第74話 継承する力。新たなガンドールチーム結成? 

 実機のGARNETの腰、骨盤の両端あたりにクレーンで吊るされた2基の追加武装が整備士たちの手によって装備されていくのが見える。汎用品は細かい設置に人の手がいるから結構面倒だし危ないらしい。


《とりあえず使い物になりそうで良かったなす。投資したケーキ分くらいにはなったべな》


(何弁だ? まあガキ動かすにはやっぱ甘い物だな)


 持って行ったガトーショコラはお世辞抜きで喜ばれたようで一安心だ。おかげでオレも余分な仕事を頼みやすいってもんだぜ。あーあ、悪いなガキども。大人はゲスいんだ。食ったからには働いてくれや。


 スネークランチャー。大げさな名称だが要はグレネードランチャーの一種みたいだ。二連式のこいつをふたつ、弾にして計4発分を腰の両脇に追加装備した。


 割と珍しい代物で発射機構に弾頭側の火薬エネルギーを使わず、ランチャー本体に由来するガス圧で爆弾を飛ばすって妙な仕様をしている。


 射程は泣くほど短く戦場での再装填も出来ない。加えて大きさのわりに重くて、汎用品として開発されたクセに他のグレネード弾との互換性も無いという、はっきり言ってダメな烙印を押された兵器だ。


 メリットは発射炎が無く奇襲に向いている事。この辺はスネークの名前らしい特性だな。そして可変機GARNETに取り付けられる数少ない補助火器という点。


 ちょっとウェイトバランスが崩れるのと、飛行形態では発射口が真後ろを向く形になるから、撃てなくはないがまともに狙えないっていう、デッドウェイトになりがちな武装だがよ。弾速的にも背後を取ってきた敵を攻撃するって感じじゃないし、かと言って上空からの爆撃用にしては効果範囲が狭すぎる。


 ぶっちゃけ設計思想に欠陥があるクソウェポンだろ、コレ。どれだけ悲しみを背負って生まれてきたんだか。


《ついにGARNETちゃんも初陣かぁ。低ちゃんハーレムにキープされてひと月、やっとまたがってくれると喜んでるゼ》


またがるって言うな、搭乗すると言え)


《やっぱり決め手はおニューのランジェリーですか?》


(追加兵装な。戦闘ロボットを後宮でドス黒い火花を散らすおねーちゃんに例えるな)


《えー? 機械にはけっこう女の子の名前をつけることが多いじゃん?)


(いやそれは否定しないがよ。なんつーか、こう、違うだろ)


《まあねー。男としたら言うほどグッとはこないよねー、ランジェリーって》


(個人の感想です。違う、そうじゃない。オレが言った違うはそうじゃない)


 エナジー兵器だけじゃどうしても手札が少ないと思って検索範囲を広げ、格納庫に転がってる兵器を片っ端から調べたらカタログ落ちしていたスネークランチャーこいつがヒットした。


 倉庫の隅から引っ張り出したときは誇張なくコンテナが埃被ってたから心配したぜ。幸い保存状態はまともだったようだな。


 しっかし、なんで残ってたんだ? 備品の確認ミスかね。普通は使い物にならない兵器なんて戦績の悪いスーパーロボットと同様に、『プリマテリアル』という『S技術の素』になる『なんにでもなる』物質に戻されちまうんだがな。


 厳密にはS技術に関連するものならって物質だっけ? この面白物質のおかげで人類は今の科学技術以上の超技術を扱えるってわけだ。


 しかしこのプリマテリアルは精製、いや錬金・・とか創造・・と言った方がいいのかね?


