第21話第四章4-5追撃者
4-5追撃者
それはいきなり襲ってきた。
ざんっ!
俺たちの寝ている馬宿にいきなり剣がつきたてられる。
毛布にくるまっていた俺たちはあっさりと串刺しになっていた。
が、俺たちを襲ったそいつらは手応えの無さから不審に思う。
そして血の流れ出ない眠った俺たちの毛布をはぎ取る。
そこには馬小屋に転がっていた籠や桶が置かれていた。
そいつらは驚き周りを見るがもう遅い。
俺たちの剣が一閃して襲ってきた連中を切り裂く。
ざっ!
ずばっ!
どっ!!
「何っ!?」
「貴様らっ!!」
まだ数人いるようだが俺たちに切り伏せられた奴を見ると昼間見た漁師だった。
俺はため息をつきながら聞く。
「どう言うつもりだ?」
ちゃきっ!
剣を向けると残った連中は尻込みして逃げ出した。
だがそんな中ルデンが襲ってきた奴の一人を捕らえる。
素人相手にこの辺はお手の物だ。
「おい、なんで俺たちを襲った!?」
「お、お前らホリゾンの脱走兵だろ? だったら諦めろ! もうすぐガレントの兵がここへ来る!」
そう言う事か。
この村は既にガレントの勢力下だったという訳だ。
酒場の店主がホリゾン製の銀貨を見て密告でもしたのだろう。
あわよくば先に俺たちを始末してガレントの兵に差し出せば褒美の一つでももらえるとでも思ったのかもしれない。
しかし‥‥‥
「だとしても余計なことしてくれたな。分かっているのだろうな?」
そう言って剣を向けるとこいつは命乞いしてきた。
「ま、まてっ! 頼むから殺さないでくれ!!」
そう言ってそいつは剣を放り投げる。
俺たちは顔を見合わせ頷く。
こいつを殴って気絶させすぐに俺たちは村から逃げ出した。
多分近くにガレントの軍隊がいるのだろう。
だとすればこんな村に長居は無用だ。
だが遅かったようだ。
既に村の外にはガレントの兵士たちが来ていた。
「こっちだ! 奴ら逃げ出したぞ!!」
「どこだっ!?」
どうやら村の奴らガレントの兵と合流したようだ。
たいまつの揺れ動く中、人が右往左往している。
かなりの数がいる様だ。
「アイン、どうする?」
「『鋼鉄の鎧騎士』のある所まで戻る。多分ここ以外の村も近場は既にガレントの勢力下だろう、何処へ行っても同じ目に合うだろう」
俺はそう言ってルデンたちとこっそりと村を出てあの岩場にまで戻るのだった。
* * *
「アイン、見つかった! やばいぞ!!」
「ちっ、結構多いいぞ!」
「このままじゃ!」
ルデンもベリアルもオクツマートも後ろの様子を見ながら走っているがあの岩場まで行けさえすれば!
俺たちは全力でそこまで逃げると俺は隠してあった「鋼鉄の鎧騎士」に急ぎ乗り込んだ。
そしてすぐに「鋼鉄の鎧騎士」を動かし追って来た村の奴とガレントの兵を迎え撃つ。
「なっ!? なんでこんな所に『鋼鉄の鎧騎士』が!?
「魔術師! 魔術師を呼んで来い! 本国に連絡だ!!」
「あ、あれが『鋼鉄の鎧騎士』なのか‥‥‥」
騒ぐガレント兵と村の奴を尻目に俺は「鋼鉄の鎧騎士」を動かし追って来た連中の前に出る。
と、途端に魔法使いどもが攻撃魔法を撃って来るがそんな攻撃など全くと言って効かない。
俺は剣を抜き一気にこいつらをなぎ飛ばす。
ずばんっ!
「うぎゃぁー!」
「に、逃げろぉ!!」
慌てて逃げ出す連中を俺は逃がさずこの長剣でつぶしていく。
このまま逃げられたらさらに面倒になる。
「アイン! 村の方にも!!」
騒ぎに気付いたのだろう、村の向こうにガレント兵とさらにその向こうの海にあの鉄の船がいる。
俺は一気にそこまで走っていきそいつらを殲滅するのだった。
* * * * *
「こんな所にいたんだな、鉄の船」
村の付近にいたガレント兵は俺の「鋼鉄の鎧騎士」で全滅。
加担した村の連中も容赦なく殲滅した。
たとえ村人でも俺たちを売ったのだ、容赦するいわれはない。
そして慌てるガレントの鉄の船だが近くにいたために俺の「鋼鉄の鎧騎士」が跳躍してなんとひとっ飛びで甲板に乗り移り大暴れして船を乗っ取った。
他にも数隻板が慌てて逃げ出したのでそれらは放っておく。
そしてルデンたちが小舟でここまでこぎつけて来て今に至る。
「どうだアイン? 動かせそうか?」
「ああ、いけそうだな。この動力源となる魔晶石を操れば船が動きそうだ。しかし凄いなこの船は」
前に拿捕した鉄の船について知っておいて助かった。
俺の魔力はあのアガシタのお陰でものすごい量がある。
なので使い方さえ知っていればこの船も動かせる。
「とにかくここを離れよう」
「アイン、このまま北へ戻ろうぜ! ノージムにまで行けば何とかなるさ!」
ルデンやベリアルはそう言う。
そして船の中を確認していたオクツマートも。
「食い物は貯蓄があるから十分だろう。水は魔法で出せるし、アインが船を動かせるなら問題無さそうだ」
言われて俺は苦笑するがこれ以上この辺りをウロチョロするわけにもいかない。
「俺は航海の経験は無いんだがな?」
「なに、このまま北に向かえばすぐにノージムさ。うまく船を接岸さえできればあとはどうにでもなるさ。帰ろうぜ、北の大陸に!」
ルデンのその言葉に俺たちは頷くのだった。
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