かせているんだろうな、と思いつつ秋は答えた。
「だよな。だって滅多にない機会だぜ。なんせ生徒は完全立ち入り禁止の、あの閉鎖校舎を探検できるんだからな」
興奮気味に話す直を秋は慌てて小声で制する。
「しー。この話は絶対に内緒なんだからな。このことがばれたら俺たちだけじゃなくて、山中先生も校長に怒られるんだぞ」
「ああ、そうだった。わりぃわりぃ」
直は片手を挙げながら、全然悪いとは思っていない口調で謝る。
今日の閉鎖校舎の探検は、秋たちのクラスの担任である山中あかり先生が特別に許可してくれたものだ。
今は廃部になってしまったが、秋が小学生の頃は小中学校の水泳部の顧問をしていた。
平泳ぎで県の代表に選ばれたこともある秋は、小学生の頃から山中先生と親交があり、そのおかげか山中先生は秋のことを特別に可愛がってくれている。
そしてそんな秋の一番の友達で、何かと目立つ生徒である直のことも、山中先生は「昔の私に似ている」といって色々と気に掛けてくれているのだ。
教師なんてろくなもんじゃねぇ、といつも言っている直も、山中先生だけには心を許しているようだった。
まあ、山中先生は美人で有名だからな。きっと今度の横山の祭りでもひっぱりだこになることだろう。特に組合のおじさん連中にだが。
「――そういえば、花も一緒に来るんだろ?」
「もちろん。絶対いくって言ってたよ」
秋がそう返すと、気のせいか直は少し頬を緩ませた。
「あ。あのロリコンちゃんは来ないのか?」
「――桃子な」
秋は溜め息を吐きながら訂正する。
「一応話はしたけど、めんどくさいからやめるってさ」
「まあ、そうだろうなあ」
直は納得した様子で頷く。
「それよりも、そのロリコンちゃんって呼び方おかしくないか?」
「いやあ、だってロリだからな」
「ロリって言っても一つ下なだけだからな。大人から見たらロリかもしれないけど、俺たちからしたら普通だろ。そんなこといったら一つ下の子はみんなロリコンちゃんじゃないか」
秋の言葉に、直はいやいやと首を振った。
「そういうことじゃないんだよ。あの子の見た目がいかにもロリってこと。何か座敷わらしみたいだもんなあ。あ、もちろん良い意味でだぜ」
確かに桃子は童顔で色白、ほっぺはいつも赤みを帯びていて、座敷わらしと表現するにぴったりかもしれない。俺はどちらかというと市松人形みたいだなと思っていたけど、似たようなものかもしれない。
「…でも、やっぱりロリコンちゃんは違うだろ。だってそれってロリが好きな奴らの総称だろ?それならせめてロリちゃんだぜ?」
秋はしつこく追求した。
「おーけい。わかったよ。俺が悪かった」
直は大袈裟に両手を挙げて、この話題を切り上げるように同意した。
「…んで、山中先生は何だって?」
「終業式後のホームルームが終わったら、この教室で待ってろだってさ」
「ふーん。せっかくだから夜まで探検できるか聞いてみようぜ」
「何言ってんの。俺、その後に桃子との約束あんだから」
すると、直は渋い顔をして言う。
「出たよプレイボーイが。でもお前、それは誤解されるぞ。花に愛想尽かされても知らねえからな」
「何でそこで花がでてくるんだよ」
秋は焦って反論する。
「ま、いいさ。そんときゃ俺が花をもらってやるからよ」
冗談めかして直は笑うが、その目にはちら、と真剣な色が浮かんでいるようにみえた。
「…それより、旧校舎には十二不思議ってのがあるんだろ?それってどんなのがあるんだ?俺は数個しか知らないから、教えてくれよ」
直は秋が返答に困って沈黙しているのにもおかまいなしで話を変えた。
こいつ、本当にマイペースだよな、と秋は半分感心し、半分あきれつつも直の話に付き合う。
「えーっと、とりあえずはこれだな」秋は簡単に説明する。
1.包丁おばけぷりぷり
2.動く初代校長の像
3.悪魔の自画像
4.夜中に活動するサッカー部
5.白い人
6.黒板の妖精
7.図書室の女の子
8.声をもらう女の子
9.腕のない教師
「ああ?なんだよ。9個しかないじゃないか。残りの3つは迷子か?」
直はきょとんとした顔で突っ込みを入れた。その拍子抜けしたような顔をみて、秋は慌てて補足を入れる。
「この十二不思議ってやつはころころ変わるんだよ。ほとんどが作り話なんだから、正しく把握してるやつなんて誰もいないと思うよ。俺が小学生だったときは、夜中に活動しているのはサッカー部じゃなくてバスケ部だったし。それにその前は水泳部だったって山中先生が言ってたぞ」
「なんか、信憑性のない怪談だな」
直はがっかりしたように天井をみる。
「俺に言うなよな。そもそも十二不思議ってのがおかしいからね。普通は七不思議のはずだろ」
秋は、自分は悪くないとばかりに反論した。しかし、確かに直の言うことはもっともだった。
「『声をもらう女の子』ってなんだ?」
直が切り替えるように秋に聞く。
