08 逃避の選択



 あの全てがかわってしまった日から、二週間が過ぎた。


 そろそろここにいられるのは限界。


 病の影響で、血をもとめないといけないから。


 私の心は次の犠牲者を探し始めている。


 同じ場所で殺人が続いたら、さすがに怪しまれるだろう。

 

 だから私はばいばいをした。


 さよならを言って、もう会わないつもりだった。


 公園によりつかないようにして、荷物をまとめて準備をしていた。


 一人で旅立つつもりだったから。


 けれど、彼が私の手を掴んだ。


「君が地獄にいくというなら、一緒についていく」


 私は嬉しかった。


 でも、受け入れていいのか分からなかった。


 彼のやさしさに甘える事を。


 彼の未来を、ねじまげてしまう事を。


 それに。


 私達はまだ子供。


 力もない。


 縁もない。


 お金もない。


 きっと望んだ場所の最後まではいけない。


 絶対に途中で力尽きてしまう。


 そんな旅に、大切な友人を巻き込んでいいのだろうか。


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