07 仮面
私と彼の時間が、十回を超えた頃。
彼は私に言ってきた。
「もしよかったら、聞いてほしい事があるんだ」
って、そんな風に遠慮がちに。
だから私は彼の勇気を、肯定するように。
「ずっと聞きたいと思っていたんだ。内容は分からないけれど」と言った。
彼は苦笑して、それについて話してくれた。
ずっと仮面をかぶってきたんだ、って。
それが窮屈でたまらないんだ、って。
もっと自由にいきたいんだ、って。
彼は後悔してるらしい。
彼は変わりたいらしい。
彼は自分が嫌いらしい。
人のいない公園で二人隣り合って、ブランコに座って、お話を聞く。
彼はとても悩んでいるようだった。
だから、私は彼の救いになりたかった。
私は彼に話をした。
自分の、思い出すのも嫌な過去の話を。
そして、勇気づけるのだ。
「だいじょうぶ、きっかけさえあれば君だってかわれるよ」
だって、私がそうだから。
私は間違った方に変わってしまったかもしれないけれど、君なら大丈夫。
きっと君も変われるよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます