第137話 亡霊!? 変わり果てた闘犬!
その後もドローンの襲撃はあったものの、スーツちゃんの索敵能力が刺さりまくったおかげで常に先手が取れている。そういう訳で今のところ被害を受けずにすんでいた。
それに都市の外れまで来たことで流れ弾による建築物の心配もしなくてすむようになってきたし、回避のスペースにも余裕が出来て一気に楽になってきた。現状の撃破数は80前後ってとこか?
撃破数のわりに20ミリチェーンガンの弾がおもしろいほど溶けていくが、これは
初めての飛行目標、かつオレっていう他人が走らせている車体だ。
《正面、鶴翼陣。地上型が61、RPG装備型10機。1機につき2本搭載。さらにその背後に控えてる4機が最後の大物かな? この4機が一番大きいゾ。ロケット弾の類かも》
(真ん中で止めて集中砲火ってか? 怪盗名乗るわりに賢くねえな)
あえて正面は空けて左右に配置した地上型ドローン部隊。ここを通ってくれと言わんばかりだが、そんなものバカ正直に通るかよ。対戦車地雷でも埋めてんだろ? 横にビルがあるわけでもないんだ、大回りすれば済むこった。
《低ちゃんチョイ待ち。道路以外の左右のスペースは戦前の不発弾が残ってるかも》
(……オイオイ何年前のだ? まだ処理してないのかよ。
オレが迂回すると予想したのか、スーツちゃんから待ったが掛かった。
この辺りは都市大戦とやらで防衛ラインが敷かれていたらしく、敵は飽きもせず大砲やロケットを撃ち込み、味方は地雷敷設をしまくっていたらしい。それがまだ未処理のままなんだと。
戦後になると主要施設の損傷が激しいって事で雑に放棄されたらしく、他都市との行き来に使う主要道路以外は今も手付かずのままデッドゾーンとして残っているようだ。
エリート層って言ってもちょっと遠出するとコレかよ……なまじ人が少なくなった分、労力を割いて広い生存圏を再生する必要が無いんだろうな。
(んじゃこいつの出番だ)
配線剥き出しのテンキーコンソールの入力で、車体背部に備えられたバックパックのウェポンベイを開口。
こいつは純正のサブコンピューターを積めず
そういやATも武装が多くなるとバックパックに追加の火器管制装置を積まないといけないんだよなぁ。あっちは同系列規格だからスティックだけでなんとでもなるがよ。GUNMETはATと弾薬や内部パーツに互換性があるとはいえ、あくまで多少は、ってだけだからな。
さぁて、地雷処理には爆発が一番だ。演習用でもこいつならGUNMETが通れる程度の処理地帯は確保できるだろう。
「地対地ミサイル、発射!」
エンターキーをブッ叩くと、シボッ、シボッというジェット噴射のような音を立てて2本のミサイルが背部の6連ウェポンラックから飛翔する。
排煙を引いて直進するミサイルがロックしているのは、最後尾にいるデカいドローンだ。
《ロックオン! 敵もミサイル一斉発射! 数12!》
「うおっ!? 弾幕ッ!」
テンキー操作でマルチランチャーを選択、弾種、アンチミサイル! 2発しか
《ミサイル散布予測! ロックオンする弾を間違わないで!》
(これロック操作面倒だぞ! もっといい照準無いのかよっ!)
ロックが勝手に近くのミサイルに引っ張られるから逆に選びにくいわ! ああクソっ!
「
射出された2基のアンチミサイルは名前の通り、敵のミサイルを想定した防御兵装。飛翔してくる動体を迎撃するための誘導弾を発射し、正面から撃ち落とす形式だ。
「弾幕だっ! 撃てボーイ!」
弾幕だっつってんだろボケッとすんな。撃て撃て打て!
《弾幕はもう遅いゾ。こっちの地対地ミサイル着弾、爆発。アンチミサイル着弾まで、2、1、ヒット》
正面に轟音と共に業火の吹き溜まりが咲き乱れる。とんだ奥の手を隠しやがったもんだ。
だがこれで終いだぜ。
《巻き込み9。残り3本も爆発で大きく逸れたから大丈夫》
「うおおおおおおおっ!?」
ここでやっと3連バレルの回転が始まり、バオオオオンというプロペラみたいな音をさせつつ20ミリ弾が吐き出されていく。
これは連装バレルを持つ銃器の欠点。ある程度は銃身が回転しないと射撃が始まらないので、連射こそ得意だが即応性が低いんだ。
(撃てと言っておいてすぐやめろじゃ混乱するか。しょうがねえ。無駄弾は無視だ無視、突っ込むぞ!)