「確か、その女の子に、自分の声をあげると友達になってくれるって話だったかなあ・・・」
秋は自信なさげに答えた。内容も人魚姫の真似た感じだし、ホラーとは少し違う気もする。
どうやら直も秋と同じことを思ったようだ。
「それも怪談としては微妙だよなあ。友達がいない奴には需要がある話なんかね。ま、いいさ。俺たちの目的は初代校長の像と悪魔の絵を見つけることだからな。それはちゃあんと信憑性があるんだろ?」
「うーん、多分ね。保証はしないけど」
実際、秋の目的は十二不思議とは別のところにあった。しかし、これだけ初代校長の像を楽しみにしている直を前にそのことを言うのは、何とも野暮というものだろう。
それにしても、この学校の生徒達はこの手の話が大好きだよなあ。田舎だから刺激のある話題に飢えているのだろうか。この間見たネット動画でも、アメリカの田舎の若者たちが無茶なことして遊んでたし…。
そんなことを考えながら秋は窓の外を眺めつつ、未だ教室にいない花の姿を探した。
花と桜子
「あ、さくら子ちゃんだ!おーい!」
花が校門の前にいた桜子を見つけて声を掛ける。
「あ、花ちゃん。おはよう」
森下 桜子(もりした さくらこ)は、すっと花の方に振り向き、落ち着いた声で挨拶を返した。こんなに暑い中でもその顔は涼しげで、額には汗一つかいていない。
「今日は終業式で生徒代表の挨拶するんでしょ?」
「うん。だから昨日は緊張のせいか、なかなか眠れなくて」
そっか、と花は相づちを打ちながら、やっぱりさくら子ちゃんでも緊張はするんだなあといつものように意外に感じた。
桜子ちゃんだったら何でもそつなくこなしそうだけどな。実際に今までもこなしてきてるし。
歳が一つ上の桜子とは、小学校の頃から同じ個人のピアノ教室に通っている。そのため、花とは自然と仲良くなった。昔はよく一緒にプールに行ったり、神社で遊んだりしたものだ。
しかし、桜子が中学校に上がった頃から、自然とそうした交流は薄れていった。
とはいっても、今でもお互いピアノ教室には通っているため、週に一度のレッスン帰りには一緒に買い食いをしたり、喫茶店に行ったりもしている。
そこでお互いの悩みを聞いたり、話したりしているというわけだ。
だからといって二人は必要以上にくっついたりもしない。お互い心地良い距離感を保って付き合っているおかげか、花は桜子と一緒にいるときが最も素の姿でいられた。
桜子は周りからはパーフェクトな存在と思われているが、実はプレッシャーにかなり弱い。ピアノの発表会や体育祭の時などは、緊張してよく体の調子を悪くしていた。
だから花は、そんなことを周りには微塵も感じさせない、桜子の凛とした立ち振る舞いを見るといつも感嘆してしまう。
みんなが観ている前で華麗にピアノを演奏している子が、その数時間前までは気分が悪そうに顔を青白くさせていた子と同じだとは、とても思えないのだ。
だから今みたいに、桜子から「緊張している」という言葉を聞くと、花は今でも意外に思ってしまうのである。
「でも、それさえ終わっちゃえば、あとはみんな帰るだけだもん。大丈夫、楽勝ってなもんよ。それに明日からみんなお待ちかねの夏休み様のご登場だよ」
花は自分なりに考えた励ましの言葉を口にする。
桜子は、それに対して「ありがとう」と、小さく微笑んで応えた。その微笑は思わず見とれてしまうほど美しい。
「――あ。それと今日はよろしくね」
桜子がふと、思い出したように言う。
「え、なにが?」
花はそう問いかけながらも、頭を働かせて考える。さくら子ちゃんから何か頼まれてたっけ?それだったら絶対に忘れないけど。さくら子ちゃんが頼みごとをするなんてめったにないし。
花の言葉に、桜子はきょとんとした表情を微かに浮かべる。
「あれ、花ちゃんたちって終業式のあと、旧校舎に行くんだよね?私も一緒に行かせてもらえることになっているんだけど・・・。その話、山中先生からは聞いてない?」
「えぇ、きいてないよー。でも山中先生なら話すの忘れててもおかしくないか。でもでも、やった!さくら子ちゃんも来るんだね」
花は弾んだ声を出した。
「先週だったかな。山中先生が、終業式の後に花ちゃんたちと旧校舎に行くけど、桜子も一緒に来ないかって誘ってくれたの」
「そっかー。山中先生グッジョブ」
花は喜んで小さく飛び跳ねた。きっと私とさくら子ちゃんの仲が良いことを知っているから声を掛けてくれたんだろう。
それと同時に疑問も出てきたので、花は桜子本人に聞いてみることにした。
「でも、何で行くことにしたの?さくら子ちゃんも旧校舎の十二不思議みたいなのに興味あったんだ?なさそうに見えるのに」
「え?いや、私は――」
桜子は訂正するように片手を上げた。
「なに?」
ずい、花は顔を桜子に近づける。
「実は私、旧図書室を見てみたくて。それで古い本とか、面白い本があれば読んでみたいなと思ったの。山中先生も、前に私がそんなことを言っていたのを覚えてくれていたみたい」