 一瞬で扱いたい技術のための『素材』や『機材』に変わるんだからな。作る過程をすっ飛ばして。


 これがプリマテリアルのスゲーところ。例えばスーパーロボットの装甲素材を作るとして、『特異な性質を持つ未知の鉱物を発見する』なんて過程は必要ないし、その素材を『精製する技術』の開発もいらない。


 極端な話、スーパーロボットそのものを完成品としてさえ作ることが出来る。もちろんお手軽にできねえ理由があるから、このパターンで作られたロボットはもう現存してないらしいがね。


 なんとか裏技がないもんかと試行錯誤はしてるようだが。最たるものでは前にオレが乗ったプロトゼッターや、ブレイガーからそのにおいがするんだよな。


 あの辺のロボットの無茶苦茶な変形合体を、別のロボットに落とし込めればってな。戦場のど真ん中でボディを構築したり、何倍にも大きくなったりよ。


 プロトゼッターには『ゼッター光』とやらを利用した『ゼッター炉』のエネルギーで、ロボットを構成するほぼすべての材質をその場で精製、即パーツとして導入できる機能が備わっている。


 ブレイガーに至っては質量を無視した巨大化機能がある。これらをうまいこと導入できればプリマテリアルの消費を抑えつつ巨大ロボを何機も建造したり、出撃枠を気にせず今以上のサイズのロボットを送り込めるかもしれねえ。


 ――――ただそれらの技術も材質も『人類がいちから作った』わけじゃねえってのが、このプリマテリアル話のキモだ。


 こういう技術が欲しい、こういう材質の新素材が欲しいと願って、プリマテリアルを弄繰り回すと望み通りの代物に変化して出てくる。


 まあ完全に望み通りってワケじゃねえらしいが。それに初めから『完成品』を願うとスゲープリマテリアルを消費する。これが完成品として作りたくない理由だ。


 つまりコストがワリに合わないってしょっぱい話さ。子供が憧れるスーパーロボットも、工業機械の宿命からは逃れられないんだろう。どこぞの天才科学者やスゲー金持ちの御曹司様が、ぜーんぶ自費で建造するとかいう設定は、経済的にも物資的にもファンタジーもいいところだからなぁ。


 まあそれはともかく、プリマテリアル節約のために『無』から生み出すのは元になる素材とその精製技術程度に留めて、後は人間側で扱える形まで持っていくのが主流になったってワケさ。


《おっと、低ちゃん。雉森ちゃんから連絡》


 あん? まあちょうどいいか。


「悪い」


 さっきから整備士のガキがしきりに話しかけてきて、正直なところウンザリしてたからな。今放送してる恋愛ドラマの話なんて知らねーよ。初宮あたりなら喰い付くかもな。


 端末を手にして通話室に行く。お行儀ってワケじゃねーが、格納庫はクッソうるさいからな。スーツちゃんを経由すればクリアに聞き取れるとはいえ、オレの奥の手を連想させるような姿はあんま周りに見せるもんじゃねえ。


<ゴメン玉鍵さん! 急な話なんだけど会えない?>


「かまわない(けどよ)、どうした(んだよ)?」


<……聞いてないわよね? 玉鍵さんの家に入居祝いを持っていくって話>


「(はぁ?) 初耳だ」


<うちのヴァカがそっちに連絡忘れたままで、それを知らずにすごく高い生菓子を買っちゃったの……厚かましいけどお邪魔させてくれないかしら。限定品で腐らせるのも勿体ないし。あ、もちろんパウダーは入ってないオーガニック食品よ>


 なにやってんだか。まあ同居人たちの了解を取ってからだな。






「というわけでソーセージを大量にボイルします」


 夏堀と初宮は揃ってOKを出した。それと雉森がブレイガーチームとして話したいって話だったんで、向井にも声をかけている。


 あいつは先に別の予定があったようで、一旦基地で別れた後に改めて寮で合流する形になった。


 意外な事にガンドールチームの全員とじゃないが、三人とも誰か一人とは面識があるって感じらしい。


 夏堀は復興手伝いの時にサンダーと、向井はロボットの下見のときに花鳥と、初宮は雉森とちょろっとだけ話をしたそうな。


《何がというわけなのか、コレガワカラナイ》


(飯時だしな。菓子貰っておいて何も無しとも行かない行くめえ


 勢いで買っちまった大量の加工食品をハケるいい機会だしな。オーガニック食品は賞味期限が早いのが欠点だわ。


「えーと、私はどうすればいいの?」


 なんか知らん緩いキャラがデザインされたピンクのエプロンをした夏堀。もしかして初宮より女の子趣味なのかねぇ? そういや持ってる小物とか、デフォルメされた動物がモチーフの物が多かったな。