《あいあい。敵、懲りもせずにドローンを結集しつつあり。治安の相手は完全に諦めたんだろうナ》
(こんな戦車が突っ込んでくればそうもなるさ)
そこらの装甲車と比べれば圧迫感は
陣形は突破したが攻撃は止まない。特に敵の本拠地が近づいてきたからか、機動力が低い大型の地上型ドローンが増えてきた。
コンセプトはたぶん犬とかなんだろうが、どっちかってーとそういう種類の虫っぽく見えるな。走り方がだいぶキモイ。
正面にくっ付いてるのは持ち運びできる展開型のシールドか? 確かに小口径のマシンガン程度ならあれでも防げるだろうがよ。GUNMETの積んでる20ミリクラスには紙切れだぞ。
第一、あんなもの重い物を載せてたら武装できないだろうに。何しに来た? 最終的に突破されようと、ここで少しでも足止めしたいってところか?
――――それとも爆弾でも隠してるか。車体で蹴散らすつもりで突っ込んだらドカンてな。
「くっそーっ、まだいやがるのか。弾数が不安になってきたぞ」
上の操縦席にいるガキが愚痴りながらも視界に入ったドローンに攻撃を始める。
そりゃ銃身が焼け付く寸前まで撃ちまくるのを繰り返してたらな。20ミリの残り弾数は200発を切っている。
銃身加熱の影響か変な方向に弾が飛ぶことも多くなった。これはバレルが変形しちまってるぞ。交換してる余裕も予備パーツもないからどうしようもないわ。
(っと、こっちも仕事するか)
複数の
RPGは確かに手軽で威力大の兵器だが使い捨てが多く、再装填できるタイプも時間が掛かる。そもそもリロード自体、民間モデルを強引に改造したドローンには無理だろう。撃ったらもうその個体は無力だ。
(―――――チッ、やっぱり怪しいぜ)
発砲煙に紛れて走ってきた犬型ドローンたちに嫌な気配を感じて、5.56ミリマシンガンを浴びせる。正面に命中した分はシールドに弾かれるが、数発が脚部を刈り取った。
そして転がったドローンがあっさりと爆発を起こす。やっぱりかよ。
《特攻兵器?》
(そのようだっと!)
車体の下に残りの破片を巻き込まないようジグザグに進む。半端に不発だったら困るからな。信管の種類は分らんが、爆弾くっつけただけの手作り兵器とは恐れ入ったぜ。時限式か?
戦車の弱点は真上と真下だ。ここが一番装甲が薄い。相手は地雷か何かの爆弾括り付けたドローンをGUNMETの下に潜り込ませて、そこからフッ飛ばす算段のようだ。
昔は敵の戦車に対して、この戦法を生きた犬にやらせようとしたって話があったっけな。ケッ、やっぱ人間なんざ今も昔も碌でもねえや。
《同タイプ多数、4方向から接近》
いよいよなりふり構わなくなってきやがった。ここでドローンを使い切るつもりか。
(地対地ミサイル発射用意、残りを全弾くれてやる。まとめてふっ飛べッ!)
もういちいちマシンガンで相手にしてられるか!
四方から集結しつつあるドローン軍。その一角にロックオンしては車体を超信地旋回させつつ発射を4度繰り返す。
これも戦車の強みだ、その場でコマみたいにグルリと回れるんだよ!
