06 たどりついた場所



 その日も、彼は公園にやってきた。


 交わすのはたわいない会話ばかり。


「商店街の野良猫が」とか。


「ファーストフードの商品の値段が」とか。


「学校のテストが」とか。


 そんな事ばかり。


 平穏は続く。


 ずっと続く。


 まだ終わらない。


 まだまだ続く。


 私は望んでいるのかもしれない。


 いいや、望んでいたのかもしれない。


 少し分かってしまった。


 ずっとこの時間を焦がれていた。


 この年頃の、普通の女の子の様に恋をして、誰かを思って、色々な話をして、想いをかわして、何気ない時間をすごす。


 望んでいたんだ。


 かつてあったのもを。


 とりもどせる日を。


 家族のせいでつくれなかった時間。


 それが目の前にあって、私はきっと幸せ。


 だから、もしも罰をうけて、死ぬことになってもきっと幸せなのだろう。


 巻き込まれた人にはごめんなさいだけど。


 色々な事があって。

 殺戮病があって。

 たまたまこの公園に来て。

 そういった巡り合わせの結果がこれ。


 ここまでこれで、良かったなって思う。


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