 一番のお気に入りのキャラ物がオーガカイザーって、明らかに命名を間違えてる猫っぽいマスコットだったが。そのギャップがいいのか? 女子のカワイイの基準は分からん。


「まず用意したコッペパンにソーセージ挟むための切れ込みを入れてくれ。初宮はサラダを頼む」


 夏堀はあんまり自炊の経験は無いようだ。一度だけ会ったこいつのねーちゃんが親の代わりによく飯を担当していたんだと。まあ今日は半分出来合いに近いメニューにするから、素人でも戦力になるだろう。


「うわー、学校の購買みたいな量」


「分かった。ドレッシングはマヨでいいよね?」


《むしろマヨ以外は嫌だと目が訴えている》


(だな。オレは軽い気持ちでとんでもないモンスターを作っちまったかもしれねえ……)


 マヨ女初宮は落ち着いた感じのワインレッドのエプロン。意外とシブい趣味だな。


「自分の分は好きにしていい。渡したレシピのドレッシングは作ってくれ」


「うんッ」


 返事がいいなコノヤロウ。意外とお調子者かもしれねえな。


 さあて、こっちはソーセージをやっつけるか。今回使うのは皮がパッキパキの高いヤツだ。ホットドッグに挟むならコレだろう。単品で食べるかぎりなら赤くて安いヤツも嫌いじゃないがね。


《いっぱいのソーセージと格闘する美少女……込み上げるものがアルジェリヤ》


(輪ゴムで塞き止められて腐っちまえ)


《スーツちゃんにはついてない・・・・・から腐ることはナイジェリヤ》


(チェーンコンボでボケるな)


「あ、玉鍵さん。雉森さんたち来たよ」


「夏堀、上がってもらってくれ―――まず包丁を置け」


「はーい」


 おっかなびっくり切れ込みを入れていたコッペパンと包丁をひとまず置いて、ガンドールチームを出迎えにスリッパでパタパタと駆けていく。スリッパもモコモコした素材でファンシーだなオイ。


「SMELLS GOOD! 良いにおいだなぁ! 腸詰か?」


「玉鍵さん、ホンッッットごめんね。うちのヴァァァカがッ」


「だから悪かったって! そんなに何度も責めないでくれよ!」


 ボイルしたソーセージの香りに鼻をフンフン鳴らしてる最年長の長兄サンダーに、手を合わせてこっちを拝む長女の雉森。それと今回の戦犯であるほうれんそうド忘れの次男、花鳥。


 スーパーロボット『ガンドール』の元パイロットたち。引退後も人災でバタバタしていた基地を手伝いに顔を出していたからか、あんま辞めたって感じはしねえな。


「あ、私も手伝うわよ」


「いや、客は座っててくれ。トイレは一階にある。それと二階はプライベートルームだ。階段に近づいたら叩き出すからそのつもりで」


「なんでボクを見て言うんだよ!」


「玉鍵さーん、お土産貰っちゃったよ。おおぅ、良いトコのプリンだ」


「夕食の後だ。冷蔵庫に入れておいてくれ」


 ………賑やかなもんだ。家があるってのはこういう事だよな。目が覚めては場所を変えて逃げ回るような宿無し暮らしじゃ無理な話だ。


 外から見える窓の明かりと笑い声。ほんのわずかな隔たりの向こうに、オレのいる世界とはまるで違う夢の世界が広がっている。


 ―――うらやましくて、みじめで、泣きそうで。


「玉鍵さん?」


「――――っ、……ああ、どうした。初宮?」


 雑音ノイズだ、あんなもの。遠い昔に捨てた古着みたいなもんだ。今さら汚くて触りたくもねえ。


 とっくの昔に死んでるじゃねえか。初めのオレなんてよ。


「……泣いてる?」


《どしたの低ちゃん?》


「ああ、初宮のオニオンサラダが目に来た」


 分かってた事だ。リトライってのは生き返るわけじゃない。やり直しても前のオレが生きてるわけじゃないってよ。中身が同じでも別人だ。


 初めのオレは願いを何にも叶えられずに死んだのさ。誰も覚えちゃいない、最低辺の生ゴミの事なんざよ。


《低ちゃんは嘘が下手なりナ》


(いや、実際そこそこ目にきてるぞ。タマネギ冷やしとけばよかった。人が多いんだからそりゃ数を刻むよな)