切り返して最後のストレートを突き進む。もはや穴だらけの道路は砕け散ったドローンたちの墓穴のよう。
《――――全弾命中。ドローン部隊、壊滅》
背後で着弾したミサイルと、それ以上の爆発音が響く。演習用の花火程度でも相手が装甲を持たない民間機なら効果は十分だ。まして自前の爆弾背負ってちゃな。
悪いな主人に恵まれなかったドローンども。自分たちに積まれた爆弾で迷わず逝ってくれ。おまえらの無念はこっちで叩きつけてやるよ。
<放送中>
「ボーイ、このエレベーターは本当に動くのか?」
「あ、ああ。たぶんあのドローンたちだって、ここから地上に上げられたはずだぜ。車両用の通路も完全には潰れてない」
ヘルメットのインカムに届いた怜悧な声に、ボーイは若干の怯えを覚えながら答えた。
大量の武装ドローンを蹴散らしてここまで突き進んできたGUNMET。その車体には一切のダメージが無い。
どんな攻撃にも即応かつ正確無比に対処した動きは、一言で言って悪魔的。
彼女と同じコックピットの中という、直近も直近でその手腕を目撃したボーイは、もはや称賛を通り越して恐怖さえ感じていた。
(……完全に怪物だろ。どんな遺伝子手術したってここまでになれるわけねえよ)
初めこそ玉鍵に自分たちと同じ遺伝子操作を受けた者ではないかと聞こうとしたボーイだったが、このたった数時間の間に見せつけられた彼女の力を前に、すっかり萎縮してしまっていた。
能力というスケールの違い、技術というグレードの違い、総合力というステージの違い。
なんにせよ、生物としての物差しが根本的に違うと実感する。まさに他者と比べるという行為そのものから断絶した、圧倒的なポテンシャル。
こんな人間が自分と同列であるわけがないと痛感する。
最初にあった時に見た感知力・運動能力。周囲の人間に己の意見を通す発言力・説得力。GUNMETを個人で買い付け組み上げてしまう財力・知識量。
そしてこのパイロットとしての戦闘力。
十分な教育を受けていないボーイの知識を総動員してこの少女を例えるなら、英雄。豪傑。超人。
あるいは―――――人類の希望。救世主。
いっそ彼女の足元に跪き、盲目に従いたいとさえ考えている自分がいた。
玉鍵たまという大きな存在に従っていれば、きっと自分も救われると確信できる何かがある。
ならばこれは単なる恐怖ではなく、畏怖。ボーイはその単語を知らなかったが、この感情がなんであるかは知っている。
強者へ感じる恐れと尊敬、そして期待だと。
(この人だ。この人に直接会えばディンゴたちも目を覚ましてくれる。もしかしたらメッシュさえも)
最初はこの美しい少女と二人だけの空間ということで、ドギマギしていたのがウソのよう。ボーイは自分のシートの下に陣取りGUNMETを操る彼女の小さな背中に、もはや神聖な気持ちさえ抱き始めていた。
「エレベーターを動かすぞ」
テンキーで何かしらのコードを入力した玉鍵の言葉に合わせ、GUNMETからエレベーターパネルにアクセスが通りドアが開口する。
「もうコードを解析したのかよ……」
エレベーター程度のセキユリティならそこまで難しいコードではないが、それにしたって早すぎる。仮のコードを入れて試している様子さえ無かったことにボーイは戦慄する。
玉鍵はボーイの言葉をただの独り言と受けとったようで、特に答えることなく車体をエレベーターへと滑り込ませた。
「何階だ?」
「えっ? ああ、B5だよ」
この放棄された施設の最下層。そこが怪盗のアジトとしてボーイたちが整理した部屋のある階層だった。
「そっちの説得は任せる。こっちはスキを見て人質を助ける……もし、こっちに立ち塞がるやつがいたら殺す。そのときは諦めろ」
「っ………わかった」
待ってほしい、という甘えた言葉をボーイは吐けなかった。それまで飄々としていた玉鍵が人質について口にしたとき、明らかに空気を変えたからだ。
ただでさえ狭いコックピットがさらに狭く感じるほどの圧迫感―――――彼女は怒っている。それも、殺人を示唆するほどに。
その感情はきっと正しいだろう。友人を理不尽に連れ去られた彼女には怒る権利がある。
アンダーワールドにどんな事情があろうと、ボーイたちがどんな窮状にいようと玉鍵たちには関係ない。この社会の歪みに責任など無い。
1人の少女として友人の安否を気遣い、理不尽な目に合わせた相手を憎んでいるだけ。
重い音を立てて車両用エレベーターが下りていく。積載重量を稼ぐためか開放型のそれは、遠ざかっていく天井がよく見えた。