桜子からの回答を聞いて、花は納得する。
――そりゃそうだよね。さくら子ちゃんはそんな俗なことには興味ないだろうし。それに比べてわたしの幼稚さったら。はずかしいなあ。
そう考えながら花が沈黙していると、桜子は話を続けろという意味に受け取ったようで、
「――あとは桃子が気に入るような本はないかなぁと思って」
更に桜子は小さく呟く。
「それに・・・」
「それに、なに?」
花が話を合わせると、桜子ははっとしたように口をつぐんだ。それをみた花はここぞとばかりに突っ込んで聞く。
「えー?なに?気になるよ。なになに?」
すると桜子は、そのまま恥ずかしそうに黙り込んでしまった。どうやら答える気はないようだ。
うーん、しかしさくら子ちゃんの困った顔も一見の価値があるなぁ。
しかし、こんな良い子をいつまでも困らせるわけにはいかない。調子に乗ってやりすぎると、こちらが居たたまれなくなってしまう。そんな子なのだ、さくら子ちゃんは。
花は空気を読んで話題を変えることにした。
「そういえばもも子ちゃんは来ないの?」
「山中先生は桃子も誘っていいって言ってくれたのだけど・・・当の本人が面倒だから行かないって」
「そっかあ」
花はまたも納得して呟く。確かにもも子ちゃんの性格ならそう言うだろう。それに私って、もも子ちゃんにあまり好かれてないみたいだし。さくら子ちゃんと仲が良いからかなあ。
花は、桃子の微かに敵意の込もった視線を思い出す。あれは秋と一緒に帰ったときに、たまたま玄関で桃子に会った時だった。
表面上は表情を変えていなかったが、ふっと一瞬、私を見た時の桃子の目には、冷たい色が含まれていたのだ。
そんなこともあって、花は桃子が少し苦手なのである。
「――花ちゃんは十二不思議を調べに行くの?」
桜子の問いかける声に、花は我に返った。危ない危ない、思い出してちょっとへこむところだった。というかちょっとへこんでしまった。
「調べるっていうほど大したことはしないけどね。なおくんが悪魔の絵とか、初代校長の像を探したいっていうから、私もそれに便乗するわけよ」
「秋君も、来るんだよね?」
桜子は自然な口調で聞いたが、花にはその声音にどこか色味が含んでいるように感じられた。
「もちろん。でもしゅうちゃんは言うほど興味がなさそうだけどね。旧校舎に入れることに意味があるんだって言ってた」
「そっか」
そこで桜子の表情が嬉しそうに緩んだのだが、そのとき花は下駄箱から自分の上靴を取ろうとしていたので、そのことに気づかなかった。
「そういえばさくら子ちゃんってさ、十二不思議について知ってることない?ほら、生徒会長してるとそういう噂とか耳に入ってきたりしないの?」
すると今度は桜子が、下駄箱で上靴を取り出しながら、考えるように黙る。
「・・・どうだろう。数年毎に細かい内容はころころ変わるみたいだけど、基本は同じみたい。サッカー部が水泳部になったりとか、バスケ部になったりの違いくらいで。みんなも七不思議くらいしか知らないけど、そういう内容の違いも合わせたら全部で十二個くらいになるって聞いたことがあるよ」
「へえぇ。そういうことなんだ」
花は素直に感心する。なんと、さくら子ちゃんってこういう話もいけたのか。勉強もスポーツも出来て、周りからの人気もあって、話の引き出しも多いとは、なんて反則な子なんだろう。
花が世の中の不公正さを心の中で嘆いていると、桜子はふと思い出したように、
「そういえば、前の生徒会長に聞いたんだけど、十三番目の話もあるらしいね」
「え、何それ?」
今まで聞いたことのない情報に花は興奮して食いつく。
「私達が小学生の頃にそんな話があったみたい。十二不思議は全て作り話で、十三番目の不思議だけが本物なんだって」
「えー!何それ!それってどんな話なの?」
花は興味津々といった様子で桜子に詰め寄る。
「それは、聞いてないなぁ」
桜子は花のそんな反応に押されながらも、穏やかに返す。しかし、喋りすぎたと思ったのか、恥ずかしそうに口をつぐんでしまった。
ふむ、おもしろいこと聞いちゃった。これは後でしゅうちゃんに教えないと。そしたらあの人も少しは怪談に興味がでるかも。
でもしゅうちゃんって、どっちにしても私ががっかりしないような反応してくれるんだけど。
花は桜子と別れてから、そんな秋の顔を想像する。そして、自然と自分の表情が緩むのがわかった。学校で秋と会うのが花の一番の楽しみなのだ。
あのことを伝えなければと思うと、気分が落ち込む。けれど、とりあえずは旧校舎の探検を楽しむことにしよう。
花は少し無理をして笑顔をつくると、既に秋がいるであろう教室のドアを開けた。
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