《んふふふ。時間は掛ったけど、ちょっとは願いが叶ったかにゃ? 最底辺の低ちゃんや》


(…………ケッ、おかげさんでな)


《スーツちゃんは覚えているぞよ。初めから今日までの低ちゃんの全部を。そして未来までも!》


(予言者か、胡散くさ)


《予言じゃないゾ? 読み返すだけバイ。お気に入りの絵本を何度も何度も、ネ》


「あー、やっと来た。向井く………うわぁ」


「どうした夏堀?」


「……ちょっと人助けしてくる。チームメイトとして」


(あん? 要領を得ねえな)


《ブフォッ!?》


(おい、何がどうしたんだ!)


《い、陰キャ君が、大きい花束持って、ちょ、ちょ、蝶ネクタイで玄関に……無理ぃ! ホヒャヒャヒャヒャッ!》


(はぁ!?)






「ガンドールに乗り換え?」


「YES。どうもブレイガーの修理は1月じゃ利かないらしい。なあBROTHER?」


 粒マスタードだけを付けたホットドッグをモリモリ食ってるサンダー。こいつだけで用意したホットドッグが半分消えそうだ。大昔にあったっていう大食い競争の選手かよ。


 大食い。飽食の時代にあったお遊びか、羨ましいねぇ。


「エリート層のほうで色々な機体の増産や、現行機の強化改修の動きがあるみたいなんだ。となれば一般層で使ってる機体の修理なんて後回しだよ」


 ホットドッグを人前で解体して、ソーセージとパンズを分けたことを姉に行儀が悪いと突っ込まれた花鳥がブスッとしながらも現場の声を教えてくれた。態度といい性格といい、どうもこいつは躾がなってねえな。


「どこかの誰かさんがエリートより活躍するものだから、エリート様のプライドが傷ついたのかもね」


「花鳥! もうっ!」


 シャクシャクとサラダを食べ続けていた雉森が弟の頭を引っぱたいた。野菜系の好き嫌いがないんだな。うちは一手間かけないと青臭いサラダを食いたがらない問題児がいるから困ったもんだぜ。マヨを解禁すりゃ喜んで食うんだがなぁ。


「安いプライド。誰と戦ってるのか忘れてるんじゃない?」


 ハモハモと口に含みながら喋るな夏堀。こっちはこっちでトマトが嫌いなんだよな。トマトソースは平気なクセによ。中のブヨブヨの種が緑色の鼻水みたいで一番嫌いらしい。


「それで、私たちにガンドールを譲ってもいいと?」


 初宮、おまえも食うなぁ。サンダーと良い勝負だぞ。


「もう引退しちゃったから私たちの乗機じゃないけどね。ある程度は発言力があるはずよ」


「ボクらの発言なんて必要ないと思うけどね。格納庫に引っ込めて間もないし、玉鍵が乗りたいと言えば明日にでも用意されるんじゃないかな」


 向井は死人のような顔でモソモソと飯を口に運んでいる。精神に傷が出来たなこりゃ。


《女の子の家に行くからお洒落して手土産にお花を用意する。とてもピュアでいいなとスーツちゃんは思いました♪》


(粉みかん)


 すんでのところで夏堀がインターセプトして蝶ネクタイを取り上げた。目撃したのはインターホン対応した夏堀と、その映像を通信取得したスーツちゃん。あとはここに来るまでの不特定多数だ。