これからどうなるのか。どうすればよかったのか。仲間を説得してなんになるのか。ボーイの頭は今さらながらに揺れ動いていく。
「……玉鍵、オレたちはどうすればよかったんだ? どうすればアンダーワールドは―――――救われたんだ?」
答えを聞く相手を間違えていると頭では分かっている。だが、ボーイはこの少女なら別の未来を見せてくれるのではと思えてならなかった。
「……フロイト、大統領は地表に一般層の人間を引き上げる計画を前々から立てていた」
初耳の話にボーイは思わず身を乗り出し、下のシートに収まる少女の頭頂部をまじまじと見た。
「地表から銀河の人間が消えたことで、サイタマの社会全般で相当な人手不足らしい。だからもしかしたら……もしかしたらだが。正式な形で保護を頼んでいれば、計画の一部を修正し、その枠にアンダーワールドの人間が滑り込めたかもな」
「な、ん、だよ。それ」
無意識に乾いた笑いがボーイの口から漏れる。弱々しい、泣きつかれたような笑い声が。
(正直に助けてくださいと言っていたら、助かった? 助かったかもって、そう言うのかよ……)
玉鍵の言葉はサイタマの現状とフロイト派閥から知りえた極秘計画からの推論であり、絶対では無いだろう。
だが、味方に裏切られ心が弱ったボーイにとって、そんな未来もあったと暗示するには十分なものだった。
(自分たちで自分たちの未来を潰したってのか。怪盗なんて気取ろうとして、それさえもうまくいかずに、何もかもダメにして)
時間が巻き戻ることはない。誰しもが選び取った選択肢の先に待ち受ける未来を受け取る。
ボーイたちの未来は、エレベーターの下に続く闇のように真っ暗だった。
(ここは車両用の格納庫か?)
歴史上この施設は
放棄されたときそのまま捨てられたらしい大型の機材は散見するものの、さすがに戦車とかは残っていない。それだけに余計に広く感じる。
《一番多い時期で200両近く常時ここで整備してたみたい。サイタマ防衛ラインの影の立役者だナ》
人類同士、同じ島国の人間同士で争った道具の、血に染まったオモチャ箱か。オモチャがなければただの箱だ。
「ボーイ」
……ん?
「ボーイ、どうした?」
「……あ、おう」
ぼんやりしやがって。ここからがおまえの出番だろうが。
「仲間がいるのは整備士の使う待避所あたりか? その近くにつけるぞ」
「わかった、頼むよ」
(大丈夫かこいつ? 急にテンション落としやがって)
《大丈夫じゃなくても、はっちゃんが無事に助けられればいいんでナイ?》
(……まあ、な)
オレは仲間を説得したいこいつを、無事にここまで連れてくる。代わりにこいつは初宮を助けるための囮になる。そういう約束だ。
痛み止めが切れてキツくなってきたか? こいつは軍で使う戦車とはいえスクラップから再生した代物だ、さすがに
どのみち手土産なしに引き返すわけにもいかない。啖呵切った分の働きはしてもらうぜ。
《……はて? エコーに違和感。普通の素材と違う何かがある?》
この地下施設はレーダー波の乱反射があるのか、据え付けたレーダーがうまく機能してくれない。代わりにスーツちゃんが音の反射、エコーロケーションで周囲を探ってくれていた。
(どういうこった? ――――って!? 砲身か?)
捨てられた整備用の工業重機と思っていたソレが青色の光を照射するのと、こっちが左右の装輪を逆回転させて車体を斜めにするのは同時だった。光のラインがわずかに車体装甲を舐めていく。
《レーザー!? スモーク!》
「がっ、痛えっ!?」
急な機動で頭をぶつけたらしいボーイが喚くが構ってられねえ! 車体に備えられた
車体を包むように散布された白い煙幕はレーザーの波形を狂わせ、その威力を減衰させるはずた。これは本来の用途とはちょっと違うが、役に立つなら何でもいいぜ。
(ふざけやがって、工業用のレーザーでも転用しやがったか?)
《低ちゃん、こいつ移動してるゾ。重機っぽいけどGUNMET以上に大きい。他にも武装してるカモ》
外はスモークでまったく視界がきかないが、スーツちゃんがエコーロケーションで解析した映像をオレの網膜に投影してくれる。
「な、なにがどうなってるんだ!?」
「敵だ。重機か何かをレーザーで武装してる」
《回避!》
(チィッ!)
逆進をかけてその場を離脱。直後に何かが上から振り下ろされて、床に叩きつけられ硬い轟音が響く。
(チラッと見えた! ショベルカー的なアームだ。サイズはもっとデカいがな!)