 ドンマイ向井。男の一人としておまえの心意気は買うぞ。初めて女の家に呼ばれて戸惑い、自分なりに色々と調べる青臭い努力をしたおまえは頑張ったって。


「おまえたちは4人チームでガンドールも4名用だ。ハッキリ言って性能はブレイガーほどじゃないが、そう悪い機体じゃないぜ?」


 クセが強いとかなんのかんの言っても、ブレイガーは強い部類のロボットだからな。攻撃力も防御力も機動力もある。特に攻撃力は後付けでSワールドに呼び込める強力なキャノンもあるしよ。


 対してガンドールもサンダーの言うように悪いロボットじゃない。潜在力ではブレイガーに劣るが全体的に無難な性能と言っていいだろう。


(問題があるとすればチームこっち側だろうな)


《その心は?》


(主に向井と夏堀だ。どっちをどの分離機の担当にするか悩ましいな)


 向井は射撃、夏堀は操縦に秀でている。特技を生かすなら相応の特性を持つロボットを担当するべきだ。


 だがガンドールは合体機。特性と役割は分離状態と合体状態で変わっちまう。


 ネックになるのは胴体機500ファイブハンドレッドだ。


 一発の威力は高いが扱いにくい武装を持ち、サイズが他の分離機より大柄なせいで鈍重。


 攻撃力を生かしたいなら射撃の得意な向井。生存性を高めたいなら操縦のうまい夏堀が適任になる。


 だがガンドールは合体機だ。合体するためのキーパーツである胴体部500ファイブハンドレッドは、何があろうと墜とされるわけにはいかない。そういう意味では夏堀が乗るべきだ。


 しかしその場合、分離機状態での500ファイブハンドレッドの攻撃力は生かせない。ただでさえ当てにくい大口径銃が宝の持ち腐れになる可能性が高い。


 ガンドールに合体すれば関係ないんだから誰でもいいか、とは言えないのがチームってもんだ。


 重要なパーツ機だからやられないように逃げ回ってろ、という仲間内での言い合いは合体機を選んだチームでしばしば起きる問題だ。


 黙って従う従順なチームメイトもいるが、自分だってパイロットだと個々で戦いたがるヤツもいる。この辺は性格だからパイロットによるとしか言えん。


 前にガンドールチームと契約してオレが乗ったときは、その辺の判断も契約内容に入っていた。合体前は雉森、合体後はオレがリーダーになるってことで話もついていたから混乱は無かった。


 乗ったのも500ファイブハンドレッドじゃなく、ガンドールのメインパイロットになる38サーティエイトだったしな。


 そしてキーパーツになる分離機はとにかく度胸が必要だ。合体の起点になるパーツとして最初から最後まで一番長く動けない。敵の前で動けない状態になるのがどんだけおっかないかは、一度でも命がけで戦ったことがあるヤツなら分かるだろう。


 特に胴体部は面積がデカいから良い的だしよ。なんつーか皮肉な話で、強力だが当てにくいって攻撃ほど狙ってくることになる。


 初宮はクセのないナイン45フォーティファイブのどっちかでいいだろう。オレも38サーティエイトがメインじゃなかったら、この二機のどっちかにしたいぜ。


(……まあ乗るかどうかは当人の話か。ひとりでも嫌ならチームとして話を蹴るしかねーな)


「乗るかどうかはまずはシミュレーションで弄ってみて、ということでいいか?」


「うーん、私はいいよ。OK」


「……分かった」


「が、頑張ってみるね」


 他のロボットで変なクセをつけるより、乗機のブレイガーでシミュレーション訓練を続けるっていう選択肢もありなんだがな。


「こっちから誘っておいてなんだが、どれも結構クセが強い機体だ。特に500ファイブハンドレッドはMASTERするまで大変だぜ?」


「慣熟までと考えると、出撃まで漕ぎつけるのは再来週以降だろうね」


「シミュレーションには私たちも付き合うわ。まず一通り機体を試してみて」


「おっと、悪いが38サーティエイトは予約済だ。なあTAMA?」


 バチンじゃねーよ、暑苦しいウィンクすんなサンダー。


《おっふ……オスマッチョビームでダメージを受けた。低ちゃん、フォークを落としたフリをしてテーブルの下から雉森ちゃんの太股を眺めようズ》


(大概にしとけやセクハラスーツ)

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