さらに爆音。さっきとは違い、室内に反響する音でGUNMETの装甲が叩かれているような強烈な連射音。
向こうはスモークの影響でかなり近づかないとこっちを判断できないらしく、射撃は今のところ明後日の方向に飛んでいる。
けどここは所詮、格納庫。地下としてはかなり広いが、こんな戦車で立ち回れるほど広くもない。あてずっぽうでもいずれは当てられちまう。
「GUNMET! スタンディングモード! アームも出せ!」
<YES STANDING MODE ARM ON>
ここは戦車より速度は落ちるが小回りの利く形態で捌く! なんとか背後に回り込んで――――
《げげっ!? これってまさか……》
(――――どうしたスーツちゃん!? らしくない悲鳴だぜ!?)
《射撃音から予測。該当火器、60ミリアサルト》
「はっ!?」
「た、玉鍵、どうした!?」
(60ミリアサルト? 20メートル級スーパーロボット用の汎用ライフルだろそれ!)
《武器だけじゃない。こいつ、装甲もS由来の材質だよ。どうりで反響が周りと違う訳やデ》
そこにヌッと、前進してきた敵の車体が煙幕の中から現れた。
三つ目のような砲口を持つレーザー発振体。車体に溶接された巨人用のアサルトライフルの骨組み。そして――――ダークブラウンの装甲。
「……BULL?」
間違いない。この重機みたいな見た目の武装車両、
オレがこの体になって、初めて乗り込んだスーパーロボット『BULLDOG』!
(これか……
BULLとオレの初陣は散々だった。
おかげでロケットはまともに飛ばないわ、ライフルはすぐに銃身加熱で使い物にならなくなるわ、モーターガンも機関砲も弾詰まりと、50メートル級を相手に満身創痍で挑む羽目になっちまった。
《リアル寄りとはいえ仮にもスーパーロボットだし、こっちでBULLDOGの完全再現は無理だから動くパーツだけ使って、強引に構築したんだろうナ》
Sワールドの技術を使った機械は、一部の例外を除けばS基地を一定距離離れると機能しなくなる。
この傾向は現実の物理法則を無視した、S独特の謎技術を使うようなタイプが顕著であり、逆に現実の技術やその延長にある技術を使った機械は
だからリアル寄りに分類される技術や、そのパーツを盗むって犯罪がしばしば起こるのだ。『Fever!!』の見過ごしを期待して。
(ふ・ざ・け・や・がってぇっっっ!!)
こんなクソダセえオモチャ作るために、オレが死ぬ思いをしたのかよ!? 特撮の再利用怪獣みたいな、この雑な機械系モンスターのためにぉ!!
〔ボーイ! おまえは革命をなんだと思っている!〕
「メッシュ!?」
クソが! クソがクソがクソがッ!
〔自由と平等を手にするためにさえ、手を汚すこともできない半端者め!〕
パイロットが命賭けで戦うための! 命を預ける商売道具を! オレを乗せて、くたばるまで戦ってくれたあいつの!
〔おまえも! 真の自由のための礎とな――――〕
「う゛る゛せぇぇぇぇぇぇっっっ!!」
重機の操縦席、そのクリアパーツの中にいるジジイ目掛けてGUNMETのアームを叩きこむ。
〔がはぁっ!?〕
……潰れない?
「た、た、玉鍵っ、やめ―――」
「降りろ!」
もういい。ここでお別れだ。テメエはテメエのやることをやんな。
「―――玉鍵!?」
「こいつおまえ
もうテメエって味方を撃ってる野郎だ。こういうやつは2人も3人も変わらねえよ。後はもう、自分の気に入らない野郎がいたら何かと正当性をつけては殺したがるもんさ。
分かるかガキ。こいつはな、さも辛いって顔で自分のやりたいことに酔っぱらった真性のクソ野郎だ!
「!? ま、まさか」
「行け! ……邪魔したらおまえも殺す」
「ディンゴ! ピューマ!」
上面のキューポラからボーイが飛び出していく。スモークはまだ晴れていない、ひとまず見つからずにいけるだろう。
(スーツちゃん!)
《ハイハーイ。八つ当たりっぽいけど、まいっかー》
人生ごと酔っ払ったクソジジイがぁ、オレたちパイロットを舐めたらどうなるか思い知らせてやる!
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